#43:特訓?無双?
43話目です。第2章はあと2話ほどで完結すると思います。
「それじゃあ行きましょうか」
「おう」
俺たちはダンジョンに入った。オリビアによると地下100階まであるのだという。1階部分は敵が出現することもなく、冒険者たちが休憩をとる場所として活用されていた。
「そういえば、ティサリーヌはどうやって戦うんだ?」
「サリーでいいですよ。私は基本的に地属性の魔法を使います。一応近接用に棍棒を持っていますが、基本は魔法ですね」
なら、メアリーと俺が前衛をすることになるな。ただ俺が手を下すとあまりサリーのレベルが上がらないだろうし、俺は極力相手の動きを塞ぐことにしよう。フィーシャとメアリーも俺のギフトの恩恵があるのでそこそこ強いはずだ。なのでまずはサリーのレベルを上げることにしよう。
サリーは無詠唱は持っていないらしい。故に詠唱に時間がかかるのが難点である。本来ほとんどの人が詠唱を必要とするので、無詠唱は珍しいのだが俺の周りには無詠唱を使える人が多いせいでこういう考えになってしまうのだろう。
「大地の精霊よ、目の前にいずる障壁を砕け!『ロックバースト』」
地属性魔法……初級だろうか。爆発範囲は狭いが、スライムやゴブリンあたりを1発で倒せる当たり、なかなかに強い。ただ、詠唱をしている間に攻められたらと考えるとまだまだ課題は多そうだ。
無詠唱で魔法を放つ為にはギフトがないといけない。スキルや魔法は適性さえあれば、習得できるのだが、ギフトは生まれた時に決まるというのがこの世界の常識らしい。ただ、これについてはよく分かっていないことが多く、前例がないだけで真相は分かっていないそうだ。しかし、今のところ無詠唱にする方法はない。
「なら、やはり周りがカバーするべきか」
しかしその場合、結局今回のダンジョン攻略はあまり意味をなさないものとなってしまうだろう。俺が手を貸してしまったらいざって時に対処出来なくなってしまうだろう。やはりレベル上げと近接武器の特訓もしておくべきだな。
「いや……棍棒の特訓をしよう」
サリーが強くなるためにはこれが一番手っ取り早い。彼女に棍棒を装備するように言った。彼女自身も弱点は分かっていったようで、俺が彼女に指示するとすぐに棍棒を装備した。
しばらくダンジョンを進むとゴブリンが複数いた。最初はアシストぐらいしてやったほうがいいな。何かいい技はないか?
〖無属性魔法の『念力』とかどうでしょう?マスター程の攻撃力でしたら、相手を完全に封じることが出来ます〗
なるほど、その手があったか……って俺その魔法知らないんだけど。こんな魔法使った記憶ないぞ。どうやらミスラはサリーがダンジョンに来ると決まったときから、研究していたらしい。
〖彼女が慣れてきたら、『バインド』を使って足止めするだけにしたほうがいいかもしれません〗
さらに、その次の手まで考えているなんて。ミスラが何だかチート化してないか?これもいわゆるご都合主義か。
〖私はマスターの為に出来ることをしているだけですから〗
〖zzz〗
ミスラはノヴァとよく遊んだり、喧嘩したりして幼いイメージが残るけど、いざって時には役に立つ。ミスラと話してたらいびきが聞こえてきたんだけど。
〖ノヴァ疲れちゃったみたいなので寝させてあげてください〗
どうやらノヴァのだったようだ。いびきまで聞こえてくるらしい。ミスラ曰く、最近ノヴァは何かの作業をしていて忙しいとのことだった。疲れるといびきをかいて寝てしまうようだ。まぁ、戦闘の邪魔になるほどではないからいいか。勿論周りの人に聞こえているわけでもないしね。
ミスラの作戦通り、まずはゴブリンを『念力』で止めた。俺の仕事はここで終わりだ。俺のステータスは自分で鍛えたというよりも貰いものの部分が大きい。なので、教えるのはそこまで上手じゃない。
「サリーちゃん、そこしっかり踏み込んで!」
「こうですか?」
その点メアリーは実際に鍛錬して強くなっている面もあるので、コツとか色々分かっていると踏んで彼女に任せた。それに加えてフィーシャがサポートしている。俺は敵の足止めをすることぐらいしかやることがないのだ。何か自分で言ってて寂しくなってきた。
地下2階に着くまでには『バインド』の助けだけで戦えるようになっていた。さらに一個下の地下3階では俺の助けがなくても戦えるようにまで成長していた。ぶっちゃけ【ステータス神化の影響】で最初から負けることはないんだけど、棍棒を使う上での構えとかを学ばせるためにそれは黙っておいた。
ある程度使いこなせるようになったので、サリーには再び杖を装備させた。ここからは全力でこのダンジョンを攻略する。
「『ブーメランソード』」
と意気込んでみたはいいものの、やっぱり相手にならない。地下10階のボスは皆大好きゴブリンキングだ。割と何処のダンジョンでも大体出てくる魔物は一緒なのだろうか?メアリーの新技によって一撃で倒れた。地下20階までの敵もコボルドやバットなどやはり何処かで見たことのある敵ばかりだ。地下20階のボスはこれまたお馴染みコボルトキングだ。今度はフィーシャが放った1本の矢によってあっけなく、天へと召されてしまった。
〖普通に消滅しただけだと思いますけどね〗
こらそこ、折角作った面白い雰囲気を壊さない。
〖別にそこまで面白くありませんよ〗
え?あらやだ奥さん。とまぁ、ボケはここまでにして次に進もう。
地下21階からは水辺が多くなっている。池を泳いでいる魚がいる。それを見ていた瞬間魚と目が合った。
「ん?」
思わず間抜けな声が出てしまった。次の瞬間魚は大きな口を開けて俺の事を飲み込もうとしてきた。勿論簡単に倒せたんだけど、怖すぎだろ異世界。鮭みたいな魚のひれの近くに突然目が現れたと思ったら、真っ二つに割れるんだもん。そして、大きくなりながら俺のことを食べようとするとは。これ地球で同じことが起きたらただのホラーだぞ。
「大丈夫ですか?」
フィーシャ、サリー、メアリーの3人が慌てていたが、何とか落ち着かせた。慌てるなと怒ってやりたかったが、今回は俺の警戒心がなさ過ぎたのが原因でもある。そう呑気に考えていたが、油断しすぎだの心配しただのと逆に怒られた。俺のステータス知っているからそこまで心配しなくてもいいのではないか。てか、別に食べられてないし。と思ったけど、俺のことを真剣に思ってくれているからこんなに怒ってくれているんだしここは黙っていよう。
22階層以下にはタコのような魔物、オクトパスやクラゲのようなジェリーという魔物もいた。octopusにjellyfish……まさかそのまま英語からとってきてるんじゃないだろうな?オクトパスは水と闇、ジェリーは水と雷の属性の魔法を放ってきた。大方予想通りだったけど。そんな感じで徐々に敵の数が増えていった。途中でゴブリンとか、バットも現れてきたが新種の魔物とは遭遇せず、地下30階にたどり着いた。
「ボスはオクトパスでしょうか?」
「いえ、ジェリーだと思います」
サリーとフィーシャはボスが何かを予想しあっていた。確かにここまでの敵で歯ごたえは全くと言っていいほどなかった。地下30階までで、ほとんどの冒険者はリタイアしてしまう。けれども彼女たちにはこんなことを考えていられるほどの余裕はあった。
「ジェリーの巨大化はあまり想像できませんね」
「行くぞ」
俺はボス部屋の扉を開けた。果たしてそこにいたのはオクトパスかジェリーか。
〖正直どちらでも、マスターなら勝てると思うんですけど〗
そんなミスラの呟きは、俺とノヴァには伝わらなかった。
朱莉:「いやー最近出番ないね、みんな?」
琴葉:「中村さん、作者さんにも事情があって……」
愛 :「どうでもいいから光君とイチャイチャさせなさーい!」
唯 :「次回『異変の原因なのー』……ってなんです?この酷いタイトルは一体誰が考えたんですこと?」




