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#6:エレードは託す

お久しぶりです。

エレード回はついにおしまいです。

次話以降、最終決戦に向けての話を書いていく予定です。

「つまりまとめると、当時の王様はとっくに殺されていて僕に依頼を出したのは本物ではなかったってことだね」

「本物、じゃない。それでは私は……」


 本物じゃないという言葉を聞いて、あまりのおぞましさと怒りにフィーシャは唇をかみしめた。


「あ、勘違いしないで欲しいんだけど、君は間違いなく僕の子孫だよ?当時の王国はとっくに滅びてるからね。だから奴の血を引いてるってことは、ないから安心して」

「そうですか。それなら良かったです」


 フィーシャはほっと一息、ため息をついた。


「それでその国王とやらはどうなったんだ?」

「彼は旧王国を滅ぼした際にいたのを僕が倒した。ただ殺したわけでもないから、いずれ蘇ってしまうとは思うけどね。悔しいけど、完全に殺すためには奴の力の一部である魔王の力も必要だったんだ」

「……どういうことだ?」

「そもそもその乗っ取っていた人物は何者なんですか?」

「魔神だよ」


 魔王の力が必要……?そんなことを考えていると、フィーシャがエレードに質問をしていた。


「えっとね、これは女神さまから聞いた話なんだけどね。魔神は天界より堕ちし神。そしてその神が力を、憎悪や嫌悪。そこら辺の感情が集めたことによって闇の力を手に入れてしまったことが魔神誕生のきっかけなんだって」

「魔神かぁ」

「神は下界に長時間干渉することができないから僕にも討伐の依頼が来たさ。【聖なる勇者の】光の力があれば、闇をまとったものは簡単に浄化できる。僕も当時の魔王もそう考えていたんだ。魔王の方は確信はないけど、僕をかばってくれたあたり多分同じことを考えていたんじゃないかな?」


 エレードの話を聞いている限り、その魔王とやらは恐らくかなり聡明な人物だ。そして世界を救うために勇者に託したんだろう。自身の身を挺して彼を守ることで。


「けどまぁ、それはあくまで魔族とかまでだったんだ。魔王も同じで、最初の魔王こそはあれだったけど二代目以降の魔王とかは勿論消滅させることはできたんだ。けど、やつは無理だった」


 エレードは困ったような表情を浮かべた。


「あの闇の力は……何と言ったらいいんだろう。神が纏ってしまったことによって僕の力だけじゃ干渉できなくなっちゃったと言えばいいのかな?光属性の攻撃が闇に効くのは間違いないんだけど、その度台を作るというか……効く状態にまでもっていかないといけないんだよね」

「そこで魔王の力ってわけか」

「そうだね、その通りだ」

「え?え?」


 訳が分からない様子のフィーシャ。今の説明を聞くだけだと半分くらいしか恐らく理解はできないだろう。俺の場合は【魔王】があるから分かったというか。


「ようは闇属性の攻撃で奴のバリア的なものを、崩せばいいんだろう?」

「その通りだよ」

「うーんと?」

「魔王という力は魔神が与えたものだ。アメリアたちは儀式的に行っていたようだけど、実際には帝国という国で魔王召喚の儀式をしろという、軽い暗示みたいなものがかかっているんだろう」

「だ、大丈夫なんですか!?」


 フィーシャは慌てるようにしてそう言った。俺は彼女の肩にそっと触って落ち着くように宥めた。


「そんなに強力なものでもない。魔王召喚に関するものと魔王絶対主義の思想、それから魔王は無意識化に魔神の復活を計画させる。この三つしかない」

「最後の一つに至っては、君には効果なかったんだから驚きだよね」


 エレードはケタケタと面白おかしそうに笑っていた。


「それは良かったです。……ですが、どうして魔王のバリアみたいなものは闇属性の攻撃で壊せるんですか?」


 フィーシャが疑問そうにそう言った。


「ああ、それはね。ヤツの力だからだよ。魔神は外部からの攻撃によって死に至ることがないんだ。だから、光属性の僕の攻撃でも奴を殺すことはできなかったんだ」

「だけど、魔王の力ってのは魔神に生み出された力。つまり魔神の力の一部だ。その力を使えば、奴に干渉することができる」

「そうすれば倒せるってことですか!?」

「理論上はね。後は複合属性何だけど……いけそうかな?」

「ああ、問題ない」


 俺はエレードの質問にハッキリと言い切った。虹属性を使いこなせることに成功した時点で、もうそれは達成されているだろう。


「そっか。じゃあ僕はもう必要ないのかもしれないね」

「な、何を言ってるんですか!?」


 エレードはそう言うと、徐々に薄くなっていった。


「僕の聖剣の試練ももうおしまい。なんせ死んだ後もこの世界を守るためにずっと心だけは生き続けてたからね。おかげであの魔神みたいな軽い口調になっちゃったよ。気が苦しいほど長い時間を生きてきたからね。だけど、ヒカル ヨシモト。君がいればこの世界は大丈夫だろう。僕は愛しの彼女たちのもとに旅立つことにするよ。僕と彼女たちが愛したこの世界を……やつの魔神の手から救ってくれ」


 エレードはそう言い残すと、最後に何やら記憶のようなものを俺に流し込んで消えていった。記憶とは言っても、彼の言い切れなかったこと、頼みごとのようなだった。


「まったく、最後に人に押し付けやがって」

「ヒカル様?」

「何でもない。フィーシャ、帰還するぞ。上に戻ってこれからのことを話し合う必要がある。エレードが最後に残してくれた力で、こちらもだいぶ作戦が立てやすくなった。上に戻ったら、すぐに美涼たちを呼んできてくれ?俺は色々まとめておきたいことがあるから」

「分かりました!」


 俺たちは、帰還の魔法人に足を踏み入れた。




「お帰りなさいませ!勇者様、フィーシャ!」


 上に戻ると、目に若干涙を貯めつつも、笑顔を浮かべたティーシャ王女が俺に抱き着いてきた。


「お、お姉さま何をしていらっしゃるんですか!?」

「勇者様。おめでとうございます」

「ああ、ありがとう」


 俺がティーシャ王女にそう言うと、彼女はうれしそうな表情を見せた。ムッとした表情を浮かべたフィーシャが俺と彼女の間に入り込んで無理やり離した。


「それでは私は皆さんを呼んでまいりますね。ティーシャお姉さまは国王様に話をつけといてくださいませんか?」

「ええ、分かったわ。それが勇者様の望みだというのであれば喜んで伝えてまいりますね」


 ティーシャ王女はそう言うと、王座の間がある方へと去っていった。




「えっとここでいいのかしら、ヒカル?」

「ああ、みんなも集まってくれたようだな」

「あ、オリビアちゃんにエミリーちゃんだー!」


 瑠光が、俺の隣にいるオリビアとメアリーを見て嬉しそうにそう言った。オリビアとメアリーたちは普段帝国にいるので、中々こちらに来ることがない。しかし、今回は大事な話をするので彼女たちも呼んだ。とは言え、大人数すぎても困るのでアメリアたちには申し訳ないがお留守番してもらうことになった。


「久しぶりだな、吉川」

「ええ、お久しぶりです。先生」


 先生も呼んだ。俺からの指示をクラスメイト全員が聞いてくれるとは限らなかったので、先生を呼んだ。先生の口添えがあればそれなりに効力を増すだろう。


「まだシャレスト王国にいないやつらもいるが、ほとんどはもうこの国に集結させてある。いないのは……伊藤と神崎と橋本と山本の四人ぐらいだろう」


 伊藤はウィシュト王国で色々償いをしていて、神崎はボルルアで修行中、橋本は分からないがモココにいるらしい。




 会議には各国の王族も招いていた。そして、ついにすべての国による魔神の対策会議が始まった。俺は地下であったエレードの話をそのまま全員に伝えた。そして協力して魔神を家倒すということに決まった。とは言ってもティーシャ王女のいるシャレスト王国とオリビアのいるティファリナ帝国、サリーの両親が治めるボルルア、氷の英雄の件で借りがあるウィシュト王国は反対しないだろうと思っていたので、まぁこうなることは分かっていたが。


 エレードの予想だが、各地で暴れまわっている賊と、暗黒魔王、それから魔神は関係があるんじゃないかと言っていた。少なくとも魔神と暗黒魔王は100%関係あるものだろう。どうやっておびき出そうか。

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