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誰かが見ている九日目

翼をはためかせたその直後そこから吹雪が放たれた。

一気に周辺全てが氷に変えられてゆく。


錆びた剣を持った彼もまた猛吹雪に巻き込まれた。

走って逃げる間もなかった。

その一瞬で氷漬けにされて…



そして真っ暗になった。



ある会議室。

数名の人間が円卓に集まり座っていた。

青く美しい葉を持ち、白くふわりと光る大樹が円卓のど真ん中に這えている。


その大樹が数百もの画面を

表示している。画面は大樹の周りをゆっくりと回っている。


画面を見ている一人が話を切り出した。


「氷硝獣スノー・ペガサス…ペガサスの強さは

LV…1000

LV1000というテストの満天より高い数字だ。彼はまだLV1なのに…。だめですよ…だめですよこれは!!」

彼が指差した画面はちょうど今、スノーペガサスにやられたオダケンの動画が流れていた。

「初心者さんあんなことしちゃってどうするんですかぁ!!」

もう一人も声を発する。

「カツアゲから始まってレイドボスに当たるとか…」

本来、ああいう強い敵の場合はマルチバトルで協力してあって戦う。レイドボス戦が馴染み深い。

「初心者が説明抜きでほっぽりだされて戦える敵じゃないです。あれはLV1000ですよ!LV1000!

そもそもどーしてこんなにわんさか魔物が増殖するんでしょうね?!倒してくれる人がいないんですか!」

と話し続ける。

「ナビゲーションAIはどこへ行ったんですか?丁寧にプレイヤーさんに教える役目の管理AIは!ちょっと聞いてますか!チーフ!」

周りの面々がチーフと呼ばれたその一人に顔を向けた。チーフは話した。

「どうしてだ…どうしてこうなってしまったのだ…。この世界スワロウテイル。

…NPCの自由を一番に考えた。なのに…いったい誰のせいでこうなったんだ!」

皆が一斉に叫んだ。

「お前のせいだ!!」

ごたごたと話を続けるメンバーにため息をつきながら見守っている。

黒髪の長いポニーテール。

スラリとした細身の女性…。

彼女がぼそりと呟いた。

「彼は確実にゲームをやめるだろうな…貴重で大切な初心者さんなのに…あーあ。」

一人、宙を仰ぐのであった。



錆びた剣が光っているのが見えた。

光に導かれるように目を覚ます。


「はっ!!」


ここはオダケンのベッドの上だ。

ゲームからは速攻でログアウトさせられていた。

「なんだろうか…錆びた剣に助けられてゲームからだしてもらった感じだ…」


自分が味わった感覚。

身体を凍らされた吹雪の感触とその冷たさだけが残る。

一息、間をおいた。

オダケンは内心ショックだったのではなかろうか、

チンピラケンタウロスに襲われてゴールドを巻き上げられてすごい早さで負けてしまったのであるから。


そして彼は言った。


「こんなのから始まるのかぁ!すげぇー!!」

目を輝かせている。

「あれボスだ!うひゃぁ!めちゃくちゃ強い!!鍛えたらあんなやつと戦えるようになるのか!」

隣にあった枕をギュっと抱いた。

「もっと強くならないとな!俺、女の子助けるの夢だし!」



「錆びた剣さん!頑張ろうな!!ひゃー!」

等の本人は断然やる気になっていた。


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