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幽猫ゆうしゃ ~瘴気の世界だけど今日も元気です~  作者: 藍晶石ナイト


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3/9

迎えに来ない約束と、遅れてきた誰か

◇◇◇


「いい子でいたら迎えにくるからね。」


母さんはそう言って家を出て行った。

父さんは僕を見ないように僕に謝っていた。変なの。

親友に話したら黙って優しくしてくれたけど、突然転校しちゃった。

別に不幸だとは感じなかったかな。

だっていい子にしてれば母さんは迎えに来てくれるって信じてた。

だからいい子でいようと僕は頑張っていた。


それに、一年経たずに父さんが再婚して新しいお母さんができたんだ。

お母さんはとても美人で優しいんだ。

妹と弟ができた後、血のつながらない僕にも優しくしてくれる。


(美人すぎて母親としてみることが難しいことは秘密だ…)


腹違いの妹弟もできて家は賑やかになった。

この家に不幸な人間なんていないって僕は信じてる。


…けど、最近になってやっと気づいたんだ。

母さんが言っていた「迎えに来る」は嘘だったんだって。

僕と父さんは母さんに捨てられたんだって今になって気づいたよ。

僕ってよくまわりにバカって言われるんだけどさ、バカでよかったって初めて思った。


別に母さんを恨んでないよ。

僕には理解できない事情があったのかもしれないし。

恨んでも無意味だってことは知ってるからね。


そう思ってたけど、恨んでたのかな。


昔の僕とビート君が重なった瞬間、僕は感情的になった。

事情があったことは重々承知だけど、それでも僕は許せなかったんだ。


◇◇◇


静かな村の中。人の気配が全くない。


「瘴気人は、もういないのか。」


ローブの裾が泥で汚れないように足元に気を付けながら進む。


「村人は全員避難、今なら空き巣し放題だね。」


一足遅かったようだ。

やはり後手に回ると遭遇できない。

何人か、瘴気人に襲われたようだ。

ご冥福をお祈り申し上げます。そしてごめんなさい。

ここを曲がれば村の入り口か。

ぐるっと一周したし、そろそろ引き上げよう。

村人が戻ってきてしまう。

ああ、入り口付近にも被害者が二人。

見慣れてはいるが辛い光景だ。


被害者二人の脇を抜けようと足早になった。

すると、うめき声が聞こえた。

間違いない、男の子がうめき声をあげたのだ。


「君は運が良いね。」


そっと彼の手に触れる。


「君は、異世界から来たのかい?懐かしい服だね…」


自然と触れた手に力がこもる。


「君の旅路が良いものになることを祈っているよ。」


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