076 教国要人用緊急避難施設 シェルター
枢機卿は、出かけたときの転移光輪をそのままつかい王城内の自室に戻ってきた。
足元に黄色い結界魔法網にとらわれたネグセが転がる。
「スキャン」
「<身体損傷重度、内臓破裂複数、骨折23か所 内出血多数 頭部脊椎損傷なし>」
「<死亡予想 45分後>」
「ヒール」
「ん。どうなってる。ここは?」
「<死亡予想無し>」
「強制ステータス開示」
「ネグセ 熊人族 HP 1507/1593」
枢機卿は中程度の攻撃魔法を放つ。
「おいっ」 「ドッ!」 「ネグセ 熊人族 HP 1007/1593」
「やめろ」 「ドッ!」 「ネグセ 熊人族 HP 507/1593」
「ウッ」 「ドッ!」 「ネグセ 熊人族 HP 7/1593」
ネグセは気絶したが枢機卿は構わず、極小攻撃魔法を放つ。
「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」「ト」
「ネグセ 熊人族 HP 1/1593」
ブワワワワ。
枢機卿は、無言で転移光輪を開き、動かないネグセを連れて中に入る。
「枢機卿閣下!」
シェルターの門番が礼をする。
「どけ」
枢機卿はシェルターの開閉装置の前でステータスを開き、「賢者」の称号を承認させ、シェルターの門が開いた。
ネグセを連れて無表情で中に入った。
教国要人用緊急避難施設通称シェルターは、第3代教国教皇が設置した。
元は西のダンジョンで発見された神遺物である。
ミスリルとアダマンタイトの合金製らしく魔術的にも物理的にも完全な守りをもつ。
枢機卿の転移も弾き、先代魔王の襲撃にも耐えた驚異の建造物である。
その形は完全な正六面体。
外見は紫の強い黒曜石のような色で光沢を放つ小屋程度の大きさである。
中は外見の十倍以上の広さがある。
移送には当時の勇者や超怪力保持者、STR上位者が総力を挙げた。
設置時、門の導きに従いステータスパネルの「教皇、賢者、勇者、大司教」が登録がされたと伝えられる。




