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#9:衛兵狩の正体

衛兵狩りの正体です。犯人は過去にも出てきたあの人です。

「驚かさなくてもいいじゃないですか!」

「そうだそうだ!」

「ははっ、すまんすまん」


 彼らは怒ってはいたものの本気で怒っている様子はなかった。


「あれ、あなたたち彼らと知り合いだったのかしら?」


 あ、そういえば…俺たちが勇者であること伝えてなかったんだっけ。


「あ、だってこいつら俺と同じ勇者だもん」

「ちょっと大樹君、勝手に言っちゃだめなんじゃないの?」

「あ、ひょっとしてまずかったか?」


 いや、別に隠す必要なんてもともとなかったから俺としてはどちらでも良かったんだがな。隠そうとしていたの沙織だよな。俺はどうするのかと目線で聞いてみようとしたのだが、目を逸らされた。


「そうだな、俺らはこいつらと同じ勇者だ」

「やっぱりそうだったのね」


 アリアさんは俺たちが勇者という確信はなかったらしいのだが、疑ってはいたみたいだ。


「もっとも何か事情がありそうだったから、聞かないでおいたのだけれどね」


 それ沙織の気まぐれです。彼女が前に


「異世界チートするためには主人公は本当の職業とか強さは隠しておかないと」


 とか言っていた。しかし馬鹿正直にそれを言うのは少し違う気がする。


「わざわざ勇者って言う必要もないですし、一冒険者として扱ってほしかったからです」


 俺がなんて答えようかと思っていると沙織がそう言った。沙織のやつ、口では言わないだけでそんなことを考えていたのか。

 

「まあ、確かに私たちもそう思ってた時期あるもんね、アグニ?」

「そうなのか!」


 アリアさんがそう言うと高橋と北村は彼女の方を見た。すると沙織がこちらを見て一瞬眼鏡を外して舌を少し出した。あ、あいつ平然と嘘をつきやがったな。


「俺はどちらでもいいけどな?有名になれば強いやつと戦えるしな!」

「さて、じゃあ空が夕焼けになる頃にまたここに集まってもらうわ。敵の力は未知数、騎士団にも動いてもらうけれど、一応準備は入念にね?」

「私はアリアさんと一緒にいることが、ぐあっ!」

「じゃあこのバカ連れてお先に失礼しますね」


 高橋はまたもやナンパしようとしていたところを北村に阻止されて連れて行かれた。可愛そうだなと一瞬思ったが、自業自得な面も大きいので、北村をここで止めるのは愚策だろう。


 俺たちは夕方の準備を行っていた。武器屋に行って見たものの、いい武器は見つからず、結局ポーションを補充しただけだ。強敵との戦いということを意識していて、今日一日の俺の行動をほとんど覚えていない。そして気づけば集合時間になっており、ギルドマスター室に俺たちは入るところだった。


「三十秒遅刻ね」

「そうだそうだ!遅いぞ!」


 中に入るとアリアさんと高橋がそう言ってきた。


「ご、ごめんなさい」

「悪い」


 なんかこの2人を見てたら、悩んでいたことが吹っ飛んだ気がする。今回戦うのは俺だけじゃねぇ。久しぶりだな、この感覚は。


「今日はよろしくお願いします」


 俺には合わないことを言った。そう思ったけれど、つい口から漏れた言葉だ。するとみんなキョトンとした表情を浮かべた。そして、アグニさんがその手を俺の右肩に置いた。


「何言ってんだ。頼んでるのはアリアの方だぜ?そんなに気負いすんな」

「そうね、さっきこの部屋に入ってきたときは表情が硬かったけれど、いい感じよ」

「アグニさん、アリアさん」


 普段はちょっと抜けている人たちだけど、こんなことを言えるからこそギルドマスターやってるんだろうな、アリアさん。


「そうだそうだ、勝って英雄になってモテまくりだぜ!」

「いえ、多分今のあなたは無理ですよ」

「なぬっ!?どういう意味だ。俺……私は紳士なのですよ?」


 高橋の言葉は全然響かんな。北村、そいつの処理は任せた。


「モテモテねぇ…」

「沙織?」

「ううん、なんでもないよ?」


 沙織は小声で何やらブツブツと呟いていたけど、何を言ったのだろうか。若干負のオーラを纏っていたような気がしたけど、気のせいだよな。


「はいはい、おふざけはここまで。それでは作戦は先程話した通りよ。あなたたちはもう行ってきて頂戴」

「分かりました」

「分かりましたアリアさん。成功の暁にはぜひ私めとお茶でも」


 言い終える前に瞬間に高橋は北村に連れて行かれていた。


「あの2人大丈夫なのかしら?」


 沙織それは言ってはいけない。確かに高橋だけなら心配だが、北村がいるならなんとか上手くやるだろう。


「大丈夫だろう」

「本当かしら?」

「俺は失敗するに一票入れとくぜ?」


 え、大丈夫だと思ってるの俺だけなのかよ。あいつらってそんなに信用されてなかったのだろうか。


「さて、冗談はこれぐらいにして、さっさと私たちも行くわよ。カンタよろしくね?」


 まったくこの人は本当に信用してるのだろうか。というか切り替えの早さ、あいつらは成功しても失敗してもいいってことなのか。なかなかえげつないこと言ってるな。まったく、失敗しても同級生の失敗は俺たちがカバーしてやるか。


「分かりました」




 空が暗くなった頃、とある民家の上に一つの影があった。その影は動くことはなく、何かを待っている、そんなふうに捉えることができるだろう。


 さてと、そろそろ時間ですか。ここらへんにそろそろ衛兵が通る時間ですからね。こんなことは命令よりも退屈しのぎに近いんですけど、私が楽しめればいいでしょう。それに、一応リーダーの出した命令も遂行していますからね。


「ふふっ、そろそろ強い相手が現れてくれることを願いますよ」


 その男は今日もまたいつものように、衛兵の通る道を待ち伏せしていた。



「なぁ、ちょっと暗くないか?」

「あたりまえでしょう、この世界には街灯なんて便利なものはないんですから。それより警戒してください」


 俺たちはアリアさんに言われてここに衛兵の恰好をして歩いていた。とりあえず時間通りにここに来ることが出来たはずだが。


「こんにちは、衛兵さん」

「誰だ⁉」

「誰ですか⁉」


 突然俺たちを呼ぶような声がした。声の主は……上か。たしかに屋根の上に影が見えるな。するとその影は一瞬にして俺たちの目の前に降りた。


「そうですね、私の名前はラフトと言うものです。早速なのですが、貴方たちと勝負させていただきますね」


 彼はそう言うとすさまじいオーラを放った。こいつ、間違いなく強い。だけどよ、俺にだって負けられない理由があるんだ。


「いい眼をするじゃないですか、所詮無駄なあがきだとは思いますけどね」

「僕たちは負けるわけにはいかないんです」


 茂が「だって」と言葉を続けて言おうとした。俺には分かる、何故お前がこの戦いと負けられないと思っているのかがな。


「この戦いに勝ってアリアさんとお茶をするんだもんな?」

「は?」

「はい?」


 え、どういうことだよ。お前そういうことを言いたかったんじゃねえのかよ。なぜか茂のパンチを喰らった。すごく痛いんだが。


「お見苦しいものを見せてすみません、ですが負ける気はありませんよ?」

「言うじゃないですか?」

「おい、俺も忘れてんじゃねえぞ!」

「勿論ですよ」


 危ない危ない、俺の存在が忘れられるところだったぜ。この勝負絶対に負けられない、アリアさんとのお茶会の為にも。


「覚悟しろぉ!」


 俺は目の前にいる奴に、槍を突き刺した。

 


ラフト:「後書きは私たちが務めさせていただきます」

アル :「僕たちもいるぞー!」

ノア :「いるのー!」

ラフト:「お前たちは気楽でいいですね」

アル :「そういえばウィンド兄ちゃんたちはどこにいるんだー?」

ノア :「マスターもいないのー」

ラフト:「マスターは私たちの住みやすい世界実現のために忙しいんです。今ここにいないメンバーは、マスターから命でも受けているんでしょう」

アル :「そろそろ次回予告するぞー」

ノア :「次回、『ちびっ子ヒロイン。その名はノア』」

ラフト:「……嘘はやめてくださいね。次回『vsラフト』……私からしたらこのタイトル納得いかないんですけどね」

アル :「そうなのかー?」

ノア :「ラフトが悪役みたいなタイトルなのー」

アル :「でも仕方ないあるー」

ラフト:「アールー?」

アル :「ラフト兄ちゃんが起こったぞー逃げろー」

ラフト:「待ちなさい」


マスター:「騒がしいやつらだな」

ノア  :「あ、マスターなのー!それじゃあ、私はこの辺で。来週も見てほしいのー!」

マスター:「どうかしたのか?」

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