第89話 勇者、いつもの日常へ
――そして、私たちもようやく色々なことに片を付けて勇者宅へ戻ってきた。
「いやぁ~! やっと戻ってきたな! 自宅がやっぱり一番最高だな」
「そうねぇ。本当に色んなことがあったわね」
「全部解決した私たち凄すぎないかしらぁ⁉」
「ほとんどテンションで乗り切った感じだけどな」
「いやぁ~それにしてもみんな大活躍でしたなぁ! これは今夜もパーティーどすかなぁ!」
「なに言ってんだよトモミチ。お前はまた牢屋が空いたから牢屋行きだぞ」
「……エ、エデンはん? ほんまに言うとりますん?」
「……嘘に決まってんじゃねぇかよ! 冗談も通じなくなっちまったかぁ⁉」
「そ、そうどすよなぁ! こわぁ! めっちゃ本気の目しとりましたけどなぁ!」
「階段下の部屋は変わらないけどな。まだ」
「あ、そこはちゃんとしとるんどすなぁ……」
「よし! なにはともあれ、みんな無事に帰ってきたんだしトモミチの言う通り、今夜はゲームパーティーにしようぜ! そろそろ来ることかな?」
と同時に、【ピンポーン】とインターホンが鳴った。誰か来たらしい。
「今回は特別にいつも高級パン屋さんがピザを作って持ってきてくれたんだよ!」
「うぉおおおおおおおおおおお! 最高じゃないかピザ!」
「でかしたわエデン! これは本当にパーティーね!」
「エデン様ぁ! 気が利くわねぇ! 最高よぉ~!」
「よっしゃ! わてが最高級のお酒パチスロ店から持ってきますわ!」
「よ~し! 準備完了! 朝までゲームパーティーだ!」
「「いえ~~~~~い!」」
その夜は、私たちの歓喜の声が一晩中こだましていた。勇者の家は周りにはなにもない。付近の住民に迷惑がかかることもない。誰に遠慮することもないこの場は最高のパーティー会場だった。私たちはそんな楽しぎる夜を過ごし、気づけば泥のように眠っていた。
こんな日常を取り戻すために、これまで頑張ってきた。私たちは皆、はぐれ者といっていい。やる気のない勇者。グールの中でもとびきりのクズ。魚人族の後継者。王族の後継者争いから身を引いたもの。
そんな私も、蔑まれて生きてきた。類まれない才能で賢者へとなったが、周りの目はひどいものだった。要するにただその才能に嫉妬し、寄ってたかって私をいじめの標的にするものが大勢いた。先生ですら黙認する者もいた。そんな中でも私の才能を本物だと言って認めてくれたのが「ロマーニ老師」だった。あの方のおかげで今があると言ってもいい。
――そんな過去があり、今がある。私はその辛かった日々と今を重ね合わせながら、静かに眠るのであった。




