#8:氷の英雄ローラ
皆様お久しぶりです。
リアルで一段落ついたので、久しぶりの投稿です。一月以降は投稿するペースを上げていく予定です。
翌日、俺が目覚めるとみんながリビングに集まっていた。
「おはよう」
「あ、おはようございますヒカルさん」
「おはよー光君!」
俺がおはようと言うとみんなが挨拶を返してくれたのだが、愛月と愛の2人を除いたみんなは再び一点を見つめた。その視線の先には氷の英雄と呼ばれた彼女がいた。しかしながら、しょんぼりしておりその面影はどこにもない。
「これは何をしているんだ?」
「彼女から事情を聴いて報告するところです」
主体となって彼女に質問をしている美涼に代わって愛月が答えてくれた。美鈴たちによる話し合いというなの尋問はそれから三十分ほど続いた。
彼女の名前はローラと言うらしい。ミスラの指摘にもあった通り、六大英雄の一人でリーダーと呼ばれる人の命令でこの地を支配しようとしていたらしい。しかし、それ以上は口を割ろうとしていないのだという。
「本当にそれだけなんですか?復讐かどうのとか言っていませんでしたか?」
「あー確かにそんなこと言ったかもね。でも君たちには関係ないでしょ?」
フィーシャの質問がよほど嫌なのか、目を逸らしながらそう言った。何かをふさぎ込んでいるようにも見える。
「話すことで楽になることもあると思うぞ?」
「やだ。だって絶対に馬鹿にされるから」
「絶対に馬鹿にしないから」
――だって馬鹿にされる奴の気持ちは痛いほどわかるからな。そう言おうとして、俺はやめた。理由は大したものではなく、ただ単に俺が転移前のことを思い出したくなかっただけの話なんだけどな。
「分かった話してみる」
しかし、こんな説得力のない言葉でも彼女の心には響いたらしい。彼女は自身の過去について語り始めた。
――最初はただの偶然だった。
両親を魔物に殺されて、一人寂しく生活をしていた。魔法を使えるだけましではあったものの、氷魔法では敵の動きをほんの少し止めることしかできなかった。私はたった一人で、絶望の中をさまよっていた。
そしてある時、彼らに出会った。アグニ率いる六大英雄だ。当時はまだそのような呼び名で呼ばれていることもなく、彼のパーティには5人しかいなかった。
そして、魔物に殺されそうになっているところを助けてもらった。さらにはパーティにも誘ってもらい、私の居場所を作ってくれた。そして冒険ではいつも明るく、私たちを元気づけてくれた。そんな彼に私は仲間以上の感情を抱くようになった。
しかし、彼には美しい幼馴染がいた。水の魔法の使い手で後に水の英雄とも呼ばれたアリアという少女だった。パーティメンバー唯一の女子ともあって、普段は仲が良かったのだが、彼女もまたアグニに似たような思いを抱いており、私たちはそのことでよく衝突した。
それをロキ師匠が諫めたり、エレク君がおろおろしながらも間に入ったりと、パーティメンバーの仲間たちでよりいっそうきずなが深まっていくのを感じた。そして勇者の代わりに私たちは6人で先代の魔王を討伐した。
魔王を倒して、世界が平和になると私たちはそう思っていた。これからも、そうだと思っていた。しかし旅の終わりは突然訪れた。突如として、パーティの仲が急激に悪くなってしまったのだ。
あるものは力を目指し、あるものは騎士としての道を、あるものは次世代の冒険者の育成を、そして新しい世界を作る者と六人の内の四人がそれぞれの目標を立てた。そしてパーティが解散する前日の夜、私はアグニ君を呼び出した。彼にこの気持ちを伝えるためだ。
「付き合ってください」
「ごめん、俺には大切な人がいるから」
「~~~っ」
その言葉を聞いた途端に涙が流れてきた。私は振り返った。宿に戻るとアリアがいた。彼女は私にどうかしたのかと心配そうに聞いてきたが、その時の私はそれに応じることはなかった。
なんで私じゃダメだったの?アリアみたいに私に魅力がないから?アリアみたいに強くないから?
ここで私の初恋が消えてなくなった。というよりも、彼への気持ちは故意ではなくただ兄のように慕っていただけだとそう気づいてしまった。しかし、私の急な告白のせいもあってか私たちの関係はあいまいになってしまい、あっという間に別れの時間が来てしまった。
「それじゃあ、俺たちは行くぜ。みんなまた会おうぜ!」
「それではごきげんよう」
「俺も夢に向かって頑張るぜ」
「僕はずっとどこの国で岸になるか迷っていましたが……決めました」
私たちはそう言って、別々の道を歩み始めた。その時の私は再び家族を失ったそんな気分だった。結局彼も私の家族を壊すのか。なんで、どいつもこいつも私の手に入れた家族を壊すのか。
「ローラ。よかったら私とともに来ないか?」
「……え?」
解散したはずのその場所に彼はいた。火の英雄のアグニでもなければ、水の英雄のアリアでもなく、ロキ師匠やエレク君でもない。パーティメンバーの中で私が一番かかわりの薄かった人物だ。
「いや、何も君はまたこれから一人で過ごすつもりなのかい?」
「どういうこと、ウィンド?」
「せっかく家族と同等の仲間たちを見つけたのに、お別れが寂しいころだと思ってね」
「なぜ、それを!?」
「目を見ればわかる。この世界が憎いだろ?おまえの家族が二度も壊されたのはすべて神のせいだ。私たちはその神を倒し、本当の意味での平和な世界を作る。おまえも我々の組織に入らないか?」
彼はそういうと私に手を差し伸べてきた。そして私はその手を取った。神を倒せば、私の悩みも解消されると思い組織に入った。そして、マスターと呼ばれる人物ン万年青で私たちは着実に活動をしていた。今回もその任務の最中だったらしい。
「冷静になって考えてれば、騙されてたのかなぁ?神を倒したところで、私の失った家族は取り戻せないもんね」
すべてを語った後、彼女はそう言った。その表情はどこか暗いものがあった。
「さてと話せることはすべて話したよ。殺すなら殺して」
「まだ心残りがあるんじゃない?」
瑠光がそう言うと、ローラは動揺した。
「だったらあたしたちと一緒に行動しようよ」
「そうですね、そのほうが楽しいと思いますよ」
朱莉と琴葉がそう言うと、ローラは涙を流し始めた。そして俺のほうを見て、目に若干の涙をためながらも言葉をつづけた。
「本当に一緒にいても、迷惑にならないの?」
「ああ、もちろんだ」
俺がそう言うと、声をあげて泣き始め俺に抱き着いてきた。俺はそんな彼女をやさしく抱きしめて、「辛かったね」と囁きながら頭をなでてあげた。
しばらく泣きじゃくった後、彼女は緊張の糸が解けたように俺の胸の中で眠ってしまった。
「さてとそれじゃあ私はヒカルと一緒に寝ることを希望しようかしら?」
「えっ、なんでだよ?」
「あっ、賛成。光君の隣は私たちがもらうね?」
「あっ、ずるいです愛さん」
ウィシュト王国での騒動が終わり、シャレスト王国との交易も再開するそうだ。そして今日新しい仲間が一人増えた。本当にどれだけの騒動が起きれば気が済むんだろうか。次から次へと怒る気がする。ローラの話にもあったが、彼女の所属していた組織のマスターと呼ばれる人物や六大英雄の一人であるウィンドの目標も不明だ。まだまだこの世界の平和と帰還への道はまだまだ遠い。
あとクラスメイトの女子たちの距離がさらに近くなったような気がするんだけど、気のせいだよね?




