083 式典は粛々と進む
「狂奔の贄」は滞りなく進み、四人の子供が大幅なステータスアップを達成した。
あと、一人である。
粛々と進む式典を枢機卿は見守る。
「 第一王子カイン 前へ 」
王位継承筆頭、第一王子カインが聖剣を手に前に出る。
聖剣はエクスカリバン。
神遺物であり現存する最強の聖剣は、幼い顔をした王子の手でひときわ光っていた。
「強制ステータス オープン」
「ナイアルラトホテプ SSS級 魔 HP666/6666」
「狂奔の贄」の最後を締めくくるにふさわしい魔獣である。
SSS級を倒せばどれだけのステータスアップができるのか。
何度か体調不良で恵皇の大儀を欠席し、ステータスに遅れのある第一王子も、これで筆頭にふさわしいステータスを得るであろう。
どれだけ中程度攻撃魔法でHPを削ろうとしても、この特殊体のHPは削れなかった。
ドロドロとした闇色の不定形の体は何をしても反応しなかった。
捕縛以来、動作も呼吸も確認できない。
ただステータスパネルは開けるので、生きていることは間違いない。
勇者イヤミキサの聖気をフルチャージした聖剣エクスカリバンに触れれば、完全状態の伝説級魔物も即死する。
余波だけを最大防御結界で抑え込めばよい。
枢機卿は、聖剣の発動にタイミングを合わせ、最大防御結界を発動直前にし両手を向けている。
「構えよ!」
カインは母親の補助でなんとかエクスカリバンを振り上げた。
「ザシュ」「最大防御結界」
閃光が場を包み、収束する。
何も起こらなかった。
カインのステータス値は変わらず。ナイアルラトホテプのパネルは開いたままである。
「おい枢機卿!どういうことだ!カインのステータスが変わらないではないか!!」
教皇が怒声を上げた!
王妃も「あああ、カインちゃん! なぜなの枢機卿?」と責め立てる。
うるさい。黙れ。どういうことだ。
わしの計算に間違いはないはずだ。
「おい!」「どういうこと!」「王子!」「死なないね」「どうなってんだ?」
うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。
「ドッ!」「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」
大司教のHPは枢機卿の攻撃魔法で1になった。
これでよい。式典は粛々と進むのだ。




