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第25話(前編)アキト、コードアリーナでの再戦

ここでひと息、アキトのコードアリーナ再チャレンジ回です。

◆コードアリーナへの到着


 一行はバグジロウに乗ってコードアリーナへ向かった。調整を終えたバグジロウは、元気そうにホバリングしている。


「アキト、体の調子が最高だぜ!」バグジロウが嬉しそうに言った。

「今日は俺も一緒に頑張るからな!『機械共鳴』のレベルも上がってるし、前より連携できるはずだ」


「よろしく頼むよ、バグジロウ」アキトも心強く感じていた。


 アリーナに到着すると、以前よりも多くの観客がいることに気づいた。様々な装備を身に着けた戦士たちが、それぞれのサポート役と共に準備を整えている。


「今日は『中級者挑戦デー』だからな」ヒロシが説明した。

「初心者を卒業した戦士たちが、より強い相手に挑戦する日だ。有望な新人が来るから、観客やスカウトの人間も多い。君にはちょうど良いレベルだ」


「今日は特別ルールでホバーカーやアンドロイドなどのサポート役も許可されています」


ミナが補足する。


(それはラッキー、バグジロウと一緒にここでたたかうのは初めてか)


◆対戦相手の選択


 受付で手続きを済ませると、対戦相手を選択する画面が表示された。


「中級者挑戦デーでは、自動マッチングか手動選択が可能です」受付の女性が説明した。

「レベル差や戦闘スタイルに応じて、適切な相手を選ぶことができます」


 ヒロシは表示されたメンバーリストを興味深そうに眺めた。


「ふむ…アキト、君の現在の実力を正確に測るには、単純な力押しタイプではなく、戦略的な相手が良いだろう」


 彼は画面をスクロールしながら続けた。


「この『ブレードダンサー・カイン』はどうだ?レベル15で少し格上だが、君のINTの高さを活かせる相手だ」


「ブレードダンサー・カイン…」アキトが画面を見ると、詳細な情報が表示された。


「人型の戦士で、舞踊のように流麗で予測困難な動きで相手を翻弄することで知られています。さらに学習型AIを搭載しており、戦闘中に相手の動きを解析して対策を立てる能力も持っています」


「レベル15…結構な格上ですね」アキトは少し緊張した。


「だからこそ良いんだ」ヒロシが説明した。

「カインは高度な戦略を使うタイプだ。君の『バグ予測』や『深層コード解析』といったスキルの真価を試すには最適な相手だろう。INTが105もあるんだ。学習型AIの思考パターンも読み取れるはずだ」


「では、カインに挑戦してみます」アキトは決意を込めて選択ボタンを押した。


◆戦闘前の準備


 控室で準備を整えていると、アキトの心は次第に集中状態に入っていった。『デバッグ・グローブ』と『コードキャスター』を装備し、気持ちを落ち着ける。


(相手は人型で戦略的…学習型AIなら、戦闘中に俺の動きを分析してくるはずだ)


バグジロウとの『機械共鳴』を確認する。以前よりも明確に、バグジロウの状態が感じられる。


「調子はどうだ、相棒?」

「バッチリだ!そちらの集中力も感じ取れる。今日は良い連携ができそうだぜ」


(バグジロウの機動力を活かして、相手の注意を分散させる。その隙に『深層コード解析』で相手のシステムを解析し、弱点を見つける。MP消費を考えると、できるだけ短期決戦に持ち込みたいな…)


◆戦闘開始


「それでは、第三試合!挑戦者アキト対ブレードダンサー・カイン!」


 審判の声が響くと、アリーナの中央に光の柱が立ち上がり、そこから一人の戦士が現れた。


 カインは身長180センチほどの均整の取れた体格で、銀色の軽装鎧を身にまとっていた。顔は整っているが、その目には冷静な知性と強い意志が宿っていた。立っているだけでも微かに体が揺れているような、まるで音楽に合わせているかのような独特のリズム感があった。


「初めまして、アキトさん」カインが流麗な動作で一礼した。

「あなたの初戦での評判は聞いております。今日は良い戦いを。お互い楽しみましょう」


「こちらこそ、よろしくお願いします」アキトも一礼を返す。


「ハッケヨイ、ノコッタ!」


◆舞踊のような攻防


 戦闘が開始されると、カインの動きはまさに舞踊のようだった。スムーズな動きには、まるで見えない音楽に合わせて踊っているかのような流麗さがある。


 アキトは『バグ予測』のスキルを発動させたが、カインの動きがあまりにも優雅で流れるような軌道を描くため、どこに焦点をあてるべきか判断がつかない。


「私の美しい動きに見惚れてはいけませんよ」


 カインが軽やかに言いながら、まるで風のように左右に揺れる。

 その瞬間、刃が空気を切り裂く音が響きわたる。


「速い!」


 アキトは咄嗟に身を引いたが、カインの攻撃は一つの流れの中で次々とつながっていく。まるで川の流れのように、一つの技が次の技へと自然に移行していく。


 観客席から「ウオオオオ!」というどよめきが起こった。


「おお、新人がカインの初撃を避けたぞ!」

「だが、カインの真骨頂はここからだ…」


 カインの二撃目が、アキトの予想とは全く違う角度から迫ってくる。体を捻って避けたつもりが、刃が頬を掠めた。


「これは…ただの連続攻撃じゃない」


 アキトは『深層コード解析』を発動し、カインのシステム深部にアクセスを試みるが、瞬間、カインがアキトの解析を察知したのか、素早くステップを踏んで距離を詰めてくる。


 その動きは、まるで彼の分析を先読みしているかのように絶妙なタイミングだった。


◆学習型AIとの駆け引き


「これは…学習しながら踊っている!」


 カインの攻撃パターンを観察していると、彼の動きは単に美しいだけではなく、戦闘データを蓄積しながら、それを踊りの振り付けに組み込んでいることが分かる。


「お気づきになりましたか」カインが優雅にステップを踏みながら答えた。

「私の『ダンス』は、相手との戦いそのものを表現した芸術なのです。あなたの動きが私の振り付けに新たなバリエーションを与えてくれています」


 三撃目が来る。今度は上段から。アキトは両腕でガードしたが、衝撃で数歩後退する。


「時間がたつほど、あなたには不利になりますよ」


 アキトは『コード追跡』を発動し、カインの思考パターンの流れを可視化しようと試みるが、思考回路自体が複雑すぎて通常の解析手法では追いつかない。


 観客席では、ヒロシとミナが興味深そうに戦況を見守っていた。


「アキトはカインの学習パターンを読み取ろうとしているようだな」ヒロシが感心した。


「でも、これでは時間をかけすぎると相手の方が有利になってしまいますね」ミナが心配そうに言った。


◆バグジロウとの連携攻撃

頭の奥で、MPの消耗を示すような鈍い痛みが始まっていた。このままでは長期戦になり、確実に不利になる。


「バグジロウ、サポートを頼む!」

「任せろ!」


 バグジロウがアリーナの上空から、カインの注意を引きつけるような機動を行う。 

 『機械共鳴』により、アキトにはバグジロウの意図が手に取るように分かる。


「今だ、おとり作戦!」


 バグジロウが急降下してカインに向かっていく。

 カインは冷静に対応しようとするが、一瞬だけ意識がバグジロウに向いた。


 そのすきを見逃さず、アキトは『超高速デバッグ』を発動させた。


「見つけた!処理の優先順位の切り替えに0.2秒のラグがある!」


 カインのシステムに微細な脆弱性を発見し、そこに向けて『コードキャスター』で攻撃を仕掛ける。


 カインの動きが一瞬止まった。


「やった!」


 だが、カインはすぐに体勢を立て直し、今度はより積極的に攻撃を仕掛けてくる。


「素晴らしい連携です」カインが認めるように言った。

「しかし、同じ戦術は二度通用しませんよ」


◆追い詰められるアキト


 さらに動きを学習したカインの攻撃が激しくなり、アキトは防戦に回らざるを得なくなった。頭痛がひどくなり、視界の端がぼやけ始める。MPの枯渇が近づいていた。


(まずい…このままじゃ...)


 カインの攻撃が連続で襲いかかる。左、右、上段、下段。まるで嵐のような攻撃の中で、アキトは必死に回避を続けるが、体力の限界が近づいていた。


 その時、観客席から声援が飛んだ。


「頑張れ、新人!」

「まだ諦めるな!」


 そして、『機械共鳴』を通じてバグジロウの声が響く。


「アキト、無理するな!でも、俺はお前を信じてる!」


 アキトの心に、仲間たちの支えが力となって宿った。まだ終わらない。まだ戦える。

(次回に続く)

さて、後半、アキトは盛り返せるのか?続きます。

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