第1章:第二部
「続く一年は、絶え間ない闘いの日々だった。エヴァンは既存の遺伝学の研究に没頭した。無数の動物種のDNAを分析し、自らが夢見た『強化された能力』の柱となるような遺伝的パターンの特定を試みた。彼の研究所は、設備の充実とは裏腹に、試行錯誤という名の戦場と化していた。
彼は遺伝子ベクターの開発に身を捧げ、無数のウイルス改変体やナノ粒子を試した。細胞に過度な拒絶反応や破壊を引き起こすことなく、新しいDNA配列を導入する完璧な手法を必死に追い求めた。それは有効性と安全性の間の繊細な踊りであり、ほとんどの試みは行き止まりに終わった。
ステンレス製のテーブルは失敗した溶液の試験管で埋め尽くされ、焼却炉は成果の出なかった実験の残骸を焼き捨てるために、絶え間なく稼働していた。培養器内の細胞は、変化を示さないか、あるいはもっと苛立たしいことに、ただ死滅するだけだった。小さな進歩があるたびに、十もの新たな疑問が立ちはだかった。動物から抽出した遺伝子は人間の細胞では正しく機能せず、仮に機能したとしても、その影響は微々たるものか予測不能なものだった。
真の試練は動物実験から始まった。エヴァンは研究用に特別に育てられたマウスやラットを用いて実験を開始した。複雑な遺伝子調合液を注入し、夢見た変化の兆しを期待したが、結果は芳しくなかった。げっ歯類には、衰弱、発作、さらには死といった予期せぬ副作用が現れた。生き残ったわずかな個体も、望んだ変化を見せることはほとんどなく、それも一時的か、あるいは新たな病変を伴うものだった。
疲労が蓄積し、彼の目の下には深い隈が刻まれていった。科学的孤立の中で過ごした十二ヶ月の末、エヴァンは人間の能力を向上させるような『新しい遺伝学』の創出において、何の成果も得られていなかった。動物実験は失敗し続け、結果は遅々として矛盾に満ちていた。挫折感だけが、常に彼に寄り添う唯一の友となっていた。
その時、彼は悟った。自分の天才的な知性や広範な知識をもってしても、一人では越えられない壁があることに。生命というものが持つ本質的な複雑さと、その問題の規模は、十万ドルを投じた自宅の研究所が提供できる枠を遥かに超えていた。彼は思い知らされたのだ。自身の夢が、どれほど壮大で野心的なものであろうと、孤独な科学者である彼が持つ基盤やサポートだけでは、到底手が届かないものだったことを。追い求めていた『進化』は、掴もうとすればするほど、遠ざかる蜃気楼のように感じられた。」




