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銀の弾丸

「は?」

 純銀の星形キーホルダーが、スーツを貫いてフォッケヴェルガー……いや、ホッケの脇腹に突き刺さっていた。

 もちろん、おれが刺したものだ。無我夢中で突っ込み、突き刺した。

 それでも、星の尖端が数センチ突き刺さっただけ。

 人間ですら致命傷には程遠い。

「ぐっ……がっ……!」

 しかし、ホッケは脇腹を抑えて、ひどく苦しそうに呻いた。

 効いて……いる? 銀の弾丸の伝説のように?

「よくも……!」

 むしろ逆効果だったかもしれない。怒りに燃えた眼で、ホッケが睨(にら)みつけて来る。

 ああ、これは死んだ。

 そう確信した次の瞬間――

「……よくやった!」

 跳ね起きたロボが、その勢いのままキーホルダーを蹴りつけた。

「ぎがぁっ!」

 丸ごと体内まで打ち込まれる純銀の星。

 それはまさに、弾丸を撃ち込んだような衝撃でホッケに突き刺さった。

「がああああああ!」

 激痛に呻くホッケの瞳には、激しく燃え上がる怒りの色が浮かんでいた。

 まるで毒を盛られたように、肩で息をしながら苦しんでいる。口からはよだれがだらだらとこぼれていた。視線も定まっていない。

 ――が、やはり致命傷ではないらしい。

「この高貴な、オレの毛並みに……傷を! ぐぐ……」

「形勢は、これで五分だな。毒を体内に撃ち込まれたままで、自分と戦ってみるか?」

 ロボは体勢を整え、拳を固めた。

 狼男は一瞬眉間を歪めると、

「ぐぐぐ……くそオオオオオオオオオオオオ!」

 大きく吠え、そのまま空に飛び上がった。

 いつの間にか日が落ち夜になっていた空の闇に、あっという間に消えてしまう。

 そして空から、怒りに満ちた声だけが降ってきた。

「明日だ! 明日の晩! 必ずその肉袋を食い殺す! 震えて眠るがいい!」

 その声の木霊が消えるのと時を同じくして、周囲から不穏な空気が消えて行った。

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