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12 涙で前が見えません

「…る、ま…る」


誰かが私を呼んでいる。


「まぁる?…マール」


なにその甘すぎてゲロ吐きそうな声は。


名前を呼ばれながら、身体を揺さぶられる。

ちょっとウザいんですけど!!


揺さぶってくるものを跳ね除けようとして、身体を動かしたことにより脳が覚醒してきた。

ゆっくりと瞼を開けると、キラキラした銀髪が目に入ってきた。


「…だれ?」


名前を呼ぼうとして、未だに名前を知らないことに気がついた。目の前の銀髪が少し身じろぎして、碧と金の目が光を反射した。


「寝ぼけているのか?…おい、どうした?」


怪訝そうに覗き込んできたかと思うと、彼は少し息を呑んで心配そうな顔になった。


「…?何が?大丈夫だけど。つーか、あんたの名前知らないから呼べなかっただけだけど?」


寝起きで働かない頭だが、なんとかさっきの発言の説明をしてやる。

さぞかし今の私の顔はまぬけだろうな、などと綺麗な男の顔を見ながら思ってみる。


「泣いてたんじゃないのか?」


そっと差し出された彼の手は程よく日に焼け健康的だ。それに、ゴツゴツしていて大きかった。その手は私の頬に指を滑らせ、何かを拭うように動いた。


「…泣く?誰が?」


彼が拭った跡に自分の手を当てて見れば、何かが乾いたようにカピカピしていた。


「…私泣いてた?」


首を傾げて、彼を見る。すると、彼はもう見慣れてしまったあの呆れた顔をした。


「泣いてたんじゃないのか。頬に涙の後があるし、目も赤いからな」


呆れた顔をしながらも心配そうな声色に、グッと胸がつかえた感じがして息を止める。


アレ、貴方の顔歪んでますよ?私なんか鼻が詰まってますよ?


彼の手が今度は私の頭を撫でてくる。


「俺の名は、ジェラルド・リード・リディール・アーウィシュだ」


何故今ここで自己紹介?つーか、顔を逸らしていうことか?しかも、名前長すぎて覚えられないし!何その発音!?私巻き舌はうまくないですよーっ☆


「じぇ…じぇ…ながび。おばれっ…らで、なっじ」


おいおい、私!もっと上手くしゃべりなYO!


「何を言っている…。取り敢えず、泣き止め」


ほらね、言われたじゃないか。しかし、泣いていたのか?だから、彼が歪んで見えて鼻も詰まって上手くしゃべれなかったわけね!


「…うどぅさい…」


詰まりながらも文句をいう私の頭をそっと、自分の胸へと抱き寄せる。


あんたの優しさはなんか裏がありそうなんだけどーーーーーっ!!!!!




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