第77話 勇者、知らぬところで危機が迫る
「マルクス王よ。一体、これはどういうことなのですか?」
「いや……それはわしにもわからんのだ。国の紋章の上にこれ貼れって言われての……」
エデンはS級の魔物討伐時に王の間へ呼ばれ、この旗を持ってきたという。
「これは、なんのマークなのです?」
「太陽のようなマークなのだが、これを『勇者商会』のマークにするんで宣伝しろと……」
エデンは『勇者商会』にもロゴあったらかっこよくない? ってことでエデンが考えたマークと言っていたが、実はただの地図記号で『発電所等』の地図記号だった。太陽のように見えて左右の線が卍のようになっている。それを王の間へ掲げさせている。
「王よ……さすがにこれは絆されすぎやありませんか?」
「いや、半ば無理やりなのだいつも……断ることができんのだ」
「北方戦役から帰ってきたはいいものの、また厄介ごとですか」
「すまんな。なんとかお主から説得してくれんか?」
「そもそも転生勇者が魔王城に行かないなんておかしいと思っていたんです」
「そうなのだ。お主が進言してくれた勇者の給与減額も『勇者商会』で荒稼ぎする始末だ」
「なるほど。行かせたくても行かない状況ってわけですね」
「討伐依頼もちょこちょこやっているみたいで国には貢献しとるんだが……」
「確か……S級ランクの魔物を何体も倒していると?」
「そうらしい。それも相まって魔王討伐に中々行かんのだ。というか行く気がない」
「……私が送り出した『マンティコア』もあっさり敗れたと聞きましたしね」
「ん? なにを言っておるのだ。『ランドレス』よ」
「いえ……なんでもありません。とりあえず、私が勇者の様子を確認してまいります」
「頼んだぞ。次期国王のお前が行けば今度こそ魔王城へ行くかもしれん」
「では行ってまいります……では、この続きはあそこにおられる方から色々お聞きください」
「ん? あそこ? お……お前は……なにものだ⁉」
「……さぁ? 私は『ナニモノ』でしょうかねぇ?」
謎の人物が王の間へと侵入しており、言葉を発した。
――ゴードン王国はかつてない危機を迎えていた。




