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090⚫️脈動の静寂
「大神様。どうぞ、これをお手に・・・。」
マナが静かに袋を四郎次郎に手渡した。
「これは。」
「新三郎様のご愛刀です。大神のご当主が亡くなる直前に、託されました。遺言でございます。’大神の血を引くものが、必ず現れる。その時に間違いなく手渡してほしい’と。」
四郎次郎は、紐を解く。
取り出したのは、飾り気のない質素な一振りである。
抜く。
同座している九兵衛が息を飲む。
ーなんと・・・。
あたりの空気が一瞬揺れ、直ぐに感じたことがない静寂が訪れた。
四郎次郎が刀身を視る。
眼が光る。何かが動いている。いや、湖面のように静かだ。
だが、それでも何かが脈動している。
イロハも瞬きもなく固唾をのみ、声を出さない。
四郎次郎は、ゆっくりと鞘に納めた。
どこからか、風の音がする。
時代がまた、ゆっくりと動き始めたのだ。




