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ワンダーリアル  作者: 淡水
続・第七章:セントラル衝突浅田視点編
45/80

FILE:45 浅田ケンジ動く

「また、学者が来たのか・・・?」

飯島たちが遂に本土戦争に介入する数週間前。イーストノースの田舎。

しかも、人里離れた場所に北部軍の隠された連絡所及び倉庫があった。兵士は最近、ここがやけに慌しいことを知ってはいたが、それ以上は何も追求出来ない状態だった。

さらに変わったことに、ここ一週間ずっと一人の兵士とはかけ離れた学者がここに足を運んでいた。


「何でも、軍の特殊な位置にいる誰かが寄越した者らしい。まぁ、上の許可が出ているなら問題ないだろう?」

彼らは皆、レイ・セルノーツを敬っていた。でなければ彼らが北部軍として戦争に加担する必要など無い。それが顕著に現れているともいえた。


連絡所・倉庫。

「・・・こんなものが世にはあるのだな。嗚呼私の物では無いが、魔法としての役割を与えた私には親と名乗る事も出来るだろう。」

男は、大きな木箱の上に乗りそれを開ける。


中には魔法の世界にはあまり見られない丸っきり鉄の塊。

だが、男はそれをまるでわが子の様に嬉しそうに見つめる。しかし、そこに一つの影があった。


「・・・。あれが浅田さんの言っていた大和爆弾・・・?」


FILE:45 浅田ケンジ動く


エリア王国。病院。数日前―。

「そろそろ退院出来そうですね。」

蜜柑を口に運びつつ、見舞いに来ていたのはウィニー・パディントン。

浅田は少し嬉しそうな顔で「あぁ。」と返した。しかし、顔の雲行きが悪くなったのは直後。

「・・・西と飯島は仲が悪いようだな。心配だ。」

「そうでしたね。ヘル・エリア潜入のことも独断の様ですし。」

ウィニーもまた早乙女基地の内部で起きている意思の二分を知っている人間であった。


「そういえば、飯島がワ爆の資料がとか・・・。」

数日前に聞いた話を突然気にしだした。

「そういえば、北部の山中に一人に南部の兵士が荷物を置いていったとか・・・?」

「ッ!?」

浅田の表情が一変する。


ウィニー自身もワ爆の話を聞かされ、こうして彼は東北の山中へと向かっていた。そこで遂に彼は大和爆弾が保管されているということ知ってしまった。

直ぐに浅田に伝えた。


「・・・ならば、私もそろそろ動こうかね。」

深夜の言葉だった。眠気など無く完全に起きている中での血迷った様な決意。


だが、それが本物だということはウィニーが誰よりも理解していたし、彼自身がこれを何としても食い止めたかった。

「・・・これが貴方の目的でしたか。大和。」

浅田はおぞましい何かを抱えていた救助者の顔を思い出していた。彼らはその直後、エリア王国を出発していた。


□■

「い、いなくなったッ!?」

「はい。昨夜、兵士さんが突然現れ何か会話していったかと思われれば翌日には浅田さんごと・・・。」

病院についた飯島は焦った表情をしていた。

迎えに来たはよかったが肝心の人間が行方不明だというのだ。


フォースノーツ近郊。

「大丈夫ですか?お体の方は?」

「問題ない。こんなところでへばっていたら、向こうでどうする?」

ウィニーもさすがにそれには苦笑してしまった。

「ですけど、早乙女空母・・・大きいですね。」

彼らの姿は非公式の大陸船団の飛行場にあった。裏的な用途で利用するには最も部が良かったのである。

しかし、着てみれば巨大な船。


「早乙女空母・・・か。」

船の下層部にはSA・O・TO・MEと書かれている。数日前に飯島から聞かされた空母とはこれのことだ。

と直感で理解出来た。


「さ、船は整っているみたいだし出してもらいましょう。」

基地の兵士たちに見つからない様に飛行船に乗る二人。早乙女空母が発進する前に飛び立つことが出来た。


「イーストノーツまでは数時間はかかりますね。」

飛行士と会話をしていたウィニーが客室に戻ってくる。

「セントラルが危険らしいもので。」

「それほどまでに激化しているのか・・・?」

「はい。氷の女王一派が参戦したことによりセントラル付近では癒着状態にあります。」

―鈍くなったな。

そういった話なら一ヶ月ほど前は嫌でも耳に入っていた。それが最近じゃあまり耳にしない。

邪魔なものでも無いと寂しいとまったく同じ感覚が浅田を襲っていた。


「・・・夜明けだな。」

外を見ると、太陽が頭の辺だけを水平線の向こうから覗かせている。


「我々のファイもあれだけ明るくなると良いのだが。」

「・・・それは我々次第です。」

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