FILE:76 着艦強襲
FILE:76 着艦強襲
「目標までの距離400。」
シースタリオンの中に緊張がうごめきだす。一同は眼前の巨大な戦艦に少し恐れを成していた。
「前方甲板ならば着陸条件を満たしていますが・・・。」
パイロットが空軍兵士としてごく当然の事を知らせる。
続いて柳が、前方甲板を双眼鏡で覗く。
前方甲板でも既にシースタリオンの姿は捉えられており、艦対空戦闘が用意されていた。
その動きは本当に一人の反逆者が行ったには見えぬほど鮮やかに・・・。
カッカカッ!!
デアトイフェルが光を撃ったと証拠する様に光る。
しかし、それは単純に光というよりか炎の玉。炎の玉は一斉に天の方向に向かい・・・。
急直下。
シースタリオンを囲む様に飛来する。
「よ、避けろっ!!」
西が叫ぶ。
「炎の玉。12方向より距離500ッ!!」
シースタリオンが大きく旋回する。
「大島さんには負けませんよ・・・。」
F-15DJパイロットで先輩に当たる存在を浮かばせ、パイロットの眼光は一気にデアトイフェルを貫く。
そして、下降するシースタリオン。
その姿はデアトイフェルの影に入る。
甲板では姿を消したと大騒ぎ。
直後―。
ゴォォォッ!!!
デアトイフェルの機関の音に混じってそれは現れる。
「!?」
一同が驚愕を目にする。
今までの人生の中で見てきたことの無い様なデザイン。
それが眼前に突如として大きく現れたのだ。
「ははっ。見たか?甲板の奴と目が合った。」
パイロットが思わずそんなことを口にする。
「司令ッ!今です。」
土嚢の詰まれた区画に強襲部隊が一斉に放たれる。
北部艦隊の兵士達も負けじと応戦するものの自分達の積んだ土嚢が邪魔をする。
それを機に一気にシースタリオンがデアトイフェルから離れる。
が、それを確認していた幾数かの小さな絨毯の勢が一気にデアトイフェルから放たれる。
バババババッ!!!
デアトイフェルの甲板に聞きなれない音が響き渡る。
北部艦隊兵士が腕を大きく振りかぶる。
ヒュゥゥゥゥンッ!!
すると、炎の玉が西の頭上を通り抜ける。
距離を300近く離した後に一気に西目掛けてそれが飛んでくる。
万事休す状況下で場に煙が撒かれる。
それを良しとして強襲部隊は一斉に土嚢を離れる。
煙が晴れたときには多くの死体が転び、突然の強襲部隊の姿など無かった。
様にも見えた。
柳が負傷したのだ。
「先に行ってください。殿は・・・俺が勤めます。」
大量の手榴弾を抱えながら、柳は必死に傷をかばう。
その姿に西も流石に止めることが出来なかった。
デアトイフェル 主倉庫。
「あれか・・・?」
カメラに映された大量の兵士と主倉庫という木板。
一方シースタリオン。
「は、背後にッ!敵がッ!!」
「必要ならばスティンガーを使うッ!分かったな!」
相手ももう必死。
シースタリオンもまた窮地に立たされていたのだ。
「ここで振り切らねば・・・空軍の形無しだ・・・。」
パイロット三鷹はそう小さく呟いた。
「空母までの距離。1000以上。かなりの戦いになりそうだ。」
レーダーに映された諸々の情報でそう推定する三鷹。
―代わりがいると考えてはならない・・・。ここで死ねば・・・俺達は・・・。
答えは出ていたつもりだった。
しかし、それ以上は何も言うまいとその点の思考を強制的に終わらせる。
ドッ!ドォォォォォンッ!!
スティンガーの爆音がシースタリオン始め付近の空気を包み込んだ。
確かに撃墜は簡単。しかし、数が数。
彼らは確かにその身を限りなく最悪の状況に落としていた。




