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#6:氷の城での戦い

お久しぶりです。リアルがバタバタしており投稿が滞っていました。年内はこんな感じで投稿する予定です。年明けからは以前のように週一で投稿できればと考えています。

「綺麗な街ですね。遊びに行きましょうヒカルさん」

「光君早速デートしようよ!」

「貴方たちね遊びに来たわけじゃないのよ。情報集めをして問題を解決してから遊びに行きましょう」


 検問所を抜けて、街に入ると愛月と愛の二人がデートに行こうと迫ってきた。この二人は本当にぶれないな。それを美涼が止めてくれたのだが、遊びに行きなさいではなく、遊びに行きましょうと言っているあたりどうやら俺に拒否権はないらしい。


「それにしても素直には入れたのが幸運だったな」

「そうだね。ここから攻めてきたとみたいだし、瑠光も検問所で測れちゃうんじゃないかって思ってたよ」

「罠かもしれませんので、気は引き締めたほうがいいかもしれません」


 思ったよりいい状況に安堵していた俺と瑠光に、琴葉がそう言ってきた。まず自分自身の震えをどうにかした方がいいと思う。さっきから滅茶苦茶震えているけど、寒いのが苦手なのだろうか。


 俺たちはギルドに向かっていた。ギルドでなら色々な情報が掲載されているからだ。しかしその道中フィーシャが辺りを見回しては首をかしげて、サリーと何かを話していた。


「二人ともどうかした?」

「私の国ではこんなに兵士が巡回していないなぁと思いまして」

「私の国もそうです。それに前に私が来た時もこれほどはいなかったかと」


 サリーとフィーシャは二人ともある程度軍事にも関わったことがあるから分かるらしい。フィーシャは前にこの国に来たこともあるのでなおさらだ。


「てかこれからどうするの?城に直接殴りこみに行く?それとも交渉する?」

「その提案が最初に出てくるあたり結構物騒だよね」


 朱莉は殴りこみに行きたいらしいんだけど、フィーシャとサリーが止めた。今回は二人が交渉役を買って出てくれたからだ。もちろん俺たちも護衛に行くんだけどね。




「シャレスト王国第三王女シャルル=フィーシャです。面会を希望しに来ました」

「同じく面会希望の、ボルルアの第一王女ばルティア=ティサリーヌです」


 情報収集を終えた後、俺たちは氷でできた城へと向かった。門番をしていた兵士に2人が声をかけた。普通なら、他の伝令役に伝えるなりするだろう。しかしその門番二人は、返事を返すことはなかった。


「なにゆえに近づく?」

「敵だ。やっちまえ」


 そう言うと二人組はいきなり剣を抜いて俺たちに襲い掛かってきた。意図して科反射的かは定かではないが、一瞬で瑠光が剣を抜いて相手二人を切り裂いた。〈剣聖〉の名は伊達ではないのだろう。


「しかしまずいわね。これが見つかれば明確に敵としてみなされるでしょうね」

「全く汚らわしい連中ですこと」

「こうなったら潜入した方がいいでしょう。いかがいたしますかご主人様?」


 唯の言っている汚らわしいの意味はちょっとよく分からないのだが、とりあえず美涼の言っていることは間違いない。この場を他の兵士に見られでもしたら明確に敵と認定される。そうすれば城の最深部まで行くのに手間取ってしまうだろう。俺はメアリーの問いかけに対して、侵入すると答えた。


 俺は全員に【気配遮断】を使用して、城の中へと突入した。城の内部は兵士が巡回しており、先程から何人もの兵士とすれ違っている。勿論兵士たちからは見えないので先頭になることはないのだが。


「それにしてもさっきから不穏です。この兵士たち、まるで自我がないような」

「確かに、そうですね。行動が不穏というかなんというか」


 美涼が俺の後ろに隠れ、裾をつかみながら不安げな声を出してそう言った。フィーシャもどうやら感じていたらしい。確かにさっきの門番の様子もおかしかったし、この城では何か良からぬことが起きている気がする。だとするならば、この前魔物に紛れてエルフが襲ってきたというのも外部の力なのかもしれない。


 城の階段を上り、二階へと上がるとそこには魔物が居た。ゴブリンやウルフ、バットなどと一緒にエルフの兵士が俺たちのいる階段の方を見てきた。俺たちは気づかれないように、避けながらその先へと進んだ。そしてしばらく歩くと大きな扉があった。その両脇には兵士が経っており、彼らにばれずに通ることは不可能だろう。


「みんな準備は良いか?こいつらを倒した後中に突入するぞ。瑠光、愛兵士を倒して」

「オッケー、瑠光に任せて」

「光君の敵ー!」


 いや、俺は死んでないからな?それはともかく愛もしっかりと仕事はしてくれており、瑠光と愛の二人は音を立てずに兵士を倒した。そして俺たちはその扉を開いた。




「勢ぞろいで入って来たね。残念だけど、私には見えるよ」

「流石にわかっていたか」


 玉座には女の人が座っていた。水色の髪を持ち、水色の服を着ている。肌の色は白ではあるものの、服と髪の色から全身が水色であるかのようにも思える美しい女性だ。


「ヒカル、あれってまさか」

 美涼が何かを見て驚いたような表情をしていた。玉座の下に二人の人物が玉座を挟み込むようにして立っていた。左側にいる人物は王族にありそうな高級そうな服を着ていた。そして、右側に居る人物は俺たちもよく知る人物がいた。


「お前は伊藤!?」

「……」

「もしかしたらと思ったけど。これの仲間と言うことは勇者ですか。この人は中々間抜けでしたよ。こっちの元王も引けず劣らずって感じだったけど」


 伊藤からの返事はない。しかし、俺のことを殺してやると言った殺気を含ませて俺のことをにらんできた。


「洗脳したのか?」

「まあね。この国の男性はほとんど洗脳済み。ちょろいもんだったよ。今では私の駒として働いている。本当は氷漬けにするのが楽しいんだけど、まだ敵はいるみたいだしね。全部倒した後、氷漬けにするよ」

「何でそんなことをするんだ?」

「何でって、別にそんなことどーでもいいじゃん。ま強いて言えば復讐かな。おっとおしゃべりはこれぐらいにしよっか。早速君の力を見せてくれ勇者君」


 玉座に座っている女性がそう言うと、伊藤が剣を抜いた。すると、美涼と瑠光がそれぞれ剣を構えて俺たちの前に立とうとした。しかし、俺はそんな二人を止めた。


 あいつは――お前だけは俺が倒したい。ステータスを偽っていたとはいえ、あの場で俺を馬鹿にしたことを忘れたわけではない。美涼、瑠光、愛月の3人は俺が弱くても守ると言ってくれた。あの時はいつもみたいに一人で過ごすと思ってたけど、きっかけはともかくとしてあいつの影響があって、3人やフィーシャたちと旅をすることになった。召喚されたときは一人でいると楽だとそう思わなかったけど、今は彼女たちと過ごしていて楽しいと思えてきた。


 だからこれは俺の戦いだ。過去との決別。ここであいつを倒せば、俺の実力は広まるだろう。けど、彼女たちを守ることが出来ればそれでいいんじゃないだろうか。そんな思いを胸に俺は魔剣を抜いた。


「吉川、覚悟しろ」

「覚悟するのはお前の方だ」

「おっ、魔剣」


 魔剣を引き抜いた。俺が新たな道に進むために。そして、彼女たちを本当の意味で守るためにも。彼女たちにふさわしくなれるように、俺の戦いが始まる。


〖マスターの力があれば一瞬で終わりますけど〗

〖ウン。魔王様ガあんな奴ニ負けナイ〗


 ……君たちおとなしかったと思ったら急に雰囲気を台無しにするね。

後書きは年内に投稿するものには付きません。年明けのものは考え中です。

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