敵だらけ
題名適当です。
戦闘難しいデスネ。
少し迷子です。
エルファの誤射による傷をミコに治してもらい、漸く一息つけた。
周りの気配は馬車の周りだけ、ほんの少し減っている程度だ。
「気は抜けないけど少し休もう。ティアとキーヴで剥ぎ採りお願い。ミコはエリザを見てやって。余り時間があかずに戦闘になると思うから、エリザは休めるだけ休むこと。俺とエルファは警戒だ」
特に返事はなかったが、皆がテキパキと指示通りに動いていく。
剥ぎ採りの結果、モンスターはオヴィンニクという魔獣だと解った。
「ユル君、これ全部は無理かも」
「いざとなったら馬車に放り込むがいいか?」
「いや、剥ぎ取れるだけでいい。これからも増えるだろうから」
「わかった」
きっと馬車に放り込んでたら、すぐ山盛りになるに違いない。
またモンスターの気配が近づいてきている。
「キーヴ、ティア、剥ぎ取りを終われ。エリザ、囮たのむぞ。ミコは補助を、エルファ準備しとけよ。…………来るぞ、左だ!」
休めたのは十数分。それでも十数匹のオヴィンニクを剥ぎ採れた。エリザも体力気力ともに全快だ。
そして、襲ってきたのは同じオヴィンニク。
「またぞろと来たぞ。さっきより少ない……一気に決めるぞ。キーヴ、エリザを援護だ。ティア、行くぞ。《刺突・隼》!」
「了解だよ。《ペネレイト》」
二人とも現状で最速の突進技で斬込む。
「くそ! 俺に何しろってんだよ」
「キーヴさん、出来るだけ敵を後退させてください。一度に来る敵を減らすだけでもだいぶ楽です」
「了解だ! 《グランドクラッシュ》」
キーヴが両手剣を地面に突き刺し、衝撃波を飛ばす。ノックバック効果の強い技でエリザに群がる敵の密度が少し減る。
「《シールドバッシュ》キーヴさん、耳塞いで! 吹っ飛べ!!」
エリザのスキル《怒号》でオヴィンニクの動きが止まる。《咆哮》は敵の注意を惹きつけるが《怒号》は敵の動きを止めることができる。勿論効かないものも居る。そして、近くにいると味方も巻き添えを食う。
「っつ~。キーンときた。俺、頑張るから出来るだけそのスキル使わないでね? 退がれ!」
キーヴは早速教わった気功波で敵を吹き飛ばす。なんだかんだでいいコンビだ。
エルファは相変わらず《フリーズアロー》を数本生成して打ち込んでいる。
一度倒した相手だ。手の内もだいたい分かっている。先の戦闘ではエリザとティアが《ファイアクロウ》や《ファイアブレス》を喰らって火傷を少し負ったが、今回の戦闘は時間、傷、共に少なく終えた。
「お疲れ様。エリザは馬車に乗って、ミコよろしく頼む。今回の剥ぎ採りは無しだ。キーヴも馬車に乗れ。休みながら気を鍛えておくといい。エルファ、少し急がせよう。俺たちでもなんとかなる程度の敵だと思う。奇襲されてもなんとか耐えれるだろうから、距離を稼ごう。ティア、馬へ。森を抜けるまでは戦闘になったら馬から降りて戦おう」
俺は武器を弓に変え、馬車の横で併走した。時折、樹の上にビックスパイダーやサカルモノと云う猿が居て、そいつらを射落としながら進む。
森の中の道沿いはオヴィンニクの縄張りらしく、その後五回の襲撃を受けた。
エリザとキーヴで敵を集めて、俺とティアでもれた奴を狩る。エルファとミコは魔法で援護。
キーヴの攻撃力も少しずつ上がっていて殲滅速度も上がっていった。
昼食を移動しながら食べた後、また襲撃の気配があった。
「来るよ! 数が少ないけど油断せずに」
ガサっと藪から出てきたのは七匹のリザードマンだった。
「グギェギェギェ」
一匹がシミターを振り回しながらキーヴに突っ込んできた。
「うぉ! っぐ、コイツらヤバいかも」
俺達が今まで戦ってきたのは動物系統だけで、武器を持つ敵とは初めての戦闘だった。
鍔迫り合いになったキーヴは気合で押し返して何とか体制を整えた。
「キーヴ、無理するなよ。キーヴはエリザのフォローをメインに」
今までとやることは変わらないのだが、こちらの攻撃を敵が受けることが出来るので、相手を下がらせることが難しくなっているようだ。
ティアも短剣で対抗するが、リーチが短いので懐に潜り込むのが大変そうだ。それでもスピードで翻弄して隙を付いて倒している。
俺も色々試していた。
「《朧》」
攻撃の型の一つで素早く動き、残像で相手を惑わし隙を付く攻撃だ。リザードマン達は戦士として優秀で《朧》の残像に惑わされることはなかった。ただ、俺の速度に付いてくることはできずに胴を切られて果てた。
「きゃあ! あ、危ないじゃない」
キーヴとエリザでさばききれなかった一匹がエルファに襲いかかっていた。
「っち、《刺突・隼》」
エルファが襲われているのを見て、少し冷静さを欠いたのだろう。今まで抑え気味の速度で対応していたのを、《縮地》を発動させて《刺突・隼》を発動させていた。しかも、手加減なしの全力でだ。
結果、第一の突きがリザードマンの体を貫通し、第二突きを放つ前に体当たりをしてしまい、バランスを崩しリザードマンを串刺しにしたまま倒れ込んでしまった。当然スキルはキャンセル。
「痛っ」
カッコ悪。前にも同じようなことがあったけど、やっぱり慣れてない速度は危険だ。もっと練習するか冷静に手加減を憶えるべきだわ。
俺が転けている間に戦闘は終わったらしく、皆が集まってきた。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。平気だよ。恥ずかしいとこ見られたな……痛」
起きようとしたら全身に痛みが走った。
「おい、ユル? 大丈夫か?」
《ピンポン。アビリティ《リミット制限》修得》
「は? なんだコレ」
「おい、どうしたんだよ」
キーヴの声で我に帰った。
「あ、ああ。悪い。何かアビリティ修得したらしい。身体もなんだか痛いし」
とりあえず、アビリティの説明を見ることにした。
《リミット制限:ステータスが1000を超え、AgiがStaの倍以上あるとき、全力で動くと筋肉に負荷がかかり、ダメージを負う。それを防ぐためのリミットをかけるアビリティ。Agiを抑える代わりに、リミット制限下での各アビリティ熟練度上昇率が増える。リミット制限の熟練度が上がると制限が増え、それに伴い熟練度上昇率も上がる。制限をかける制限率の調整が可能。制限は5%刻みで設定可能。リミット解除可能。初期での制限上限は20%。現在リミット制限下、制限20%、熟練度上昇率20%。条件を変更しますか?》
なるほど。現実で人間が100%の力が使えないとかああいう感じか。とりあえず今のステータスを見て制限かけるかどうするか決めよう。
「何か体に負荷がかかったらしい。敵にやられたわけじゃないから大丈夫だよ。ミコ、皆の回復お願い。それと次が来る前に剥ぎ採りも頼むよ」
皆に指示を出してステータスを確認する。
ユル 人
称号 製造マスター、鬼達の弟子、旅路の開拓者
状態 騎乗 *()内のステータスは騎乗時
装備 瞬きの双刀、栄光騎士のコート、栄光騎士のインナー、栄光騎士のパンツ、栄光騎士のブーツ、ウェイクカフス、アーティザンリスト、エフォートチェーン
Str 1098(1398)
Vit 968(1268)
Agi 2631
Dex 1197
Int 332
Min 463
Atk 1896(2296)
Def 1258(1658)
Matk 738
Mdef 598
Agiを鍛えてたけどここまで差がついてたのか……今までの感覚だと多分ステータス的に1100前後のAgiでしか動いてないと思うな。カヴァーロの時のスピードから余り変えてないから。
とりあえずこれならリミットかけてても問題なさそうだ。
剥ぎ採りも終わって、移動しながらアビリティとステータスに付いて説明したら、呆れられた。
「ユルよ……全ステータスが俺の倍はあるぞ」
「いつの間にか私よりAgiが高いし」
「特化にも程があると思いますよ」
「呆れるわ」
「流石、兄さんです」
一名だけ尊敬の眼差しでした。
「いや、俺のステータスが高いのは皆よりエーテル関連鍛えてるからだし、Agi特化なのは前からでしょ。ティアはAgi重視だけど基本的にオールマイティだし、エリザだってStrとVitは俺なんか絶対届かないじゃん。エルファも魔法攻撃力はかなりドギツイよ?」
「それでもよ。リミット制限かかるとか、どんだけピーキーなのよ」
いや、まあそうだけどもさ。




