#25:サウスティアダンジョン
25話目です。
今回から数話ダンジョン編になります(深くは潜りませんが)
襲撃が終わり私たちはギルドの休憩スペースで休憩していました。しかし、私もまだまだですね、もっと良質の回復魔法を使えるようにならないと……いつか救えたはずの命が出てきてしまいそうです。
「襲撃は終わったみたいだな」
休憩スペースの外からやって来たヒカルさんが私たちに声をかけてきました。そういえば治療に夢中で気づきませんでしたけど、ヒカルさん途中から見なかったような……
「ヒカルさん、どこ行っていたんですか?」
「確かに、そういえば光君見なかったかも!」
西条さんも私と同じことを思っていたみたいです。
「ああちょっと調査をしてたからな、それにお前たちなら勝てると思って……」
ヒカルさん……そのせいで私たち死にかけたんですよ……まぁあのまま長引いていたら助けに来てくれていたと思いますし、信頼されている証と受け取っておきます。
「クローディアさんがいなかったら負けてましたよ」
「クローディア?」
ヒカルさんが首をかしげる。ヒカルさんはクローディアさんが現れる前から姿が見えなくなっていた気がしたのは本当だったんですね……
「上級魔法を無詠唱で使う凄い人よ」
「あれは凄かったねぇ、瑠光すごい驚いちゃった!」
絶賛してますね……でも実際ヒカルさんとクローディアさんってどちらのほうが強いんでしょうか?お互い全力をだしたら、大変なことになりそうです。
「愛月さん……どうかしましたか?」
「いや……少し考え事をしてただけです」
いけないいけない、考え事しすぎて根詰めた表情しちゃってたかなぁ……ヒカルさんにこの表情見られてないよね?ヒカルさんの方を向くと、どうかしたのかという感じで首を傾げた。その動作はとっても可愛い。もちろんカッコいいんですけどね……っていけないいけない、でもあんまり気にしていなさそうで良かったです。
「光君これからどうするの?」
確かに、武器を作るっていう目標は達成したみたいですし、次の国にでも行くんでしょうか?ヒカルさんは少し考える仕草をしたあと、私の予想と反した答えを返した。
「ダンジョンに潜ろうと思っている」
「ダンジョンですか?」
そして私は聞き返してみることにした。
――
次か……武器を作り終わった後の襲撃のせいで、次何するか全く決めてないなぁ。どうやら陰で企んでいる勢力もいるっぽいし、強くなっておいたほうがいいだろう。魔王は俺だということを明かして協力して元の世界に戻る方法を探すっていうのが一番楽なんだろう……
だけどもし協力を得られなかったら?俺が元の世界に戻る方法を知っていると国中から追い回されたら?俺は全ての国の人を敵に回してしまう可能性がある。今一緒に旅をしているコイツらだっていざとなれば敵に回るだろう。
〖そんなことないと思うけどね……少なくとも彼女たちは〗
〖マスター、魔王のせいで苦しめられてる、ゴメンなさイ……〗
〖気にするなノヴァ、俺が選ばれたのも運命ってやつだろ?気にするなって!だけど……やっぱり黙っておくよ〗
「光君、じゃあ今からダンジョンに潜る?」
「そうだな回復薬とかは……あるかな、じゃあ行こうか!」
――
俺たちはボルルアから最も近いサウスティアダンジョンに来ていた。ここのダンジョンはとても地下深いと有名だそうで、最高到達が第21階層だそうだ。ここでも神崎の名前が出てくるからやはりあいつは凄いのだろう。まだこのダンジョンは未攻略らしい。これはゲーマーとしての腕がなるぜ。
大きいダンジョンには見張りがいて、ステータスプレートの提示を求められた。俺たちはDランクだったが、入ることが出来た。見張りの人が話してくれた内容によると10階層ごとにワープポイントがあり、一度攻略すればそこにワープすることが可能らしい。とても便利だ。
「うー……ここがダンジョンですか……」
そんなことを言いながら愛月は俺の後ろにいつものようにぴったりとくっついている。西条さんは前衛ということもあり、瑠光と一緒に俺の前を歩いている。前を歩いてほしいと頼んだ時の西条さんが凄く落ち込んでいて、申し訳ないことをしてしまった気分だ。後ろには美涼、フィーシャ、山本さんの遠距離攻撃が得意な3人がいる感じだ。後ろからの奇襲に弱いとも考えたのだが、そうすると前が1人になってしまうためこういう編成にした。
「このダンジョンも最初はスライムらしいけど、ヒカル、どうする一応倒していく?」
「とりあえず襲ってきた敵だけ倒しておけばいいと思うよ!」
「了解!」
ここで無駄に魔法を使ってMPをするのを避けるために瑠光と西条さんの2人に交代で倒して貰っている。俺も少し戦闘訓練積んでおきたいんだけどなぁ……それはまた1人でこっそりとダンジョンに潜ったときにでもレベルを上げるとするかぁ。光と闇の属性レベルは初めから10だからいいけど、ほかの4属性はそうでもないからなぁ……
そのあと俺たちは特に苦戦することもなく2階層にたどり着いた。2階層はスライムの強さが若干強くなっていた。しかし、どちらかと言えば数で攻撃してくるという感じだ。ちなみに2階層になってからはレベルが低い西条さんと小林さんの2人で戦っている。この2人も強いことは強いのだが、最初から一緒に旅をしていたわけではないので、若干レベルが低い。【ステータス神化】まじ有能!名前が厨二臭いのはちょっと……てか俺のスキルは厨二っぽいのが多いのは一体……?
〖お似合いですよ、マスター……プププ〗
〖この野郎、笑いやがって!〗
〖これも攻撃されないところからのんびり観戦出来る私の特権なのです!〗
ミスラがどや顔している顔が何となく頭に浮かぶ。もちろん顔は見たことないんだけどね。いつか絶対コイツを俺の脳から引っ張り出してやる。そして今までの恨みを返してやろう。
「ヒカルさん光属性の魔法とかスキルって鍛えなくてもいいんですか?」
愛月がふと思ったみたいな顔して聞いてきた。愛月は思っていることが顔に出やすいんじゃないかと最近思っている。
「しばらくは大丈夫かな。技とかを研究してもっと色々な技を使えるようにはなりたいけど……〈聖なる勇者〉のお陰で光属性は最初からLv.10だからなぁ」
そうか……だけど俺も無属性魔法ぐらい使えるようになっておきたいな……【ファイヤーマスター】【アクアマスター】などそれぞれに対応したギフトがないと無詠唱で魔法は撃てないらしい。そういえばあったかなぁと思って見てみたら追加されていた。【オールマスター】とあるので恐らく全属性使えるということだ。まずは回復魔法を中心に技を増やしていくか。
「愛月、回復魔法ってどうすれば使えるようになると思う?」
「ふえっ?回復魔法ですか……うーんそうですね私は転移した時から持っていたので……」
「魔法はとにかくイメージして練習を繰り返せば使えるようになります……ただ、無属性の適性がないと覚えられないんですが……適性が増えたりすることもあるので……ヒカル様ならいけますよね?」
フィーシャが間を割って説明してくれた。それよりもヒカル様って何だよ。そういえば、コイツは俺のことを名前で呼んだのってパーティに勧誘されたときぐらいか……?それにしても様かぁ……王女に様付けで呼ばれる。うん、悪くない。……愛月さん睨まないでいただけないでしょうか……怖いよ、誰か助けて。仕方ない、練習するか。愛月の使っている『ヒール』と『チャージ』を組み合わせれば相当強い気がする。特に『チャージ』で回復するMPが消費量を上回れば消費を越えれば実質無限に魔法が撃てることになる。このダンジョンでの目標は回復魔法を極めるということにしよう。上級か最上級あたりまで使えるようになっていれば良いだろうか……いざって時に自分で治療できないと困る場面も後々出てくるかもしれないしな。
「『エアロソード』」
「『風刃』」
前方を見るとスライムたちを全滅させて笑顔でコチラに手を振っている瑠光と西条さんがいた。
「疲れたー光君ちょっと休憩しよーよ」
「分かった」
俺たち開けた場所で少し休憩することにした。休憩の間の監視は小林さんがかって出てくれた。遠視で遠くまで見えるので、俺たちと話ながらでも監視はできる。強そうな敵が来たら知らせてほしいと頼んでおいた。
「そういえば……回復魔法である程度の疲れならとることも出来るんですよ?」
サーシャが思い出したかのように言った。回復魔法って疲れもとれるのか……それはちょっと意外だな。元の世界にいた時のゲームにはそんな機能なかったわけだし。
「なるほど、じゃあ私が皆さんを回復しますね」
「ちょっと待って」
愛月が回復魔法を使おうとしているところを止めた。
「折角だから回復魔法の練習をしてみたいんだけど……ダメかな?」
「分かりました、じゃあヒカルさんに任せますね……それにしても疲れてきました」
愛月さん、さっきまで貴方元気いっぱいでしたよね?そんなに俺に回復魔法をかけてほしいんだろうか?まさかそんなわけないか……目的も分からないし。
「吉川君は確か『ヒール』は使えませんでしたっけ?」
「え、そうなの?」
監視から戻ってきていた小林さんが思い出したように俺に聞いてきた。そういえばゴブリン洞窟の時に使った気がする。だとしたら西条さんは何で知らないんだろう。えーと確か……そういえば中村さんがピンチの時西条さんと東条さん固まってたっけ……なるほどな、納得。
「まぁ一応使えることには使えるんだけどあまり質は良くなくてね……」
仕方ないのでそういうことにしておいた。そういえば一回使ってたんだっけか。とはいえ俺が使えるのは『ヒール』だけだ。出来れば『チャージ』も覚えておきたいところだ。
「あと『ヒール』しか使えないからな……できれば『チャージ』も覚えておきたい」
「なるほど……じゃあ私が教えてあげます!」
エッヘンと愛月が偉そうにしていた。先生と呼んでほしいのだろうか?
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