#10:ピンチ
戦闘は次回も続きます。
「詰めが甘いですね」
「なっ!?」
意表を突いたと思ったのだが、簡単に剣で防がれてしまった。俺は一度後ろに下がった。奴の剣は重かったな。
「大樹君、一人で突っ走らないでくださいよ?」
「ああ、悪かった」
茂が心配そうに俺にそう言ってきた。実力は向こうの方が上、1人で突っ走るのは確かに危険だ。
「足引っ張るんじゃねぇぞ」
俺は少し嫌味っぽく、茂に言った。俺にそれを言うならば、お前も大丈夫なんだろうなという意味を込めてね。
「大樹君こそね」
当然と言った感じで返されたんだがな。茂は剣を取り出した。剣に魔法を纏っている、あれが魔法剣、正直格好いいと思うんだけど。
「なんで俺は槍なんだよ!」
俺は槍に力と若干の怒りを込めて、真正面から突いた。
「おっと、なかなか骨があるじゃないですか」
「よそ見しないでください『風流落葉斬』」
「な、なんですかそのスキルは」
茂の攻撃を喰らった敵は、若干驚いてはいたのだが、すぐに立て直していた。確か今のは茂の必殺技で、風属性の上級魔法だったはずだ。これがあまり効いていないとなると。
「さて、そろそろ終わりにしましょうか。『新獄の業火』」
無詠唱だと。それにこの魔法の強さはこいつ魔法使いなのか。それなのに近接でもあんだけ戦えるとか聞いてないぞ。
「おっと、勘違いはしないでください。私は魔法剣士ではありません。そんな中途半端ではないです。剣士でありウィザードでもある。それだけですよ」
奴はそう言うと、今度は剣で殴ってきた。しかし、先程までとは段違いに早く、そして重い。
「どうやってこの状況を打開すりゃあ……」
「大樹!」
「なっ、しまっ!?」
俺――高橋 大樹の意識はそこで潰えた。
「ちょっと想定の場所からずれていたわね」
「あいつらが馬鹿なおかけで助かりましたね」
「そんなこと言っちゃ駄目だよ、寛太くん!」
2人の位置情報は魔道具によってこちらには筒抜けだった。実は今2人がいる場所はアリアさんが指示した地点からは外れている場所だった。しかしあの2人は、それに気づかずに歩いた結果遭遇したらしい。俺は助けに行こうとしたのだが、アリアさんに止められた。下手に助けに入りづらい状況らしい。
「アリアの指示したタイミングで動くぞ、いいな?」
「今よ!」
「ああ!」
アリアさんが指示を出した瞬間、アグニさんが動いた。奴は彼が急に近づいてくるのに気づいたのか、慌てて後ろに下がった。しかし、アグニさんの攻撃をも躱すのか。ここまでは想定通り。
「『ウォーターボール』」
「そんな攻撃が効くと思っているのですか?」
沙織が撃った魔法を簡単に剣で消した。というよりも斬り裂いたようだ。魔法を斬るってそんなことも出来るのかよ。そう思っているとアリアさんが詠唱を始めた。よし、俺の出番が来たか。俺はひっそりとその場を動いた。
アリアさんは水属性魔法を使う時に詠唱する必要はない。しかし、今回はあえて詠唱をすると言っていた。奴の視線を彼女に向けさせるためだ。沙織も、いつでも距離を縮める態勢をとっている。
「『水斬』」
沙織が相手に一瞬で接近して、斬りかかった。沙織の素早さに怯んだのか、何とか跳ね返してはいたけど、重心が後ろに乗った。
「『急所突き』」
「なっ!?」
相手に短剣が届いた。しっかり届いたはずだ、血も出ている。しかし、相手は痛みよりも驚きのほうが勝っているようだった。俺はその場を離れて、アリアさんたちの横に移動した。
「まさか、そんな伏兵がいたとは。驚きですね。私にも気づくことのできない【気配隠蔽】素晴らしいと思いますよ」
「よく言うぜ、大してダメージ喰らってないんだろ?」
「ふふふ、それはどうでしょうね」
アグニさんがそう言うと、奴はそのように言葉を返して再び俺たちに剣を向けてきた。油断も隙もないな。
「やはりこの武器じゃ、あまり調子が出ませんね。しかたありません、制限時間は三分といったところですが、全力でお相手させていただきましょう」
そう言うと彼の雰囲気が変わった。今までも強かったのは間違いなかったのだが、今の彼はこれまでとは何かが違う。
「やべえな、こいつぁ」
「油断しないで、『ウォーターボール』」
アリアさんは大量の『ウォーターボール』を出した。数で無理やり押す作戦なのだろうか。それで決まればいいんだけどな。そう思っていたのだが、彼は簡単に魔法を斬り裂いた。アリアさんはかなりの数魔法を展開している。それなのに、簡単に対処しているのか。流石にこのままだと分が悪いな。
「アリアさん、すみません」
俺はそう言うと、短剣ではなく、大剣で斬りかかった。魔法がだめなら物理だ。そう判断した俺は、重さで勝てる大剣で倒そうと思った。
「へぇ、悪くない考えですね。ですが……相手が悪い」
「ぐはっ、ちっ」
「寛太君!」
「下がれ!」
相手の剣をもろに受けてしまったものの、何とか態勢を整えて沙織のいるところまで下がった。くそっ、俺はあいつ相手に何も出来なかったのか。
「やはり勇者も六大英雄も大したことはないんですね。少しは楽しめるかと思ったのですが、期待外れです」
「なんだとっ⁉」
「挑発に乗ってはいけないわ。冷静になりなさいアグニ」
挑発に乗りかかったアグニさんをアリアさんがなだめていた。2人は今も剣を向けている。しかし、俺は立ち上がる力すら残っていねぇ。ここまでのダメージを受けたことはこれまでで一度もない。自然と戦場から逃げ出したくなる。
「終わったよ、寛太君」
「わ、悪い」
沙織に回復してもらいなんとか動けるまでになった。どうするべきなのだろうか。俺はまいってしまっていた。いや俺たち――沙織もそうだった。俺たちの頭の中には撤退ではなく、逃げるという言葉が浮かび上がってしまった。
「戦っている最中に背を向けるとはいい度胸ですね?」
「ああ、何を言ってやがる⁉」
「相手の挑発には乗っちゃだめよ!」
アリアさんとアグニさんの声が聞こえる。
「寛太君!」
突然沙織が俺を抱きしめた。その直後大きな衝撃が俺たちを襲った。俺がは、沙織が俺の方に倒れてきているのを見ながら倒れた。
「なっ⁉」
「嘘、でしょ?」
奴が魔法を撃った際に俺はこれまでと同じように避けた。しかし、すぐに違和感を覚えた。俺にもアリアにも当てる気がない。すると後ろの方でサオリの叫ぶ声がした。振り返ってみるとサオリもカンタも倒れていた。すぐさまアリアが確認に向かった、それを見て俺は再び目の前の敵に目をやった。
「どうです、そろそろ降参しますか?」
「誰がするか」
俺はそのまま後ろに少し下がった。すると俺の隣にアリアが来た。
「とりあえず、2人とも無事みたいね。アグニ、さっきのもう一度出来るかしら?2人でやれば、倒せると思うわ」
「ああ、問題ないぜ!」
「決まりね」
「話し合いは終わりましたか?降参しますか?それとも続行しますか?」
アリアは俺の方を向いてきた。彼女は諦めてなんかいない。俺も諦めるわけにはいかないな。あいつらを守ってやれなかったのは俺の責任でもある。死んでいないいが、辛い思いをさせてしまっただろう。
「この街は私たちが守る、覚悟しなさい」
「行くぜ『限界突破•火』」
「『限界突破•水』」
光 :「今回の後書きは俺が担当することになった」
愛月:「なんで嫌そうにしているんですか、ヒカルさん」
瑠光:「ヒカルは面倒なことしたがらないタイプだもんね」
光 :「そうだな。というか美涼は何やってるんだ?」
美涼:「次回予告の資料を探しているのだけれど、どこ行ったのかしら」
フィ:「あ、みなさんこれ作者からです」
愛 :「私が読むから聞いててね光君!えっと、作者忙しいから次回の予告は作っていないらしいよ!」
光 :「随分適当だなあの人」
美涼:「どうせ次の話も作っていないわよ、きっと」
愛月:「そろそろ私ヒカルさんといちゃつきたいです」
光 :「何か言ったか、愛月?」
愛月:「ひゃあっ!?な、何でもないです」
瑠光:「そろそろ時間かな、それでは次も見てくれると嬉しいです!」




