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New Life  作者: basi
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森へ

とりあえず時間がとれたので書いてみました。


 朝早くから、剣戟の音がこだまする。

「おおらあぁ!」

 両手剣を切っ先を下にしたまま、腰の回転と踏み込みで一気に振り抜く。

 ギャリギャリギャリ!

 両手に構えた刀でそれを受け、刃の角度を調整し威力を殺す。

 完全に受けきったところで、右上段蹴りを放つ。

 それを両手剣から片手を放し、受けるが、バランスが悪く受けきれずに蹴り飛ばされる。

 すかさず追い打ちをかける。

「くっそ! って、え? あ」

 蹴り飛ばされ、急いで起き上がったが目の前に剣先があり、双刀を構えた男が立っていた。

「ふふん。勝負あり、だね」

「はいはい。参りましたよ」

「んじゃ俺の勝ちだね、キーヴ。それで、どんな感じだった?」

 双刀を納刀して、手を差しのべる。

「ああ、すげぇよ。気功使えるのと使えないのじゃ雲泥の差だ。もっと早く覚えたかったぜ。ユルは他に何かできるんだ?」

 こちらも両手剣を納め、手を取り立ち上がる。

「おお、こんなこともできるぞ」

 そうして腰をやや落とし、腰の横に両手を構え……

「波動拳!」

 一気に突き出した両手からエーテルの塊が放出され、眼前の岩を砕いた。

「っすげ! すっげぇ。何それ、俺もやりたい! やりたい」

「だよな? やっぱりこの技は使ってみたいよな」

 ユルもキーヴも小さい頃からゲームやらアニメで気功波などを使う真似をしていたのだ。興奮せざるをえない。

「もちろんだ。ってわけで教えてくれ」



「ところでユルの双刀術って二刀流とは違うのか?」

 朝の訓練も食事も終えて南へ向けて出発した頃にキーヴが聞いてきた。

「ああ、全くの別物かな。二刀流は両手に持った刀で刀術のスキルが使えるんだ。武器を二つ装備してるだけなんだけど、双刀術は両手の刀で一つの武器扱いになるんだよ。だからスキルも両手の武器を使った連携技になる。それと双刀術には型があって、受け流しの型、防御の型、攻撃の型の三つがある。朝キーヴに使ったのは防御の型。受け流しはカウンターが主体になってる。攻撃の型は防御無視で武器を使った受け流しや防御は無し。自分で避けるだけ」

「あれ? でも俺は蹴られたぞ」

「ああ、アレは武術だ。双刀術関係ないから」


 そんなこんなを話してたら山脈の麓の森に到着した。

「これは、深いな」

「山超えるまで安全なとこなんてなさそうだね」

 見える森には一応道が続いているが、周りが鬱蒼としていて光があまり届いてない。なので非常に暗く見える。

「どうする? 引き返すか?」

 一応提案してみるも、

「何言ってんのよ。せっかくここまで来ておいて、帰るわけないでしょ。そのために準備もしてるんだから」

「デスヨネ~」

 聞いてみただけなのだけどエルファから強い反発にあってしまった。

「準備は?」

「何時でもいいわよ」

「おっけ~」

「大丈夫です」

「何時でも行けます」

「いいぜ」

 エルファ、ティア、エリザ、ミコ、キーヴと返事が帰ってくる。

「うっし、んじゃ行くか」


「兄さん……」

「ユル、これは」

「ああ、コイツはまずいな」

 森に入った。入ったは良いけど、気配がやばい。気功関連を修得させた全員があまりの敵の多さに驚いている。

 俺が感知出来る範囲が殆ど敵だ。しかもやたらと好戦的。今もどこかで気配が消えている。モンスター同士で戦っているらしい。

「エルファ、ミコ。お前らは馬車に乗れ。馬は馬車に並走させる。他は徒歩だ。ゆっくりでいい。警戒しながら行くぞ。ティアは後方に気をつけろ。キーヴとエルファは左右、俺は基本は前だけど遊撃で行く。俺が一番早いからね。気配察知を怠るなよ? こんだけ居るといつどこからくるかわからないからな」

 そう指示をだして十分も経たないうちに最初の襲撃が来た。


 来たのは漆黒の毛に炎の様な瞳の獣。体長は1.5メートル程度、数は十四体。右前方からの襲撃だった。

「こっちに来なさい!!」

 エリザが《咆哮》ですぐさま敵の注意を引く。ミコが補助魔法でエリザの防具を強化する。

「行くよ!」

 ティアが飛刀を飛ばし、動きを鈍らせる。

「《シールドバッシュ》《薙ぎ払い》」

 囲まれつつ、スキルを使って敵を弾いていくエリザ。薙ぎ払いを受け血飛沫を上げるも、致命傷には至らなかった。

「浅い、ですか」

 俺は双刀を抜き攻撃の型で一気に突っ込む。なるべく首を落とすつもりで斬る。流石にステータスが違うのかサックリと首が落ちる。

「グアァア」

 獣が叫んだと思ったら、その口から火を吐いた。

「!! 皆、コイツら魔獣よ!」

 魔獣。その言葉に緊張が走る。今まで相手にしていた動物系より更に上位のモンスターだ。

「エリザ、火属性以外の魔法頼む。派手でない奴をね。みんなを巻き込むなよ?」

「うっさい! 分かってるわよ。《フリーズアロー》」

 エルファの指から氷の矢が飛んでいく。あれなら周りを巻き込むことはない。

 が、その《フリーズアロー》も避けられてしまう。

「ちょこまかと腹立つわね! 《フリーズアロー》」

 今度は十数本の氷の矢が現れ、一気に襲いかかる。しかも一本は俺に直撃コースだ。

「ッ、あぶねぇよ馬鹿」

「五月蝿い。仕留めたんだから文句言わない」

 現に二体を氷漬けにしていた。巻き込まれる方はたまったもんじゃないけどな。

「《ペネレイト》」

 ティアもスキルで切り込んで確実に一躰ずつ倒している。

「新手が来た。左後方、同じ奴が多数、俺が行くからティア、援護」

「了解。皆、前よろしく」

 俺とティアはスピード特化なのですぐさま反転して対応する。


 気功を覚えたてのミコとキーヴは、

「《ヒール》《ウォータアーマー》」

 魔獣が火を使うので水属性の防御を味方に付加している。勿論ダメージを受けているエリザの回復も忘れない。

「《地走り》クソ、硬てぇ。俺だけお荷物かよ」

 そう言いながらスキルを放って敵を弾き飛ばしている。剣圧を飛ばし、剣戟と抉った地表の欠片を飛ばす。与えるダメージは少ないがエリザに一度に群がる個体数は減っているので上等だ。

「《双刀舞・花吹雪》」

 独楽の様な回転をしながら敵数体を巻き込み、回転で上空に斬り上げる。舞う血飛沫が花びらのようだ。アクロバットを使いながらなのでスキルを発動したまま敵を追い、追撃を仕掛けてから敵を蹴り付け、方向転換をして次の目標へ飛びつく。アクロバットと内功のLvが上がったので空中の敵をけるだけでもかなりの速度の移動が可能になっていた。

「《刺突・隼》」

 突進して右突き、そして左突きと繰り出す連撃だ。ちなみに最初の突きは貫通属性、次の突きはノックバック属性だ。右突きで死んだ魔獣を左突きで吹き飛ばす。刀を引き抜く手間が省けて便利だ。

「《ペネレイト》あと少し!」

「《フリーズアロー》前は終わったわ」

「《馬蹴脚》おつかげぴ! 痛っち、ちべたい」

 俺の蹴りが決まって一体倒したが、スキル発動中だったためフリーズアローを避け損ね、右腕が凍りついた。

 幸い、蹴り飛ばしたのが最後の一躰だったので、追撃は免れた。

 


 

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