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#2:緊急クエスト

少し遅れました。

ユニー20000人達成!ありがとうございます!

今回の後書きはいつものように本編と別という感じではなく、57~58話のメアリーとティサリーヌの話となっています。……とは言っても短いですが。


 シャレスト王国はいつになく慌ただしい様子で、私は少し驚いていた。とは言っても先程からずっとこの調子という訳ではない。私――佐倉 美涼が今度の大会において同じパーティの仲間となる瑠光と愛月とフィーシャの3人と登録を済ませたのだけれど、その時は普段と変わらない様子だった。しかし、突然街にある鐘の音が鳴り響いたと思ったら、街の人たちが急に慌てだしたのだ。街と言う単位で人が一斉に慌てるなんて光景あまりみれないものね。


「美涼、何で笑ってるの?」

「何でもないわよ」


 おっといけない。今はこんなことを考えている場合じゃないわね。


「それでこの騒ぎはなんなんですか?」

「緊急の指令みたいなものです。いや、召集命令と言った方がいいでしょうか」


 愛月が鐘の騒ぎについてフィーシャに聞いていた。私たちがこの世界に来てから鐘の音何て聞いたことはない。ただ似たようなことはボルルアでもあったため何となく予想できるのだけれど。うん、想像通りだったわ。それにしてもボルルアの時は慌てているのは冒険者と騎士ぐらいだったのだけれどここは商人とかも慌てていて、中には荷積みまで始める人もいた。


「とにかく私たちも急ぎましょう。何が起きたかはギルドへ行けば分かると思います」


 フィーシャの言うことに反対を出すメンバーがいるわけもなく、私たちは冒険者ギルドへと急いだ。




「うわっ、何か一たくさん張り紙が貼ってありますね」

「いつもこんな感じですよ、ただ今はおそらくどの張り紙も同じ内容だと思いますけど」


 冒険者ギルドに入ると、たくさんの紙――依頼書が張ってあった。ここのギルドはやけに数が多いわね。そう思っていたのだけれど、どうやら緊急時は大量の依頼書が張られるらしく、普段はここまでたくさんの依頼書が貼り付けられることはまずないそうね。


「えっと何々、エルフと魔物の軍勢が襲ってきてるんだって。数は10万……ちょっとこれやばくない?」


 瑠光は依頼書を読み上げるなり、焦った顔をしながらコチラを見てきた。心なしか愛月も不安そうだし、フィーシャも少し暗い表情だった。


「とりあえず行くわよ、今はこの街にヒカルもいるんだし、何とかなるわ」

「そうですね……ヒカルさんがいるんですもん。よーっし頑張るぞー!」

「ふふふ、そうですね。ヒカル様がいるので私たちは安心して戦えますね」


 私もその言葉を聞いて安心した。やっぱりヒカルがいるってだけでこんなに安心感があるのね。惚れたほうが負けとはよく言ったものだと私はこのとき思い知らされたわ。


 城壁には階段が付いている部分があり、そこから城壁の上に上ることが出来る。そこには兵士や騎士たち、弓兵などが登っていく姿が見えた。瑠光は剣士なので、城壁の外で戦う必要がある。私は魔法使いではあるけれど、無詠唱で発動できるので、どこでもあまり変わらない。だけど、瑠光だけ危険な目に合わせて、呑気に上から戦うなんていうのは私にはできなかった。


「あ、いたいた!」


 後ろから聞き覚えのある声がした。振り返るとそこには中村さんたちがいた。


「急に外が騒がしくなっちゃったから驚いたよ。それより光君は?」

「私たちは見てないわよ?」


 愛ちゃんたちの方にいるかと思ったのだけれど、彼女たちが家を出る前に既にヒカルは外に遊びに行ってしまったらしい。こんな時に何をやっているのかしら。


「……早く言った方がいいんじゃないでしょうか?吉川君の考えは分かりませんが、今ここにいないってことは私たちでも勝てる相手ということではないでしょうか?」

「油断はしないほうがいいですこと。光が何を考えてるかなんて分からないし、命は一つしかないから」


 琴葉ちゃんの少し楽観的な意見に対して、唯ちゃんは少し悲観的ね。まぁ個人的には

どちらの意見も正しいとは思っているのだけれど。ヒカルは少し面倒くさがり屋だけれど、私たちのピンチには絶対に駆け付けてくれる。けれど、唯ちゃんの言う通り慢心しすぎてはいけない――この世に絶対はないのだから。


 私の意見を皆に伝えると全員が納得してくれた。その事を頭に刻み、私たちは戦場へと向かった。




 城壁の外へと出るとそこは酷いありさまだった。たくさんの冒険者たちが傷だらけで、中には死体も紛れていた。戦況はあまりよろしくない様子で、どんどん前線が下がっている様子だった。Aランク以上の勇者――クラスメイトの誰かがいたとすればまだましだったかもしれないが、戦えるクラスメイトはほとんどがウィシュトやボルルア、モココに出向いており、Aランク以上の勇者たちは私たち以外にはいなかった。


「あれ、みなさんは」


 聞き覚えのある声がしたのでそちらの方を見ると、小平さんと青山さんがいた。彼女たちは2人ともスライムとラビットを抱えていたのだが、あまり元気のない様子だった。


「こいつら強くてさぁ。スラさんじゃあ歯が立たねえ」

「マロンも駄目でした」


 2人の話によるとこの国にいるクラスメイト達は全員戦ってはいるらしいのだけど、あまり成果は上がっていないらしい。愛月の友達で〈回復師〉の高木さんは回復が忙しいらしく、エルフは魔力量が多いため宮本さんの魔法が効きづらいらしい。


「愛月、高木のこと手伝ってやれ」

「分かりました、じゃあみなさん行ってきますね」


 小平さんに言われて愛月は彼女の教えてくれた方角に向かって走っていった。


 杉林君たちのグループは最初は連携も取れており、杉林君(騎士)が敵を止めて筑井君(斧使い)柏田君(狩人)が倒して、残りを白神君(暗殺者)が倒すという形をとっていたらしいのだけれど、コボルトなども魔物たちの数に押されて、かなり厳しい状況だそうね。忍者コンビ――門畑君と香川さんは隠密とか情報収集が得意ではあるが、戦闘はそこまでらしく敵の情報を探ることに尽力を尽くしているらしい。


「あの数ならば、まず美涼の魔法で何とかならない?」

「ふふっ、私だってヒカルに鍛えられたのよ。いいわよ、ただ冒険者を一度後ろに下げる必要があるのだけれど」


「冒険者を後ろに下げれば、どうにか出来るのかい?勇者様」

「え、はい。巻き込まない位置まで移動できればの話ですけど」


 突然後ろから男の人に話しかけられて少し驚いたのだけれど、そう返した。すると男の人は「任せろ」と言ってにかっと笑うと城壁の中へとあわてて入っていった。


「あの人、真っ先に城壁に入ったけど大丈夫なのかしら?」

「あの人はここのギルドマスターです。おそらく鐘を鳴らして退却命令を出すんじゃないでしょうか?」


 フィーシャの話によると、さっきの人はギルドマスターらしく、撤退命令を出すんじゃないかと言うことらしい。確かに撤退命令を出して貰えば、魔法が放ちやすい。


「皆さんも今のうちに準備しておいてくださいね」


 フィーシャがそう言うと、琴葉は弓に矢をセットしていつでも撃てるようにしたらしい。それから一分も経たずして、鐘の音が鳴った。


「一時撤退だー!」


 誰かがそう叫ぶと、冒険者たちが次々と城門の方へ走っていった。私たちが慌てていないことを見て驚く冒険者や、戻ったほうがいいと忠告してくれた人もいたのだけれど私たちは撤退はしなかった。中には高木さんや宮本さん、それから杉林君たちのグループもいたのだけれど、彼女たちも疲弊していたからか城壁の中に戻っていった。彼女たちと一緒にいた愛月は私たちを見かけると、合流した。時は来たわね。


「みんな準備はいいかしら?」


 私がそう聞くと、みんなは首を縦に振ってくれた。最初は私がどでかいのをお見舞いする。今まで放ったどの魔法よりも大きく、威力の高い魔法を。そう思いながら、私は魔法を放った。




「みんな行っちゃいましたね」

「というか2人きりって珍しくないですか?」


 今回の大会に出ることが出来ない2人――メアリーとティサリーヌは愛たち4人がいなくなり、2人きりになったと部屋でくつろいでいた。


「そういえば、サリーはどうやってご主人様と出会ったの?」

「私はボルルアに勇者様……いえ、ヒカル様が旅立つときに力を付けたかったので……同行したのですが」


 サリーはこの後、ヒカルがオリビアたちに連れ去られてしまったことなどを話していたのだが、目の前にいるメアリーは首をコクンコクンと、頷くように動かしていた。


「眠いんですか?」

「うん……一緒にお昼寝しない?」

「そうですね……たまにはいいかもですね」


 メアリーとサリーは眠ってしまった為、この後街で鐘の音が鳴っていたことに気づくことはなかった。

 

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