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なろうレビュー祭り2014  作者: レビュー祭り運営委員会
第4回 紹介文!
22/41

観月/モロクっち『毎日がメリー・バッド・エンド』

「おまえをしあわせにはしてやれないが、

 おまえのてきはみなごろし。」


 人は、生まれ落ちた瞬間から壊れていくものだと思う。癒せる傷もあるかもしれない。でも、癒すことのできない傷を抱えながら、人は死ぬその時まで体も心も少しずつ少しずつ、傷つき壊れながら、この世界を生きていく。


 青山灯子。

 生まれながらに左の目の周りに醜い青い痣がある。

 一七年間両親に虐待されてきた彼女の体は、殴られ、蹴られ、腕には根性焼の跡。ついには、父親がこしらえた借金のかたに、ヤクザに差し出される。

 市松祠門。門倉興業第四支部支部長代理であり、関東門倉会舎弟頭補佐であり、月島組若頭。今どき珍しくなった、武闘派のヤクザ。

 彼自身も、三味線奏者である父親の虐待から逃れ、ヤクザに身を落としていた。そぎ落とされた乳首、切り刻まれた刺青。右目はつぶれ、顔の右半分は焼かれたように溶けただれた男。


 女子高生とはいえ、ガリガリで、傷だらけの灯子では、八百万もの借金の穴埋めにはならない。

「お前の父親は近いうちいなくなる。金なんかねエだろ。親戚とかアテがあんならいいけどよ、勉強続けてエならここに来い。俺の相手をするなら、面倒見てやる」

 そう言いながら灯子に渡した代紋入の名刺。

 帰らない父親。

 底を突く生活費。

 ついに灯子は、男のもとを訪ねる。


 そうして始まる、奇妙な共同生活。


 殺伐としたこの物語に安らぎを添えるのは、いつの間にか芽生える絆のようなもの。祠門の不器用な優しさと、灯子の彼に対する絶対的な信頼。

 そして、夢を共有するという、ほのかなファンタジーの香り。

 灯子のみる夢の中で、祠門は、隻眼のドーベルマンとしてその姿を現す。


「死んじゃえ……」

「殺して」

 灯子が乞えば、祠門は躊躇なく殺す。

「間違えるな、俺は道具だ。殺したのはお前自身だ」

 癒えない傷をなめ合いながら……。

 つぶされた眼は二度と開くことはない。

 切り落とされ、転がった四肢は、二度と動くことはない。

 それでも、生きていく。

 死ぬその時まで。


 いつか誰かに殺されて、自分のそばからいなくなってしまうなら……一緒に死のう。


 おまえ、俺を殺すなよ。


 そんな夢も見るけれど……。

註:R18作品です。



『毎日がメリー・バッド・エンド』

作者:モロクっち


編集者註:気になった方はムーンライトノベルの方で検索してみてください。

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