FILE:34 獄中の男
フォースノーツ付近 α離島。
「取り合えず、ヘル・エリアがあるのはγ離島です。ここからまだ数時間は・・・。」
「しかし、警備が厳重なのだろ?夜の内に侵入したい。」
既に時刻は夜。西たちはフォースノーツに最も近いα離島で野宿することに。
「となりますと。まずはβ離島へ向かい、そこで一日過ごすことになりますね。」
ウィニーは地図を取り出す。α~βまでの距離はさして無い。β~γまでもまた然り。
「・・・β離島はここから見えます。つまり、距離としてそこまで変わらないγを夜まで見張るのはどうでしょう?」
白田が得意の観測手としての能力を発揮させられる。全員が止めることは無かった。
「ならば、明日に備え俺は食料を少し備蓄しに向かおう。」
沢木と白田をαキャンプに残し、西達は離島の最深部へ向かう。しかし、森に入る直前。
「こちら。空軍の川田ですッ!」
声を潜めた川田の声が無線機からノイズ混じり聞こえる。
「川田!?どうした?」
突然の無線連絡に戸惑う西。すると、川田は一段と声を潜め話を始める。
「飯島二佐が・・・司令がいないことを良しに本土戦争に介入する準備を着々と進めているんです。」
「・・・ッ!あの野郎・・・。」
予想はしていた。だから、単なる怒りもあるが分かってて基地を出た自分が腹立たしかった。
「出陣はするのか?」
「いえ。まだする雰囲気ではありません・・・。司令は今どこに?」
西は自分が今、フォースノーツに最も近いα離島にいると伝える。
「作戦を完了して戻れば一週間はかかるな・・・。」
基地に戻るべきなのだが、今はあるチャンスを賭けるしかなかった。
「・・・。分かりました。こちらも一週間以内に作戦を実行に移せない様にレーダーにいくつか仕掛けを用意しときます。司令ッ・・・健闘を祈ります。」
「あぁ。そちらも無理をするなよ。これ以上の殉職者、浅田さんが知れば悲しむ。」
「はッ・・・!」
強い意志を感じながら交信を終了する無線。
「・・・行くぞ。」
同時刻 ヘル・エリア最深部。
「・・・食欲は落ちないな。」
綺麗になった皿を見て、見張りの兵士が隣の兵士に告げる。
「あぁ。天然の地下牢でよく平気なもんだ。」
「・・・。水を一杯貰えますか?」
「食後の水も相変わらずか・・・。それにしても気色の悪い右目だな。」
男はくすりと笑うと未来を見据えていると言うかの様に兵士を見つめる。
「やがて、男が来ます。私を嫌っている、私の友人。」
兵士は薄気味悪いものを見ているかの様な目で見つめる。
「どうした?占いにでも始めたか?」
すると、獄中の男は手を右目に翳す。すると、光が漏れて右目は左のそれと全く同じものに戻る。
「・・・変わった野郎だ。」
囚人にちょっかいを出すのが日課になっていた見張り兵士も流石に呆れた様子で警備に戻る。
「単なる占いならば、彼らには良かったのに。」
獄中の大和は髪も髭も伸びていた。だが、お構いなしに彼は天井を見上げる。
翌日 β離島。
「γ離島。視認。」
「どうだ?」
双眼鏡を片手に朝食を頬張る白田の隣には同じく釣った魚を頬張る西。
「ん・・・。はい。湾岸沿いに兵士は確認出来ませんねぇ・・・。」
「それは概ね、自然自体に魔法をかけて獣やら木々に命を与えて兵士代わりにしているんでしょう。」
同じく朝食を取りながら報告を聞いていたウィニーも話に入ってくる。
「・・・なるほど。見つからないには?」
「熱を感じる道具があるでしたら魂を感じるかと。」
「サーモグラフィか・・・。流石に無いか?」
ウィニーが聞きなれない道具の名前の前に首をかしげている。が同時に。
「ヴァルムグラート。タイレン。」
その呪文と共に徐々にγ離島のいたるところに赤い炎が見える。
「・・・ッ!?」
「それがあの離島を守っている兵士の魂だ。」




