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#6:予告状

予告状です……もちろんあの組織ですよ?


「失礼します、ギルドマスターお二人を連れてきました」

「ご苦労さま、下がっていいわよ」

「失礼します」


 そう言うとリラさんは部屋から退出した。


「さてあなたたちには盗賊団の調査をしてもらいたいの」

「盗賊団ですか?」


 沙織が聞き返す。確かに盗賊団の討伐なら俺たち以外にも適任者はいるはずだろう。アリアさんはギルドマスターの仕事があったとしてもアグニさんとか他の冒険者に頼むことだってできるはずだ。




「俺もアジトの場所を突き止めようとしたんだけどよぉ、敵の組織が大きいわりには不透明でよ……」

「前に私たちも戦って捕らえたのだけど、自殺してしまったわ。跡をつけるしかないのだけれど、私たちでは役不足なのよね……」


 どうやら2人も戦ったことはあるそうだ。しかし、追跡スキルとかを所持していないのでアジトを特定出来なくて、頭を悩ましているらしい。


「そこで、お前たちの出番ってわけだ。俺たちと戦ったあれならば奴らの目をかいくぐれるかもしれない。」

「ということでお願いできないかしら?」


 相当相手は強いのだろう。たとえ追跡スキルがなかったところでこの2人から逃げることのできる相手だ。


「分かりました、やります!」

「ちょっ、沙織!?」

「目の前に困ってる人がいるんだもん、助けてあげようよ」

「お前な……いつか騙されるぞ?」


 とはいえ、今回は俺も賛成だ。盗賊団を倒す。それに彼女は盗賊団の調査と言った。討伐するという依頼ならば断っていただろうけど、偵察ならば俺の得意分野だ。


「それでまずはおびき出すところから話しましょうか」

「どうやっておびき出すんでしょうか?」


 沙織が聞くと、アリアさんは彼女の机の引き出しから紙を取り出した。スマートという盗賊団のものらしい。スマートとは最近現れた盗賊団のことでなかなか手慣れた集団らしい。交易用や貴族の場所などが襲われているのだが、ほとんど証拠などが残らずまた被害者の証言を集めても犯人像が分からないのだという。


「おそらく、変装しているか交代で襲っているかのどちらかだと思うわ」

「街の中にいても襲われるから厄介なんだ」

「ここからが本題よ。明日の晩エドワード家の金品を盗むと予告状があったわ」


 アリアさんが声を抑えてそう言った。それにしても盗賊団からの予告状か。どうなんだろう、馬鹿正直に信じていいものなのか。アリアさんはどう思っているのだろうか。そう思って俺は聞いてみることにした。


「罠の可能性もありますが」

「どのみち、手がかりがこれしかないのは確かよ。罠というのならば、突破するのみです」

「アリアも結構脳筋だからなぁ」


 アグニさんがやれやれと言いながらそう言った。


「あなたと一緒にしないで貰えるかしら?」


 アリアさんは低い声でアグニさんに言った。2人のことは一旦おいておいて、俺たちがどうするか、どうしたいかの問題だ。


「沙織、どうする?正直俺はこの予告状は何らかの罠だと思うんだが?」

「……だとしてもやらなきゃ。それに罠ならアリアさんたちが危険ってことだよね?」

「かもしれないが、少なくとも狙いは俺たちではないっことは確かだ。わざわざ首を突っ込む必要はない、それでもやりたいのか?」


 俺は沙織にそう言った。しかし、沙織は迷うことはなかった。今までの真面目な表情とは打って変わって笑顔になった。


「もちろん!困っている人がいたら助けなきゃね!」

「はあ、そこまで言うなら止めはしない。俺も行く」

「そうこなくっちゃね」


「話は終わった?」

「……この展開絶対読んでましたよね、アリアさん?」

「さぁ?私には何のことか分からないわね~」


 アリアさんは表情を変えずにそう言った。この人こういう時表情を崩さないからどっちか分からないんだよなぁ。


「作戦を話すわね」

「おう!」

「はい!」

「分かりました」




「そろそろ時間のようだけれど、まだ現れないみたいね」

「静かにしてろ、俺たちはその役目だろうが」


 俺たちはエドワード家にお邪魔していた。勿論遊びではなく招待というよりも監視に近いものだ。俺たちは金庫を守っている。アリアさんたちは別の場所の監視があるそうだ。


「表の連中も大したことないな」

「簡単に金庫までたどり着いちまったぜ」


 すると2人組の男性が現れた。今すぐにでも捕まえようとしていた沙織を抑えた。今回金庫にある金貨等は偽物である。本物は別の場所にあらかじめ隠しておいた。しばらくすると2人組は金庫をこじ開けた。


 するとそのタイミングを見計らったように、彼らの仲間がやって来た。中に入った男は袋を次々と外にいる団員たちに投げた。結果として、金庫の前に着いてから1分と経たずして、全ての袋を取ったらしい。けど、こいつら予告状を出しておいてこちらが対策しないとでも思ってたのか。


「『ウォータートラップ』」


 突然盗賊団たちの動きが止まった。よく見ると水の魔法が張り巡らされており、盗賊団たちの動きは完全に封じられていた。


「出てきていいわよ」


 アリアさんがそう指示したので、俺は【気配隠蔽】を解除した。それにしても作戦としてはこのまま尾行するはずだったのに。


「ごめんなさいね。どうやら作戦がばれていたようね」

「え、そこの対処してなかったんですか?」


 アリアさんはにやっと笑った。


「勿論、想定内よ。今頃アグニが何とかしているでしょう」


 アリアさんは天井を見るとクスっと笑った。


「信用しているんですね!アグニさんのこと」

「そうね、魔王を一緒に倒したあいつが盗賊団ごときに無様を晒すことはないっていうのが一つね。それと、」


 アリアさんは若干顔を赤くしながら言った。


「もう一つの理由は、サオリあなたと一緒よ」


 どういう意味だろうか。沙織なら何か分かるのだろうか。


「沙織、分かるのか?」

「なるほど、アリアさんも隅に置けませんね~」


 あ、こいつ変なスイッチ入っている気がする。俺の話を聞く気ないな。


「けど人数が多ければ、まずいかもしれないわね。2人とも着いてきてくれるかしら?」

「はい!」




 盗賊団はエドワード家には偽物、つまり仮契約しかしていない使い捨ての団員たちを送っていた。エドワード家はそもそもモココでは2番目にお金を持っている貴族なのだ。盗賊団スマートがそんなことを知らないわけもない。


「よし、さっさと運ぶぞ」

「これで全部だぜ」

「よっしゃ、さっさとずらかるぜ」


 わざとエドワード家に予告状を出して、相手をおびき寄せる。そして、本物の盗賊団スマートは別の家を狙う。完璧な作戦だっただろう。それこそ、アグニが指揮を執っていたならばの話だが。


「悪事はそこまでだ!」

「な、どうしてお前がいやがる?」

「あの人は誰なんですか?」

「お前、知らないのか⁉先代の魔王に変わり勇者を討った六大英雄の1人、火の使い手アグニだぞ!」


 少し偉そうな男がそう言うと、盗賊団たちに衝撃が走る。しかし、それは直ぐに静まった。


「相手は1人だ!俺たちは15人。これが何を示すか分かるか?」


 誰からの返事もなかった。だが、盗賊団の団員はその言葉を皮切りに、武器を出した。


「英雄アグニ、我らスマートを相手にしたことを後悔するがいい!」

「雑魚が、俺にはむかうっていうのか?いいぜ、おもしろいじゃねえか」


 暗闇に包まれる貴族街の一角に佇む、アグニと盗賊団。しかし、この場にいるのは彼らだけではなかった。彼らは目の前の敵に集中しており、気づくことはできなかった。


「決闘ですか、まぁ勝敗は見えているようなものですけどね」


 スマートが金品を盗んだ屋敷の屋根の上に人影があることに。


アグニ:「いよっしゃ、後書きだぜ!」

アリア:「後書き担当ね」

アグニ:「それにしても今回の戦いで俺のファン増えただろ!」

アリア;「そうかしら?……そんな単純な話でもないと思うけど」

アグニ:「細けぇことは気にすんじゃねえ!みんなまた次回も見てくれよな」

アリア:「暑苦しいわね」



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