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金縛り
彼女では勝てない。
お互いの時間スケールが違う。
速すぎる。
速過ぎて影にしか見えない何かが次々とぶつかり、みるみるうちにロボの体がきりもみしながら空中に浮いて行く。それは、まるでF1のコースに間違えて入ってしまったかのよう。
どさり、と土のうが落ちるような音がして、ロボが倒れ伏した。
意識は――あるようには見えない。
「さて、躾の悪い脚の一本でもへし折れば、おとなしくなるか」
フォッケヴェルガーがロボの脚に手をかけ、無造作に持ち上げた。
「いっそ、もぎ取るのもいいか……なあ!」
鋭い爪がロボのふくらはぎに突き刺さり、血が噴き出す。
「ぐあああああああああああ!」
耳をふさぎたくなるような、ロボの絶叫が響いた。
その悲鳴を聞いたた瞬間――
自分の中で何かのスイッチが切り替わった。
人間とは不思議なものだ。
自分が死にそうな時には体は動かないのに。
「うあああああああああああああ!」
誰かのピンチには『動く』んだから。




