#31:閑話 伊藤 良太
31話目です
第1章最終話になります。
閑話2伊藤編です。
僕は誰の目から見てもイケメンだと思う。その証拠に大体の女子は寄ってくる。多分付き合おうと言えばどの女子も付き合ってくれるだろう。僕には絶対の自身があった。僕と同じクラスには3人の美少女がいた。佐倉さん、高梨さん、川村さんだ。彼女たちを見た時不覚にも可愛いと思ってしまった。そしてそれぞれに告白した。僕は絶対に付き合えると確信していた。
「無理ね、好きな人がいるから」
同じ学級委員という立場を利用して佐倉さんに告白したのだが振られてしまった。好意を向けられたことはあっても、自分から向けたことはなかった。たが振られると思っていなかったので僕は少しショックだった。しかし、彼女は気の迷いだろう。いずれ向こうからお願いしてくるだろう。僕は次に明るい性格で男女ともに人気のあった高梨さんに告白した。
「ごめんね、好きな人がいるから」
彼女も好きな人がいるという理由を付けて断ってきた。いくら僕と付き合うのが照れるからと言っても好きな人がいるって誤魔化さなくてもいいのに。高梨さんもなかなか照れ屋なんだな。ならば、川村さんに告白をするか。
「川村さん、僕と付き合ってくれないかな?」
そう言ったのだが、彼女は少し慌てた素振りを見せるとその場から速足で立ち去ろうとした。僕は彼女の腕をとっさに掴んだ。まだ返事を聞いていないのだ。先程の慌てた表情からして、良いと言ってくれるだろうが彼女の口から実際に言ってほしい。
彼女は僕の腕を振りほどいて走り去ってしまった。
次の日、僕はいつも通りに登校した。すると、佐倉さん、高梨さん、そしてその2人の後ろに隠れている川村さんがいた。やっとか、1日僕を待たせたんだ。しっかりとした言葉を聞かせてほしい。
「貴方、私たちにそれぞれ告白したらしいじゃない?」
何を言っているんだ?僕みたいなイケメンとはそれぐらいがちょうどいいだろう?
「しかも、愛月の腕を無理やり掴んだって?」
高梨さんがいつもの明るい声からは想像もつかないような低い声で言った。勘違いしないでほしい、僕は返事を貰っていないから止めようとしただけだ。別に悪いことなんてしていない。
「とにかく瑠光たちにはもう関わらないでね」
高梨さんがそう言うと3人はそのまま去って行ってしまった。彼女たちは美しい。僕に比べたらまだまだだがそれでも他のやつらとは違う。性格だけが曲がっているが、そこさえ直せば完璧だろう。彼女たちを変えたのは何だ。僕は観察することにした。
いつも教室で寝ているかゲームをしているだけのつまらない男がいる。佐倉さんたちはそいつにやたら構うのだ。彼女たちの言う好きな人とは彼のことだと言うのか?ありえない。僕があんな暗いやつに負けるわけ訳がない。負けていいはずがない。
いつもと同じように、佐倉さんたちに声をかけていた。そして先生が教室に入ってきたその時、突然魔法陣が起動して僕たちは異世界に飛ばされた。そして王様や王女様から国を救ってほしいと言われた。僕は真っ先に手伝うと言った。
そして僕たちには勇者ランクというものが付けられた。僕は〈剣士〉そして〈勇者を導くもの〉という職業があった。更にステータスも高くSランク勇者となれた。当然のことだが、やはり嬉しい。さらに佐倉さんや高梨さん、川村さんの3人もSランク、そしてあのヒカルはEランク、所謂一番下のランクだ。僕は思わずにやけた。
ダンジョンを攻略する際には4人1組のパーティになって攻略することになった。パーティは実力順で組むことになった。そのため、僕はSランクの3人と組むことが出来る。
「ヒカル、私たちとパーティ組まない?」
高梨さんがヒカルのことをパーティに誘ったのだ。しかし、所詮はEランク。そんなやつと組むのは危険だと言えば分かってくれるはずだろう。それに強くなるのが目的なのにわざわざ弱いやつと組ませるのは王族が黙っておかないだろう。
どういうことだ、あっさり認められたぞ。王族や先生たちも反対することもなく、賛成した。彼女たちのそばには僕がいるべきなのに。こうなったらもっと強くなってやる。そして、向こうから振り向かせて見せる。
僕は荒井先生と丸山さんと山本さんとパーティを組むことになった。ダンジョンではスライムを倒したり、ゴブリンを率先して倒した。けれど、彼女たちの視線は僕のほうには向いていない。
絶対に倒せないスケルトンに遭遇した時、僕はとっさに逃げた。こんな所で僕は死んでいい人間なんかじゃない。しばらくしてから佐倉さんたちも戻ってきた。心配だったと声をかけたのだが、真っ先に逃げたくせにと言われた。真っ先に逃げるのは当然のことだろう?
その後僕たちは、お城の外で自由に冒険をして修行を積むことが許可された。佐倉さんたちを誘ったのだが、相変わらずヒカルの元についていくらしい。クソっ、もっと強くなって絶対に惚れさせてやる!そう決意して僕は北へと走った。
城門を飛び出して少し経った時、
「待ってよー!」
後ろから誰かの声が聞こえた。彼女は同じパーティメンバーだった丸山さんだ。
「私も一緒に連れて行ってくれないかな?」
なんで彼女を連れて行かなければいけないのだ。僕が一緒に行きたかったのは佐倉さんたちであって、お前じゃない。そう言おうと思ったのだが、彼女の不安げな表情を見ていたらそんな気も失せてきてしまった。
「……分かったよ」
「うん!よろしくね!」
頬を赤く染めて心から喜んでいる彼女を見ていると、一瞬心に強い波が打ち付けられた感覚がした。
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