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過去の記憶がない少年傭兵の父親は、実は敵国の大統領だった件  作者: SOUCHAN
第4章:カリブルスト編

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9/9

第4章:カリブルスト 後編

※注意:この作品はフィクションです。 作品に登場する【国や地名】【兵器】【人物名】は事実とは一切関係ありません。


【前回のあらすじ】

 気を失ったトミが目を覚める。彼が夢の中で自分自身の過去を知る。彼はジャスティス家だった……

 トミは、フレンチ、エリカ、リチャードにこのことを伝える。3人は驚愕し、進軍を悩む。が、トミの目には迷いはなかった!



 

 ……………


トミ

「んっ……んっ?」



 ベッドから起き上がるトミ



フレンチ

「トミ!?大丈夫……?」



エリカ

「おっ!やっと起きたか、この居眠り坊主。」



 トミは辺り見渡す。そこはカレー砦内の一室。またそこには、胸を撫で下ろすフレンチとエリカがいた



トミ

「フレンチ、エリカ中佐。……心配掛けて申し訳ない。」



フレンチ

「ううん。気にしなくて良いよ。トミが無事で良かった良かった。」



エリカ

「もうビックリしたよ!フレンチが急に叫ぶから、タンスの角に足をぶつけたかと思ったよ。」



トミ&フレンチ

「それはないです。」



 少年2人は首を横に振る



フレンチ

「ところでトミ……倒れる前に、声が聞こえると言ってたけど、どういうこと?」



トミ

「……すごく言いにくい。ただ、事実だ。」



エリカ

「遠慮なく言いなさい。相談なら乗ったあげるわ。」



トミ

「夢を見た。それも、過去の僕の夢だった。」



フレンチ

「過去の夢?……えっ?もしかして、記憶を思い出したの?やったじゃん♪」



 フレンチは両手でトミの身体を揺さぶる



エリカ

「コラッ!フレンチ、落ち着きなさい。……っで?どんな内容だったの?」



トミ

「思い出したんだ。僕……ジャスティス家の息子なんだ。」



フレンチ&エリカ

「……えっ?」



 2人はぴくりと眉を跳ね上げる



フレンチ

「どういうこと!?ジャスティス家ってことは……まさか!ライナスの家族?」



トミ

「うんっ、そんな感じ。」



エリカ

「お、驚いたわ。こんな身近に、ライナスの息子がいたなんて……!」



トミ

「ねぇ?1つ提案がある。今までのことをリチャード大佐に話したい。もちろん、2人にも話すから。」



 フレンチとエリカはお互い目を見つめる。2人は軽く縦に頷くのだった





――カレー砦の指揮官室。中央の椅子にはリチャードがいた。そこに3人が入室。記憶を思い出したトミは、全てを話した



トミ

「ライナスは大統領になるため、自由主義の大統領候補を始末。それを知った僕は気絶させられ、目が覚めたら……記憶を失っていた。」



トミ

「ライナスとティファニーが僕を心配な顔で見ていた。ライナスは『道端で気を失っていた』と言っていたが、それは嘘だった。」



リチャード

「な、なんだと!?」



 リチャードは目を見開いて驚愕



トミ

「またライナスは、『お前の名前はトミ・ブレッド。少年傭兵だ』と……。」



フレンチ

「……だから、傭兵稼業をしていたんだね。にしても、ライナスはヒデェ奴だな。」



 フレンチは自分の腕を組む



エリカ

「なるほどね。傭兵は君自身から始めたわけではなく、ライナスが決めたっやつか。じゃフレンチと会ったのは、その先ってわけ?」



トミ

「はい、そうです。フレンチと初めて会ったのは、ザワクラフトに訪れた時です。」



リチャード

「そうか……わかった。ただ、我が軍は今、街に進軍準備をしているが……どうする?」



トミ

「迷いはありません。僕はこのまま皆と共に歩みます!また、自分の父親ライナスも許さない。……理想郷を崩壊させる!」



 トミの目は本気だ。それを見た3人は、縦に深く頷くのだった





――そして、1991年1月中旬



 リチャード率いる自由軍はカリブルストの街に侵入。漆黒の夜に鳴り響く銃声と爆音。両軍の攻防戦は激しく繰り広げた。

 


『自由軍!我々も手助け致します!』



エリカ

「カリブルストの市民にも協力してくれるとは……ハハッ、上等だ!アーサー伝説を終わらせる。行くぞ〜!」



『うおおおおおおおおおおおお!!』



フレンチ 

「朝になる前にアーサーを眠せてやる!」





 ――その頃。陸軍総本部総司令室。その中には、アーサーと副官がいた。



アーサー

「……カリブルスト陸軍基地は陥落寸前。現在陸軍総本部前の守備隊が奮闘している。」



『総司令官!間もなく敵もここに来るはず。総司令官は裏口から出て、大統領邸に撤退を。』



 机の上には街の地図が広げられていた。2人は見下ろしながら作戦を練っていた



アーサー

「それは出来ぬ!私は総本部を任された。長年、共に過ごしたこの施設を見捨てることは出来ん。」



『ですが、総司令官――』



 ――バァーン!!



エリカ

「そこまでよ!アーサーと……名もなき男。」



 重厚な扉が開く。エリカとフレンチだった



『何だと!?覚悟し――』



 ――バーン!!



『ぐっ!せめて、名前……欲しかっ……た』



 フレンチが放った1発の銃声が部屋に響く。ホルスターに手を掛けた副官が倒れる



アーサー

「くっ!……これが自由軍のやり方か!?」



フレンチ

「そういうお前たちも、無理矢理武力で解決するのもどうかな思うけど?」



 銃口をアーサーに向けながら鼻で笑うフレンチ



エリカ

「さぁ、大人しく降伏しなさい。」



アーサー

「黙れ!!甘く見るな!」



 ――バーン!



アーサー

「くっ……ヴィーナーシュニッツェルカツレツの仇……取れなかっ……た」



エリカ

「名前なっが!もしかして副官の名前?」



 エリカの放った1発の銃弾。アーサーの胸を撃ち抜いた。アーサーは副官の名前を言って、その場で倒れた。伝説は終わったのだ



フレンチ

「それはともかく、これで総本部は陥落。……トミ、後で迎えに行くね。」





――侵入から数時間後。外は徐々に明るくなってきた。ジャスティス大統領邸のライナスの部屋。中には、ライナスだけいた。



ライナス

「……ふむっ、美しい街がこんなことになるとは、自由主義は常識知らずだ!」



 立ちながら腰に手を当てるライナス。彼は窓から、あちこち黒煙が上がる街を眺めていた



ライナス

「ティファニー、お前は無事に生きて長生きしろ。……さて、もうすぐ来る頃かな?」



 ――バァーン!!



 重厚な扉が開く!現れたのは、愛銃を持ったトミだった



トミ

「……久しぶりだな。ライナス大統領……いや、父さん。」



 トミはじっとライナスを見つめる。次の瞬間、ライナスはゆっくり後ろを向く。ライナスはトミに視線を向けた



ライナス

「おお!待っておったぞ、我が息子よ。……元気でなによりだ。」



トミ

「あんたもな。さぁ、降伏しろ!自由主義がこの国を支えるんだ!」



ライナス

「フハハハハハハ!……トミ、よく聞け。君を気を失わせたのはすまない。しかしあれは仕方なかったんだ。」



ライナス

「トミ、まだ間に合う。もう一度、共に歩もう。ティファニーも無事だ!3人で再び、幸せな生活しようではないか?」



ライナス

「君の実力はわかっておる。だから、新ジャスティス家として、のんびり暮らそう。そう……誰にも邪魔されない。永遠の理想郷を……!」



 ライナスはトミに近付いて話す。そして……



トミ

「黙れ!!お前なんか大っ嫌いだ〜!」



――バーン!!!!



 我慢の限界のトミ。彼の愛銃から放った1発の銃声が部屋に響く



ライナス

「あ、ああ……トミ……生きろ。ティファニーを……頼んだ……ぞ?」



 バタン!……とライナスがゆっくり倒れた。ライナスは二度と起き上がることはなかった。トミは部屋から出るのだった



 廊下に出た瞬間。1人の女性が、トミの元に駆け付けてきた



ティファニー

「トミ!?……トミ!!」



 それは、逃げたはずのティファニーだった



トミ

「ティ、ティファニー……姉さん?」



ティファニー

「無事で良かった。……ライナスは?」



トミ

「……ごめん、姉さん。僕、僕……この手で撃ってしまった。この僕を叱ってくれ。」



ティファニー

「何言ってんのよ?悪いのは私よ。私はライナスの暴走を止めれなかった。だから、命は覚悟している。……叱るより、あなたが私を撃ちなさい。」



トミ

「それは出来ない。出来ないよ!……姉さん、僕のわがままを聞いてほしい。もう一度、姉さんと一緒に暮らしたい。」



トミ

「こんなこと言うのもあれだが。もうこれ以上、何も失いたくない!戦いたくない。」



トミ

「う、う……うわああああん!!!」



 トミは涙を流してティファニーに抱きつく



ティファニー

「わかったわ……トミ。ほら、泣かないの。」



ティファニー

「トミ。私があなたを支える。母上、父上の分まで生きて、今度は幸せに暮らしましょ?」



 微笑むティファニー



トミ

「うんっ、わかった。……ありがとう。」



 こうして。少年傭兵2人。元理想主義陸軍女性将軍。そして自由軍が理想主義軍に勝利。バレンタインブルク内戦は終わった。



 その後。ティファニーは自由主義に降伏。理想主義は解体した。後日、フィンがバレンタインブルクの大統領に就任。バレンタインブルク首都は、ヴィールに遷都したのだった





――終戦から数日後。再びバレンタインブルクに平和が訪れた



フィン

「フフッ、今日も良い天気だな。数日前が、まるで嘘のようだ。」



フィン

「……さて。今日の会議、緊張しないようにしないとな。……ブルブルブルブル」



 新大統領のフィン。彼は自由主義の首都ヴィールにて仕事を全うしている





エリカ

「おっほー!プレッツェル要塞、久しぶりだね〜!」



『エリカ中佐が方面司令官と聞いて、綺麗にしておきましたとのこと。』



エリカ

「ハッハッハッ!さすが我が兵士たちよ。よし!今日は思い切って料理しちゃうわよ〜?」



『うおおおおおおおおおおおお!!』



エリカ

「アハハ、相変わらずだね。」



 エリカはプレッツェル方面を担当。エリカの姉貴による日々が始まるのだった





フレンチ

「アテーナ、お疲れ。今日はゆっくり休んで良いよ。」



アテーナ

「ありがとうございます。ですが、私はまだまだ動けます。フレンチ様、次の指示を。」



 

フレンチ

「じゃ次の指令を出す。……ボクと一緒にティータイム。」



アテーナ

「……ウフフ、わかりました。それでは、一緒に飲みながら思い出を語り合いましょう。」



フレンチ

「えへへ、やった〜♪」



 アテーナとフレンチはザワクラフト方面を担当。2人はトスト邸のテラスで、町を眺めながらくつろぐのだった





リチャード

「ようこそ、トミ、ティファニー。どうぞお座りください。」



トミ

「リチャード大佐。食事会に呼んでいただきありがとうございます。」



ティファニー

「……よろしいのですか?私みたいな輩を誘って?」



リチャード

「ティファニー。もう過去のことは忘れてください。あなたは最善を尽くしました。責めることはありません。」



ティファニー

「ありがとうございます。リチャード大佐。」



トミ

「よっしゃ!食いまくるぞ〜♪」



ティファニー

「コラッ!トミ。大佐に失礼でしょ?」



リチャード

「ハハハハハハ!良い姉弟だな。それだけでも飯が進むぞ。」



 旧首都カリブルストはリチャード、トミ、ティファニーが担当。2人は、リチャードを支えつつ、平和に暮らすのであった



 ライナスが起こしたバレンタインブルク内戦。一時期は理想主義が島全体を支配する寸前だった

 

 しかし!少年傭兵のトミ、フレンチ、そして勇敢に戦う自由軍の活躍により、ライナスの野望を打ち砕いた


 これからは、戦いに生き延びた者がバレンタインブルクを支える時代になるであろう



第4章:カリブルスト編 後編 〜完〜

 これで最終話になります。最後まで読んでいただきありがとうございます。気に入っていただけたら、【ブックマーク登録】や下の【チア(応援)】ボタンをポチッと押してもらえると励みになります!

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