ハリーアップ!
トメが21世紀に来て幾日かが経った。こちらの暮らしに慣れたと言えば嘘になるが少なくとも店内において驚く事は少なくなった。
周りの景色にも見慣れてきて、朝には近所を散歩する余裕さえ出てきた。
そのついでに店の表も掃除する。
この掃除をしている頃に沙織と香奈が出勤してくる。
「トメさんおはよー」
香奈が相変わらず元気よく挨拶をする。
「おはよう」
オットリとした口調で沙織もトメと挨拶を交わす。
二人が店内に入るのを見届けてからトメも後を追うように中に入っていく。
そして三人揃ったところでオープンとなるのだ。
時間は大体11時位。個人経営の店だからこの辺はアバウトだ。
ちなみに客は滅多にこない。
沙織は縫製やアクセサリーを主に手掛ていたが、最近ではトメが主に縫製の方をして沙織はもっぱらアクセサリーの制作に集中しているようだ。
香奈はその人懐こい性格からか主に電話対応や接客をしている。場合によっては通販の対応もする。
しかし、それだけでは手が余るので顧客へのダイレクメールの制作や衣服のデザインなんかを業務の合間にしているようだ。
昼下がり。カミナリのような爆音が聞こえてきた。
そう、ジュディがやって来たのだ。
ジュディは勢いよくドアを明けると
「トメさーん!一緒にツーリングでも行かないカーー!!」
と大声で叫んだ。
トメは作業の手を止めると香奈と沙織の方を見た。
「Oh.ソーリー。お仕事中でしたか」
ジュディは申し訳なさそうにすると店の中にある椅子に腰掛けた。
一瞬だが気まずい空気がながれる。それを察した沙織が
「ん~。トメさん今日はもういいからジュディと気晴らしでも行ってきたら?あとは私に任せて」
そうトメに話しかけた。
「そうだよトメさん。オネーちゃんもああ言ってるし、ジュディと出かけてきなよ」
香奈も笑顔でそう言う。
「これで決まりネ!トメさんハリーアップ!!色々見せたい所があるデスヨ!」
ジュディはそう言うと強引にトメを連れ出した。




