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#29:それぞれの動き

9月も終盤になりました。

第29話です。そして第1章最終話です(*^_^*)

2話ほど閑話を投稿した後、第2章となります!

↓新作連載開始しました。今度はローファンタジーものです。良ければ覗いてみてください(*^_^*)

今日もあなたの心を侵略中

https://ncode.syosetu.com/n6244ft/1/

「それにしても、ボルルアにいるとは聞いてたけど着いた初日に会えるとは思ってなかったわ」

「俺も同感だ」


「皆はこれから何処か行く予定とかあるの?」


 中村さんの質問に、俺は少し考えていたのだが特に行く先は決めてなかったからな。何処に行くのがいいのだろうか。


「ヒカルに着いていければ何処でもいいわ」

「瑠光もそうだね~」

「私もヒカルさんに着いていければ」


 美涼と瑠光と愛月の3人は俺に着いてくる気満々だ。しかし、元の世界に戻る力が仮に魔王と関係しているのであれば行くべきなのは西の魔人族の国だ。しかし、俺が魔王と言えば、こいつらは俺のことを殺そうとするかもしれない。


「なるほど、じゃあ私たちもヒカル君について行ってもいい?」

「えぇっ?」


 東条さんが驚きの声を上げていた。それはそうだろう、西条さんはこの世界に来てから性格が良くなった。少なくとも俺ののことを見下したりするようなことはしなかった。ただ東条さんはそうとも限らないし、むしろ西条さんがここまで性格が変ったのも俺自信驚いている。だから東条さんが俺たちについてきたいなんて思わないだろう……そう思っていた時期が俺にもありました。


「いいわよ……よろしくですこと」


 え?顔を少し赤らめてついてくると行ったのだ。男とパーティ組むの何て絶対嫌なタイプだと思っていたのだが。


 結局何処に行くかは明日までに俺が決めることになった。うーん、西に行くわけにも行かないし、一度シャレスト王国に戻るのもありだな。『テレポート』で一瞬で行けるので大した時間にはならないのだが。


――


「今日集まって貰ったのは他でもないことです」


 魔王城と、人間族及び亜人族に呼ばれている、ティファリナ帝国のお城の重要会議室に4人の少女たちが集まっていた。


「魔王様のことだよね?お姉ちゃん!」

「そうですね……しかし」


 この国でも魔王召喚たるものが行われる。勇者召喚と魔王召喚は似た時期に発生することが多い。時期が来ると分かるようになっており、その合図を目途に勇者召喚及び魔王召喚が行われていた。しかし最後行われた魔王召喚はでは誰も召喚されなかった。ただ、失敗というわけではなく、このような前例は過去にも起きていた。勇者の中に魔王が紛れているということだ。条件は不明だが、勇者の中でも周りと余り関係を持とうとしないものが選ばれていた。そのため魔王が勇者の中に現れても、簡単に連れてくることが出来たのだ。


 事実、今代の魔王ヒカルも1人で旅をすると言っており計画は普通に進む()()()()()()()。しかし、魔王には仲間がいた。ランクの高い勇者、それにシャレスト王国第3王女フィーシャ。


「仕方がないですが、強行手段をとりましょう」


 オリビアが珍しく強行策を持ち出してきたのでルイズ、アリーチェ、アメリアの3人は驚きが隠せなかった。普段彼女は冷静に考えてから動くタイプであるからだ。そんな彼女が強行手段を使ってでもすぐに魔王を呼びたいのは理由がある。魔王不在により、魔人族の国は日々政治に従わないものが増えてきている。さらに、外部では謎の組織が人間族や亜人族と敵対するように仕向けている。


「分かりましたわ、では早速行きましょうか」

「おー!」


 アリーチェが出発すると言うとアメリアは元気に返事をした。ルイズ、オリビアの2人は軽く溜め息を吐いた。


「一応言っておくけど。遊びに行くんじゃないからね、アメリア?」

「わ、分かってるわよ」


 アメリアは目を逸らしながら答えた。


「アメリア、2人に迷惑はかけないようにね?それじゃあルイズ2人のこと頼みましたよ」

「ええ」


 オリビアを除く3人は『テレポート』を使って作戦に向けて動き出した。1人部屋に残ったオリビアは作戦が成功するのを祈っていた。


――


「ふむ、魔王はまだ出現していないと申すか」

「はっ、しかし聖なる勇者様も現れていません」

「そうか、下がって良いぞ」


 人間族が多く集まる、シャレスト王国。ここでも魔王、そして聖なる勇者の捜索が行われていた。


「お前たちも引き続き情報を探してくれ。魔王に対抗するためにもな」

「「分かりました」」


 第1王女シャルル=ティーシャ、第2王女シャルル=サーシャも探していた。王のためではなく、自分のためにだ。彼女たちはそれぞれ私兵を持っており、それらに調査させることで重要な情報を独占しようとしているのだ。無論、どちらもヒカルが隠しているので発見することすら出来ていないのだが。


 ティーシャ王女とサーシャ王女。2人の聖なる勇者に対する考え方は違う。ティーシャ王女は〈聖なる勇者〉はいずれ勇者の中から覚醒するという覚醒説を主に考えていた。一方のサーシャ王女はそもそも今回の召喚自体が外れで〈聖なる勇者〉は誕生しなかったという失敗策を主に考えていた。


「お父様少しよろしいですか?」

「どうした?」

「今度、この国で大きな闘技祭を開きませんか?みなさんがこれを目指して強くなれば、戦力の増加を見込めると思うのですが」


 もちろん嘘だ。彼女は鑑定スキルを持っているため、勇者が集まったときに鑑定を再び使って覚醒しているかどうかを見極めるためだ。そもそも鑑定というスキルを持っている人はまれである。だから彼女はこの提案をした。


 サーシャ王女も反対はしない。彼女は今、勇者再召喚を目論んでいた。最初に〈聖なる勇者〉がいないと判断した時から準備を進めていた。ただそのためには感づかれないように召喚する必要があった。そのため大会の準備で忙しくなれば、計画が進みやすくなると考えたのだ。


「ふむ、そうだな。確かに聖なる勇者以外の勇者や冒険者も鍛える必要はあるな。分かった、そうすることにしよう、サーシャも異論はないな?」

「ええ」


 こうして2人の王女の目論みにより闘技祭が開催されることになった。


――


 ドワーフの国ボルルア、その城にて、1人の王様の前に1人の少女がいた。


「お父様、お話があります」

 

 彼女の名前はバルティア=ティサリーヌ。ボルルア王国のお姫様である。


「どうかしたか?」

「私もフィーシャ王女たちについていってもいいでしょうか?この間の襲撃の際に何も出来なかった私が悔しくて」


 すると王様は迷いもなく答えた。


「そうか……分かった。冒険者ティサリーヌよ、フィーシャ王女たちと共に行くことを許可する」

「ありがとうございます!」


 ティサリーヌはそう言うとヒカルたちの宿へと向かった。

 

――

 

 今日は久しぶりの静かな朝になったな。中村さんと東条さんと再開し、愛と小林さんの4人、それに美涼、瑠光、愛月、フィーシャの4人が同じ部屋で寝ることになった。そのため俺は久しぶりに1人で寝たのだ。今日でこの街ともしばらくお別れか。


「光君、こっちこっち!」


 宿屋を出ると、俺を呼ぶ声がした。その方向を見ると愛が俺の事を呼びながら手を振っていた。他のみんなもすでに揃っていた。


「それで何処に行くか決めたかしら?」


 美涼が聞いてきた。俺は昨日一日考えて、結局シャレスト王国に戻ることになった。街の外に出たら『テレポート』を使って一気にシャレスト王国の周辺にまで行く。それが俺のプランだ。それを話すと全員が納得してくれた。


 「待ってください!」


 ボルルアを出たところで後ろから声がした。俺たちの近くに止まると、その女性は馬から降りた。


「あれ、あなたはティサリーヌさんですか?」


 フィーシャがそう言うと、ティサリーヌが頷いた。どうやら彼女はこの間の襲撃の際に他国の王女であるフィーシャが戦っているのに自分は戦いもしなかったこと。そして国の民を守るためにも力がほしいとのことだった。


「どうしますか、ヒカル様?」


フィーシャが俺に聞いてきた。別に否定する意味もないしな。


「分かった、よろしく頼む」

「はい!」


 ……しかしこの時の俺は知らなかった。ティサリーヌと冒険するのはしばらく先になるということ。そして、美涼たちとは別の道を歩むようになることを。


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