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03話 神様危うく前科者

「頼むから本当の事を言ってくれ。君の住所、名前、そしてお前はどこの誰でなんなんだ。」


「だから、住所は移動式天空城塞(いどうしきてんくうじょうさい)・弐式。名前は刹那零無(せつなぜろむ)。零界で生まれて、現零の神。これ、もう7回目だよ。」


取り調べでは、何度も同じ会話が行われて、刑事は精神を摩耗していた。



「頼むから、そんな世迷言じゃなくて、嘘偽り無しの本当の事を言ってくれ。」


「だ〜か〜ら〜、これが本当なんだって。何回も言わせないで。良い加減しつこいよ。」



担当していた刑事の一人が呆れた顔で言う。


「話にならないな。妄想が現実にまで影響を与えている。おい、薬物検査をするぞ。良いか? 血液を採取するけど暴れるなよ?」



少女は先ほどまでは不満気だったが、薬物検査に対して元気になり、生意気な反応を示した。


「薬物検査! テレビとかでも良くやってるやつ!

血液って私の体には通ってないし、尿も出ないから機械が壊れなくて測れる仮の血液作っておくね!」


そうして、血液検査を行った。しかし、少女からは薬物が検知されず、結果は驚くほど健康だった。


「陰性か……。これで、薬物は使ってないのか……鑑定留置の準備は終わったか?」


「いえ…まだ終わっていません。少し取り込んでいて……」



刑事は深いため息をすると少女に事情を聞いた。


「君は何故、あの門から現れたんだ? そしてあの門は何故あそこにある?」


「何故って言われても、あの門は花青歌高校の入学式に出るための道として利用しただけだからね。だからあそこにあるんだよ。」



刑事は呆れていた。


「では、あの門はどうやって持ってきた? 報告では何もないところから突然現れたとあるぞ。」



「持ってきたって、ただ顕現させただけだよ。あっ…君達の言葉ではこう言えば分かりやすいかな。神の御業って。」


「神の御業だと? ふざけるのも大概にしろ。

お前は街を混乱させて、交通を渋滞させて、人々に迷惑をかけて、jアラートまで発令させた。

それがそんなファンタジーな原理と動機で納得できるわけ無いだろ。良い加減に本当のことを言え。」


「ファンタジーって……あぁそうか。人間は私の事を忘れてしまったんだね。まぁ仕方ないか。だって何度も滅んでいるんだもん。まぁ、歴史改変が好きな人間達のことだからそりゃあ残ってないよね。」


「―――っ、こいつ。」



もはや刑事と少女の取り調べは会話として成立してなかった。


「どうします? 何日か拘束して吐かせますか?」


「それも視野に入れたほうが良いかもしれん。」


取り調べが難航する中、謎の黒服の男達が取調室に段々と近づく。


そして、取調室の扉が「バンッ」と音を立てて思い切り開く。



「取調は今すぐ中止だ。本件は我々、政府管轄の特異終末現象対策局(とくいしゅうまつげんしょうたいさくきょく)TSGが正式に預かった。なので、貴官らは今すぐに下がるように。」


「特異終末現象対策局? そんな局聞いたことないぞ。それに今は取り調べ中だ。勝手に入ってもらっては困る。」


「貴官らは今すぐ下がれ。本件はもう貴官らの管轄ではない。三度目だ、下がれ。」



刑事達は彼らの気迫に押されて不満気ながらも下がった。刑事達がいなくなると、黒服の男達は少女の前に立ち、頭を下げた。


「この度の我々の無礼な行いを謝罪する。どうか、私の命一つで許してもらえないだろうか。」


「へぇ〜君、私の事が分かるの?」


「我々は、いつか来る貴方の為に設立された者達です。片時も貴方の事を忘れたことがありません。一般人には共有されていない貴方の事を我々は知っています。」



少女の顔に笑みが浮かぶ。


「面白いね。前来た時はそんなの無かったけど、流石に出来てたか。少し見直したよ。」


「最後にご降臨されたのは、確か158年前の1868年でしたね。予定よりも早いご降臨で……」


「ちゃんと記録が残ってるのね。じゃあ、以前私がした事を一つ挙げてみて。」



「日本経済の誕生でしょうか? 円が誕生した。」


「あぁ〜あれね。確か、大隈重信(おおくましげのぶ)って人と一緒に考えたんだよね。円にしたのは表面的には丸いからだけど、その背景は、ジエンドから自度(じど)を取ってエン(円)にしたんだよね。ほんと懐かしい。でも今は表面的なものしか信じられてないから笑ったよ。多分、天国で重信も笑ってるんじゃない?」



「今回の件は無罪放免として、貴方様を解放します。記録には異常なしと記載させてもらいますが…よろしいですか?」


「うん! それで良いよ! じゃあ、もう夕方だからそろそろ帰りたいんだけど………」


「分かりました。では車の手配をしておきます。」


そうして少女は警察大学校の警備教養部から空にある門へと帰るのだった。





黒服達の気迫に押されて下がった刑事達は上官と会話していた。



「しかし、本当に良かったのですか? あの少女、重罪人なんですよ? あんな危険人物を野放しにすれば何が起こるか……その内、取り返しのつかないことになりますよ。」


「あぁ…君達は知らなかったな。あの少女とはもう関わらない方が良い。それが世の為って事だ。」


「何故です? あれだけの騒ぎを起こしてあの態度なら、また騒動が起きますよ?」


「君は知らなくて良いんだよ。世の中、知らない方が世のため、人のため、命のためって事があるんだよ。」


「……しかし」


刑事達は引き下がらなかった。



「正義を追求しすぎると待っているのは破滅…今回はまさにこれに相応しい。だからあの少女が問題を起こしても我々は対応できないのだよ。まぁ、私はもう手遅れだがな。」


刑事の上官は悟りを開いていた。





僕が避難所に避難してからしばらく経った。

スマホで時間を見てみると、もう17時を超えている。あれから門がどうなったのかも、少女がどうなったのかも分からない。


僕は分からなかったので聞いてみることにした。

一緒に避難してきた自衛官に聞いた。


「あの…門はどうなったのですか? それとあの少女はあの後………」


自衛官は「私にも分からないんだ。」と言っていた。


まぁ、そりゃあそうだよな。


とてもじゃないがあれは理解の範疇を超えていた。



その時、僕が話していた自衛官に無線が入る。


「こちらレンジャー。了解、現在避難所内にて該当すると思われる人物が目の前に所在、確認を行う。待て」



自衛官は何故か僕に聞いてきた。


「君の名前を教えてもらっていい?」


「えっ?……剣崎優夜(けんざきゆうや)だけど…」


すると自衛官は無線を続けた。



「こちらはレンジャー。対象の身体的特徴および氏名の一致を確認。当人とうにんに間違いありません。送れ」


「外傷なし。本人は落ち着いており、歩行も可能です。現在、私の監視下にあります。これより避難所内の救護所へ誘導してよろしいか。送れ」



「了解。報告は以上。終わり。」



無線が終わると自衛官は僕の頭を撫でて「もう少しで避難指令が解除されるから家に帰る準備をするんだよ。」と言っていた。


しばらくすると、その通りに解除され、僕は帰路についた。途中で学校前を通ったが、空にあった門の姿は無かった。


何故あのタイミングで無線が入り、本人確認されたのか、僕には分からなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます!前日譚『零無創世』や活動報告もあわせてお楽しみいただけると嬉しいです。


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本作の前日譚である、零無創世〜始まりの罪と私の贖罪〜【最強の零の神は記憶を失った少年と共に全てを巡る贖罪の旅に出る】はこちらです→https://ncode.syosetu.com/n8153md/1/
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