FILE:77 シースタリオンの戦い
FILE:77 シースタリオンの戦い
「三鷹パイロットッ!敵の数。さらに増えてます!」
「仮銃座は!?」
付き添いの窪田は念のために設置された銃座に目をやった。
しかし、銃座は結局無駄撃ちに終わる。二人ともそれを実感していた。
ズダダダダダダダダッ!!
窪田は何かしなければという衝動に駆られ銃座を撃ち離す。
勿論、その攻撃など無意味の終わりを示す。連中の駆動性というのはヘリや戦闘機をゆうに超えており、それのために作られた銃座の攻撃など所詮意味が無かった。
「空母にこの量を運ぶのは不味いな・・・。極東に出動を願うか・・・!」
三鷹は直ぐに空母にこのことを知らせた。現在の司令にあたる飯島は一人の空軍兵士として理解した。
しかし、極東の発艦には30分は有すると言うのだ。
三鷹達はその言葉に少し絶望もあるのだと考える。しかし、ここで容易にシースタリオンを落とすわけにも行かず・・・。
彼らは上空での戦闘に身を乗り出したのだ。
「敵の数はレーダーが捉えるに、大よそ60。この量を一度に相手するのは難しい。」
そこで、三鷹が考えたのは撃墜より見せること。
国防軍以来前自衛隊には存在しなかったヘリのアクロバットチーム。
しかし、国防軍発足以来、訓練の一環及び国防軍存在意義の一つとしてそれのアクロバットチームが発足。
だったのだが、機体の重量が重いシースタリオンでアクロバット飛行が可能なのか。
それは三鷹が不可能だと最も理解していた。
「高度さらに500上昇・・・。」
シースタリオンの機体が天にさらに近づかんとする。
窪田もまたどこか一抹の不安を感じていた。勿論、敵もお構いなしにそれについてくる。
突如として、シースタリオンのスピードが急激に上がる。
「ッ!」
「うぉ!?」
ドンッ!としっかり捕まっていなかった窪田が背中を壁にぶつける。
シースタリオンは大きな軋み音を立てつつ、大きく宙返りをする。と同時に感じる重力の喪失感。
ヘリというのはあまりにも無茶な飛び方をすると一瞬で落下する。そんなこと恐らくヘリを操作するゲームをやったことのある人間ならば素人でも理解できる。
シースタリオンは上空で落下しつつその体制を立て直そうとする。
しかし、既に海面すれすれのところまで身を落としていた。
グルリという擬音がよく似合う様にシースタリオンは大きく旋回し、海面すれすれのところでようやく重力を手にした。
そのまま、海面を飛行し続ける。
一瞬の曲芸に敵も呆気を取られ、シースタリオンを見失う。
だが、それでも一部の兵士がそれらをしかと凝視しており、彼らは直ぐに捕捉される。
すると、シースタリオンは大きく今度は上昇しつつ、45度の角度に飛ぶ。
絨毯の勢もまたそれに必死に食らい付く。
絨毯を操作する兵士と背後にいる兵士。
背後にいる兵の真後ろに遂に魔方陣が形成される。すると、そこから目にも留まらぬ速さで無数の矢が放たれる。
それはなんとシースタリオンを追尾していた。
「ッ!来ますッ!!」
外を目で確認していた窪田はそれを間接的に知らせる。三鷹もまたそれを理解出来た。
カンッ!!矢がシータリオンに直撃する。
鉄に対する攻撃にしては弱い。そう思ったのも束の間―。
ドーーーーーンッ!!!
矢が大きく爆ぜ、シースタリオンは爆風で大きく前進する。
「主翼ローターが・・・やられた・・・ッ!?」
今まで冷静を装ってきた三鷹がその不安を口にする。
もう関係無かった。
空母までそう遠くなかった。
背後で次々に極東にやられる絨毯の勢を無視し、必死に空母に向かう。
そして、視認できるほど空母が近くなった時―。
矢が二本。
当たる音を・・・。
窪田も三鷹も聞いてしまった。
ドッ!!!ドォォォォォォォォンッ!!!!
そして、シースタリオンは少しの残骸を残し、異界の海にその身を落としていった・・・。




