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1/3

1ー1

 それは、ジョシュア様がミカリン・アールグレイとお付き合いをすることが決まった後のことでした。


 事の発端は、ジュリア王妃様が魔王の魂を宿すジェイク様を生んだことから始まります。


 ジュリア様は潔白です。


 その時侍女として雇っていたファレスの身に宿っていたジェイク様を、黒魔術で王妃様のお腹に転移させたというおそろしい事実がありました。


 本来ならば、その子をどうにかしなければならないところ、王妃様の慈悲により、わが子同然にかわいがっておりました。


 ですが、魔王の手下によりジェイク様は消滅してしまいました。


 もし、このことが国民にバレたらどうなるでしょう。


 普段は厳しいジョゼフ様ですが、そこを突かれるとどうも弱ってしまいます。


 弱って少しへにゃへにゃになっていたところで、国王陛下が突然僕に言ってきたのです。


「ジェイン、我はもっと民のことを知りたい」

「陛下は充分民の身になっているではありませんか?」

「だが、薔薇園の手入れを取り上げられてしまった手前、我はもっと肉体労働がしたいのだ。たとえば炭鉱掘りとか」


 こういう時の陛下は、年齢不詳の美丈夫の笑顔を最大限に行使なされます。


「炭鉱掘りはいささか危険ではありませんか?」

「だが、民の身になればこそ、炭鉱を掘ってみたいのだ」


 そしてさらに頑固にゆずりません。


 そこで僕は話を変えてみました。


「陛下、相談したいことがあるのですが」

「そなたの相談とやらはリリーのことと決まっているであろう?」

「そうなのです。リリーさんも二十一歳になりましたし、これを期にプレゼントをしたのですが、怒って突き返されてしまいました」

「一体なにをプレゼントしたのだ?」

「あったら安心の熊鈴です」

「それは必要ないな。くらげ島に熊はおらんし」

「そうでしたっけ?」


 陛下は少し考えた風にして。


「特別な女性にプレゼントするとなれば、指輪やネックレスなどであろう?」

「そんなありきたりなものでよいのですか? そんなの、他の女性にたくさん配ってしまいましたよ」

「だから、そこがリリーに嫌われる原因なのだよ。女性はいつだって、自分だけが特別にあつかって欲しいものだ」

「ですから、不必要な熊鈴をあげたのです」

「ふむ。熊鈴など、我がリリーであっても突き返すさ」


 そういうものなんですかねぇ?


 とりあえず、話はそらすことに成功したようです。


     つづく

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