FILE:47 『ウルフハウンド』
FILE:47 『ウルフハウンド』
数日前 エリア王国内 某所。
―ウィニー・パディントン・・・。
男は先刻重要参考人と共に王国から姿を消したある男の顔を浮かべていた。
チィィィィ・・・と鉄と鉄が丁寧に削れ合う音が室内に響く。片方は剣でもう片方やすり。
室内は火が燃えている以外光を許さない空間。そこに剣と研いでいる男とは違う影の存在。男は敢て気がつかない様にしていた。
「・・・名乗れ。」
その影がうっすらと影からメラメラと動く火の中に姿を現せた。
だが、しかし分かったのは精々長身な男という程度。理由は至極簡単で、その人物の顔にはローブがかかっており表情一つ分からない。
しかし、その背後にの壁に煌々と円形の何かが光りだす。
「・・・魔法陣かッ!」
男―ヒューズ・イノセントはそれが何か一瞬で理解出来た。
「私はウルフハウンド所属です。これより、ウルフの解体作業を行ッ!!うぅッ!?」
声から言えるのは相手が女ということ。しかし、その発言が終わる寸前に女は胸元を手で押さえる。
一方のイノセントの手の甲には紋章が光っており、手の先からは摩擦による煙が空を舞っていた。
そして、代わりに棒状のやすりが場から消えていたのだ。
遂に女は抑える力すら失い、心臓部から大量の液を噴出しながらその場に突っ伏す。後ろの魔方陣の中心には、先刻のやすりがしっかりと減り込んでいた。
「ウルフハウンド・・・。」
イノセントは先ほど女が名乗ったその名。
「潮時か。俺もそろそろこの地を離れるか。」
□■
イーストノース とある宿屋。
「つまり、中腹エリアに北部軍の飛行隊基地があると。」
ウィニーと浅田は、地図を挟んで対面しながら座っている。ツェルト山脈登頂に当たって、作戦を練っていたのだ。
ツェルト山脈とはある意味北部軍の要塞。
「それから、この辺に魔法先鋭部隊「アベンズ」が待機してました。」
一度赴いたことのあるウィニーはワ爆確認ついでに偵察にも向かっていたのだ。
「我々、二人では心もとなくないか?」
「私が付いていこう。」
そこに一つの声が割って入った。
「た、大佐ッ!?」
ウィニーの表情が一気に緊張を張り出した。
「パディントン・・・勝手な行動はこれからは慎みたまえ。」
「は・・・」
「それに・・・私はもうウルフの隊員や大佐では無い。」
その発言は浅田すらも驚かせた。
「数日前、家にいたことだ。ウルフハウンドと名乗る女が私を暗殺しに来たのだ。恐らく首謀者はエンペスト・ウルフ将軍でしょう。」
国王亡き国家のエリア王国を実質上支配しているとも言える男。
「これからは・・・エリア王国も、軍部の国家となるんでしょうな。」
イノセントはどこか寂しそうにそう言い放つ。
「ところで、戦闘を避けて主倉庫に向かうことは出来るのかね?」
浅田が地図に目をやりながら二人の会話に入る。
「あぁ・・・すみません。えっと、中腹の飛行隊基地。山麓のアベンズ。これらを排除しなければ・・・。」
「なるほど・・・。イノセント大佐。問題は?」
「大佐で無くても宜しいですよ浅田さん。ヒューズで構いません。」
浅田は少し意外そうにそれを承諾する。
「ヒューズ。前線は任せた。私は後方にしか回れない。」
元々は狙撃手だった浅田は愛用のライフルの入ったケースを眺めながらそう伝えた。
「そうですね・・・。病み上がりですし。」
「確か魔法的改造があるんだろ?その解除はウィニーに任せるよ。」
場をしっかりと纏める浅田に回りも皆うなずく。
「私は少し長旅が効いたのですかね?疲れたので一旦自室で横になってきます。」
「あぁ。私たちもそうするか?」
イノセントの発言を基に全員が自室へと戻っていった。明日からの作戦に備え・・・。




