第50話 勇者、パチスロ店を創造する
「……あなた悪魔と契約でもした?」
「これはすごいぞあーちゃん。俺たちはもう王の給与なんざに頼らなくても生きていける。完全勝利だ」
「すごいでげすねぇそれ! わてら永久に稼げるっちゅうことでんがな」
「やったわねぇ! 永久にゲームできるわぁ!」
「とりあえず、家の前の土地にパチスロ店を『創造』するかなぁ」
「あなたの能力、本当に可能性が無限大なだけに、他にもっと有益なやり方もあるような気がするんだけど……」
朝六時になり、少し太陽が昇ってきている。その照らす光が私たち勇者一行の悪行をこれでもかと照らしていた。だが、エデンはなに一つ怯むことなく、事を進めていく。
「よ~し。もう王の許可とかもないけどこの辺に店つくるか」
「ちょっと。本当にいいの?」
「いいって。あいつも見られたらいけないセクハラ見られてんだからさ」
卵王も、口を開いた。
「確かに……あれは上から見ていたが、息子としてすごく恥ずかしかった」
「お前が『卵王』ならあいつは『セク王』かなぁ」
「やめろ! これ以上、王族をいじるな!」
「じゃあ始めるぞぉ~」
エデンが目を閉じた。その場所に『パチスロ店』なるものを創造しているのだろう。
同時に、創造したモノがどんどんと組みあがっていく。外装から内装までエデンが創造したモノだ。その工程は本当に一瞬だった。『パチスロ店』が一瞬で組みあがった。なんとも派手な装飾。目立つことしか頭にないような設計でエデンの世界はとんでもない世界なんだなと感心した。
「よ~し。とりあえずこんなもんかなぁ」
「なんだこの能力は……許されていいのかこんなの」
「守護天使様が授けたものらしいです。誰も文句を言えませんよ」
「じゃあ次は、『筐体』を創造する。まずは簡単に誰でも楽しめるもんを多めに作るかな」
再度、勇者は目を閉じて『筐体』なるものを創造する。店には筐体がこれでもかと所狭しに並べることができた。数は千台ほどはあるらしい。すごい数だ。
「よっしゃ。これだけあれば大丈夫だろう。話題になればここはゾンビの巣窟になるぞ……」
「いやな例えやめてよね。でも、これまだ電源が入ってないの?」
「そうだな。『電気設備』を用意して配電しなければならんな」
「あんた、なんでもできるのね……」
「お前ら俺の家で夜もゲームできてコタツも使えてなにも不思議に感じないのか?」
「確かになぁ。あれなんで使えてんのか、わし不思議でしたわぁ」
「家の屋根に大規模な『ソーラーパネル』と『超大容量リチウム蓄電池』を創造して設置してあるんだよ。その二つで『電気』を生成してあの生活を実現しているんだ」
私たちはなにを言っているのか全く理解できなかったが、とんでもなく生活が豊かになることだけは想像できた。
「ちょっと。それをあんた商品にして取引しなさいよ。ちゃんと大金持ちになれるわよ」
「創造すんの案外疲れるし、第一なんで国民のこと考えなきゃいけないんだよ」
「おぉい! 第二王子として聞き捨てならないぞ今のは!」
「落ち着けよ。とりあえず『パチスロ店』ではもう一回、同じ創造をするだけでいいから楽なんでよ。それで、俺たちの永久機関は完成だ」
「いやっほぉ~! エデンはんやっぱり天才ですわあんたは!」
「よせやい! お前たちにも店員として色々協力してくれよ!」
「なによ、この店グールが接客したりもするの⁉」
「当たり前だろ。誰が他にするんだよ。ギョロ美ちゃんの半魚人は、客の中に負けすぎて暴れるやつもいるんだよ。そういうやつを追い出す『ケツモチ』をやってほしい」
「えぇ、もちろんよぉ~! とびっきりの精鋭を用意するわ!」
「なんて店なんだ……怖すぎる」
「なに? 卵王もここで働きたい?」
「そんなわけないだろ!」
「多分、すごい給与で働けることになるけどなぁ~。じゃあ電気を整えて、試運転も完了したら町にビラを配りに行こう。一度火が付いたらこれはもうとんでもないことになるぞ……」
「はぁ……魔王城っていつ行くのかしら……」
実際はもう諦めかけていた。しかし、心の中でエデンのやることは未知のことばかりでワクワクしていることも、これまた事実であった。




