#1:2人の旅立ち
新章開幕です。
第3話の主人公は一体誰なんでしょうか。答えはこの下に。
「それにしても街までは長いな」
俺の名前は橋本 寛太。38人のクラスメイトたちと先生を巻き込んだ異世界召喚というものに巻き込まれた。
「仕方ないでしょ、寛太君。この世界に便利な移動できる乗り物はないよ」
彼女の名前は山本 沙織。俺と同じく異世界召喚に巻き込まれ、〈魔法使い〉の職業を得た。俺の最愛の彼女でもある。
「折角の異世界で城からも出られたんだから、やりたいことしようよ」
「やりたいこと?」
異世界に来てしたいこと、何だろうな?沙織の好きな漫画とかテレビがあるわけでもないし。
「当然魔物刈りよ!異世界と言ったら無双でしょ。勇者である私たちの無双だよ!」
「魔物狩りがしたいって……ファンタジー漫画と間違えてるんじゃないのか?」
ここは魔物刈りが趣味って、物騒なことを言うもんだな。まぁ、ファンタジーとか好きなこいつにとっては楽しい世界なのかもしれないな。それと無双と言っているが、俺たちはあのスケルトンとかいう、魔物に一切の攻撃が効かなかった。この時点で無双何てできてないんだけど、それは黙っておこう。
「ここらへんでもうちょいレベル上げしようよ!」
「おう……」
沙織はもう少しここでレベル上げしたいらしいので、ここら辺の魔物を刈っていこうと思う。ここら辺にはコボルトとウルフが生息してたっけな。俺は大剣と小剣の二種類の武器を扱えるのだが、どちらにするべきだろうか。
「なぁ、沙織。小剣と大剣どっちがいいと思う?」
「え~どっちでもいいと思うけど。ただ、小剣は弱い魔物で使い慣れていないと、一生使えなくなるかもよ?」
小剣を使い慣れておかないと、一生使えなくなる可能性がある。そういうものなのだろうか。沙織の知識の大半はゲームから出来ているからなぁ。ただ、何かの参考になるかもしれないので聞いておこう。
「どういうことだ?」
「小剣はリーチが短いから接近して倒さないといけない。つまり、リーチの長い武器ばっかり使ってたら小剣のリーチまで近づくことができなくなるかもよ?」
なるほどな。確かにそれは一理あるかもしれない。シャレスト王国でのダンジョン探索では大剣に頼りすぎてしまった部分がある。俺の職業は〈暗殺者〉だ。つまり、小剣のほうが適している。これで小剣が使えないとなったら、笑いものでしかないだろう。
「分かった、しばらくは小剣で戦う」
「うん!」
色々考えて俺は沙織のアドバイスを受け入れることに決まった。その時の彼女の嬉しそうな表情を見れたからいいか……って何を考えているんだ俺は。とにかくこの異世界で死はつきものだ。彼女を守るために強くなることが大事だ。
「あ、コボルトだ!」
「盾を持っているのか……ここは俺に任してくれ」
「えー戦いたいのに」
沙織は戦いたがっていたけども、ここは俺1人で十分だ。コボルトは複数であれば苦戦するかもしれないが、一体ならば油断しなければ負けることはない。そして何より……
「一対一は〈暗殺者〉が最も得意とする分野だ!【気配遮断】」
俺はギフトの一つである【気配遮断】を使った。すると目の前のコボルトは辺りを警戒していた。どうやら、コボルトに俺の姿は見えていないようだ。【気配遮断】を使ったら敵の姿も見えなくなるのかなとも思っていた。しかし、そんなこともなく敵の姿は見えたままだったので、俺は簡単に後ろに回り込むことができた。相手はそのことに一切気づいていないようで、俺は後ろから短剣を心臓に突き刺してコボルトを倒した。
「なかなかやるじゃない寛太!」
「そうか……ってなんで上から目線なんだよお前は」
「私の出番を奪ったんだからこれぐらいは当然でしょ!」
「へいへい分かりましたよ。そういえば、【気配遮断】って相手の姿も見れなくなる可能性も考えてたんだけどそんなこともなかったな」
俺はさっきの戦闘中に思ったことも沙織に告げた。すると彼女はお腹を抱えて笑い出した。俺は彼女の方を見ながら首を傾げた。何が面白かったのだろうか。ただ馬鹿にされているのだけは分かる。
「……何がおかしい」
「ファンタジーにそういう系統のスキルとか良く出てくるけどさ、相手も見えなくなってどうすんのよそのスキル。逃げるしかないじゃない。そんなスキルはないし、普通は見えるわよ」
「……普通っていうのはお前の偏見じゃないのか?」
「そんなことないと思うけどなー」
「いやお前もしらんのかい」
「てへ」
てへ、じゃねえよ。可愛いからむかつくのだが。まぁ、漫画とかアニメとかあまり読まなかったからファンタジーの常識みたいなのよく分からないのだが、そういうものなんだろうか。
しばらく進むと今度は複数のゴブリンが現れた。コボルトと違って、盾をもっていないので裏から回る必要はないのか。ただ人に比べて背丈が小さい。小剣だと姿勢を低く当てる必要があるんだろうな。それが複数、戦闘慣れしてないと筋肉痛になりそうだ。だけどこれも練習だ。やれるだけやってみるか。
「あ、次は私の番ね。くらいなさい、我が魂に宿いし水の力を全力で!『ウォーターボール』」
沙織はそう言うと、『ウォーターボール』を複数出して全て命中させた。どれも一撃で仕留めていたのだが。一つ気になることがある。
「なぁ普通『ウォーターボール』って一発一発詠唱いるよな?」
「え、なんのことでしょうか」
あ、こいつ目が泳いでやがる。しらばっくれるつもりだな。だが、そうはさせない。たまには反撃ぐらいしてもいいだろう。
「お前ギフトに水魔法の詠唱省略出来るのあったよな。それと訓練の時にお城の人が『ウォーターボール』を使っているのを見たけど、そんなに詠唱長くなかったぞ」
「カッコいいから適当に詠唱付けたわけじゃないよ?」
「なるほどそれが理由か」
「ええ!?」
なるほど、それが理由か。こいつはただカッコよさを求める為に自分で考えた詠唱を使っていたというわけか。これが噂の厨二病というやつなのだろうか。中学校の時に何かこんなようなやついた気がする。コイツ実は馬鹿なのか。
「なーんか失礼なこと考えてない?」
「いや、別に何も」
……妙に鋭い。どうしてなんだろうか。理由は聞かないけどな。
「じゃあそろそろ2人で戦うよ!」
「分かった」
2人で戦った方が安全だろう。沙織が俺に向けて魔法を撃たなければの話なんだが。いくら沙織でも撃たないよな。
コボルトの群れがいるな。コボルトは盾を持っているのが厳しいな。魔法で攻める場合は火が適していたはずだ。けれどそれ以外の魔法だと少し厳しいかもな。木の盾なら水でも腐らせられるような気もするけど。
「じゃあ俺が裏側から攻撃する。魔法の準備をしておいてくれ」
「了解!」
「【気配遮断】」
俺は【気配遮断】を使って裏に回り込んだ。沙織には相手に気づかれないような魔法の準備をしてもらっている。その影響もあってか沙織を狙おうとはしていない。これならいける。
「おーいこっちだ!」
俺は【気配遮断】を解除してコボルトたちの後ろから大声で叫んだ。あまりこういうのは柄じゃないんだがな。しかし、効果はあったようだ。コボルトたちは俺の方を向いて俺に襲ってきた。だが、やつらは気づいていないだろう。俺は含み笑いをした。先程の言葉は二つの意味がある。
「『ウォーターボール』」
沙織に向かっての合図でもある。コボルトがコチラを向いた瞬間に彼女が魔法を撃った。コボルトたちは後ろからの攻撃に気づくことなく、彼女の攻撃を受け、消滅した。
「何か戦利品が落ちたわ!」
コボルトを倒すと何かがその場に落ちていた。沙織はそれを拾う。どうやら薬草の類だったようだ。だけど何で戦利品がドロップするんだろう。沙織に聞いてもそれがファンタジーと答えられるのは目に見えているので聞かないが。
寛太:「ということで、第三章の主人公は俺たちらしいぜ」
沙織:「一生スポット当てられないかと思ってたけどねー」
寛太:「いや、一回当てられているような気もするけど」
沙織:「次回……予告が届いてないですね。多分作者がさぼったんでしょう」
寛太:「いや年末に出しすぎたんだろ、これ書いたのも結構ぎりぎりだったらしいし」
沙織:「まぁ、そういうことにしておいてあげましょう!次回もお楽しみに!」




