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影に
喪失が
わたしの影になる
影を落とし
りんかくをつくる
とおりすぎた季節と
切り落とした爪の長さぶん
なにかを見落としている
よろこびのなかに
かなしみのはてに
ゆっくり失っていく
春のおとずれよ
どうしようもない死に
無遠慮な光を当て
芽吹きを感じさせて
季節に
からだをゆだね
半身をつれさられて
それがわたしのかたちになった
と、陰惨な影に
歩道橋
黒く
闇に
喪失を得て
わたしはわたしになれるかしら
(ひとりきりの夢に似ている)
はらはらと
錆びていく
時間が