「茨の木」を読んでみた。
本棚の間を歩いていて、何気なく手に取った本。
チラ見して、とりあえず借りて、途中で投げ出さずに最後まで読みきった。
「読みきった」←ここ重要。
「茨の木」 さだまさし 著 (2008年、幻冬舎)
あらすじ
博多出身の主人公(男性:49歳)が父の遺品のバイオリンに導かれ英国はスコットランドを旅します。
お勧めポイント
粗筋はまとめると上記の通りなのですが、もちろんそこに至るまでの人生、イギリスに着いた後の出会いや別れ、心のふれあいなどが描かれています。
その人が実在すると思わせる描写、逆に、非現実的なまで美しい旅。
人は悪意でもって悪を為すのではなく、知らず傷つけてしまうものであり、ただ善良であるから善を為すのではなく、欲とはまた違う望みによって優しくなる。
許容と拒絶、悲嘆と希望、そんな対比があるような、ないような?
作者はいわずと知れた歌手のさだまさしさんです。福岡の人かと思ったら、長崎の出身だそうで。
他の作品は読んだことはありませんが、たまたま手に取って非常に面白かったので、お薦めいたします。
色々この先が気になる終わり方なので、「中途半端」と思われる方もあろうかと。
しかしながら、懇切丁寧に一から十まで描かれる必要もないでしょう。
賑やかな小説に飽きてきた、優しい人に飢えている、という方にお薦め。