5ー4
新天地にたどり着いた僕たちを待っていてくれたのは、くらげ島の元住人たちと新天地の仲間たちでした。
うれしいことに拍手で迎えられて、うれしいやら恥ずかしいやら。
そしてここまでリリーさんと手をつないでいたことが急に恥ずかしくなってぱっと離してしまいそうになったものの、あらためてきゅっと握りました。
「リリーさん。ここが僕たちの新天地です。これまではあなたの熊鈴を合図にくらげ島に戻ることができました。あなたの心はまるでこの広い海のように激しく、あたたかく、やさしいのです。だからリリーさん。結婚しましょう?」
「……はい」
ここでまたわっと周囲がざわめきました。
こんなにたくさんの方々の前で振られなくてよかったです。
「大切にします、リリーさん」
「わたくしもですわ、ジェイン様」
「呼び捨てにしてください」
「それなら、わたくしも」
「放っておいたらいつまでもいちゃついているつもりだな」
陛下……ジョゼフ様に茶化された僕たちでしたが、もう恥ずかしくありません。だってこれから先の人生は、リリーと一緒なのですから。
くらげ島の崩壊により、皆さんの魔力はほぼ失われてしまいました。
僕たちは職安所に通って、自分に適正な仕事を探すことになります。
先に移住を済ませていた方々は、すでにあたらしい仕事にいそしんでいるとか。
ただ、今日だけは僕たちのために仕事を休んでくれたのでした。
「どうだ? リンレイ。今の気持ちは」
ジョゼフ様に問われて、リンレイは目を丸くします。
足元の砂場がめずらしいのは、きっと裸足だからでしょう。
「わたくし、これから人柱にならずにすむのですね?」
リンレイはこれから、素敵な恋をするかもしれないと予言してしまいます。
だってこれまでの人生があまりにもかわいそうで。
だから、むくわれて欲しいのです。
リンレイも魔女も、魔法使いも、そうじゃない皆さんも。
これからの生活が楽しみなところですが、ジョゼフ様とシャノン様の元へ駆け寄るジュリア様が、現地に溶け込んだ衣装を身に着けていて、なんだかとても新鮮でした。
さらば、くらげ島。
新天地、よろしくね。
これからどんなことが起こっても、僕たちなら、きっと乗り越えられるはずだから。
その希望を失わないために。今は皆と笑うのです。
おしまい




