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プロローグ:歴史は変わらない
歴史は、変わらない。
それは後になって理解したことだ。
どれだけ抗っても、
どれだけ正しい選択をしたつもりでも、
どれだけ必死に手を伸ばしても、
結果は収束する。
まるで最初から決まっていたかのように、
世界は同じ結末へと戻っていく。
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誰かを救えば、別の誰かが死ぬ。
死ぬはずのなかった人間が死に、
死ぬはずだった人間が、別の場所で死ぬ。
悲劇は消えない。
ただ、形を変えるだけだ。
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俺は、それを知らなかった。
いや――知ろうとしなかったのかもしれない。
もう二度と、誰も見捨てたくなかったから。
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だから俺は抗った。
何度も、何度も。
間違いだと分かっても、手を止められなかった。
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その結果、どうなったか。
簡単だ。
より多くの人間が死んだ。
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それでも。
それでも、たった一つだけ。
無意味ではなかったと、思いたいものがある。
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これは、歴史に抗い続けた、一人の男の記録だ。
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誰も覚えていない。
だが、確かに——




