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俺が入院しているスキに俺の実家がRPGの舞台になっていた件について  作者: 時田総司(いぶさん)
第七章 最後の試練

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第九十話 決意

「おはようございまーす」


月曜日――、


タクヤはバイト先のコンビニに出勤していた。


「おはよう、タクヤ君。ちょっとだけ話があるんだけど……」


「? 何ですか、店長」


タクヤは店長から少々、物々しい雰囲気を感じ取っていた。


「この前、タクヤ君が110番通報したお客さんがいたじゃない?」


「ッは!!」




(回想)


「♪」


「いらっしゃいませー! こんにち……」


「おどりゃー!!」


「!?」


ならず者の様な雰囲気を醸し出す客が現れた。


「なぁんでこんなに商品がたけぇんだよ!? もっと安くしろー!!」


「と、言いましても最近は世界的な物価高で、仕入れ値も上がっておりまし……」


「そんなのカンケーあるか!! こちとら給料が上がらねーから困ってんだよ! おい!! このビール、100円で売れ」


「はい、少々お待ちください」


タクヤは、そそくさとコンビニの事務所に入っていった。そして――、


「お巡りさんですか? 今、恐喝受けてるんすけどー」


110番通報をし、警察を呼んだ。客は去り際に、親の仇でも見るかの様な、怒りに満ちた視線でタクヤを睨み付け、言った。


「このコンビニの住所と、てめえの顔覚えたからな? 見てろよ」


(回想終了)




(あん時、警察呼ぶべきじゃなかったー!!)


「大暴れしそうで大変だったんだけど、タクヤ君はもう辞めたってコトにしておいたから」


「(店長! まぢグッジョブ!!)ありがとうございます!!」


「でも一応気を付けて、働いてね」


「ハイ!!」




――、


「いらっしゃいませ!!」


「……これ、お願いします……」


「公共料金のお支払いですね? 内容をご確認されたら、画面にタッチしてください」




――、


「いらっしゃいませ!」


「郵便、お願いします」


「ハイ、少々お待ちください。……重さが……で、サイズが……なので、……円頂戴します」


タクヤは、苦手だった郵便物のサービスも、難無く対応できるようになっていた。


(ふー、初めの頃は不安しかなかったけど、この業務も出来る様になってきた。バイト社員として、戦力になってきた……のかな? でも……)




(回想)


「あんた、今の生活を何時まで続ける気?」


(回想終了)




(これじゃいけねーのかなぁ?)


タクヤのこの一週間は、不安と戦いながらの一週間だった。


木曜日――、


アルバイトも終わり、夕食も食べ、ひと段落着いたタクヤの元へ一本の電話がかかってきた。


「ブーブーブー」


「! セイジ(ゲーム内ではセルジュ)から……だ。もしもし」


タクヤはセイジからの電話に出た。


「もしもし、タクヤ。今、何してた?」


「バイトと夕食が終わって、ゆっくりしていたよ。セイジは?」


「お疲れ様。やるコトないから、『The battle begins on the farm』に一人で潜ってた。偉いよ、タクヤは」


「何が?」


「ちゃんと働いてる」


「俺は働いてるったってフリーターだよ。8時間きっちり働いてるやつらとは雲泥の差だ……」


「どうしたの? タクヤ。今日は少し暗いみたい」


「あ、ああ。ちょっとあって、な……」


タクヤは話した。母から言われたコト、それに対しての自分の思い、そしてタカヒロに相談したコト――。


それを聞いたセイジは明るく答えた。


「それでもタクヤは凄いよ。僕なんか……」


「あっ……。悪い」


「ううん、でも気にしてないよ。タクヤが言ってくれたじゃん。『今働いてないからって何だ? 仕事なんて選ばなければいくらでもある。あの野球部を続けられたセイジだ。きっと立派な社会人になれるさ。何年かかってもな!』って!!」


「! ……」


「そんなコト言ってたタクヤが弱気になってどうするの? まだ僕たち若いんだし、いくらでもやり直しは利くって」


タクヤは、急に自分が悩んでいたコトが馬鹿らしくなってきた。そして少し声を震わせながら言った。


「そのセリフ、誰かさんも言ってた様な……」




その頃――、


「べくしっ! 何だ? 風邪でも引いたか……?」


タカヒロは自宅で、一人、くしゃみをしていた。




再びセイジとタクヤの会話――、


「僕は決めてるよ」


「?」


「何年かかっても、立派な社会人になるって!」


「!」


「あの辛い練習を乗り越えてきたからね!! だからタクヤも!」


「!!」


「一緒に頑張ろう!!」


「お……、おう! 一緒に立派な社会人になろうな!」


「うん!!」


そして翌日、金曜日の勤務を終え――、


「よっしゃー! 来たぜ金曜日!! 『The battle begins on the farm』、今日はどこまで進もっかな? 日誌とかけら1つずつくらいで止めとくか?」


タクヤは週初めのそれとは打って変わってのテンションで、自室の机の前でVR待機していた。




「よし! 時間だ!!」




前もって決めていた集合時間が来たところで、タクヤはVRゴーグルを装着し、ゲームを始めた。


「シュイン!」


タクヤの降り立った地は、始まりの村、タクヤの実家(ゲーム内の)の離れ。


「タクヤぁ♪ やっほー」


「!」


タクヤが振り返るとそこにはお決まりの様にセルジュがこちらに手を振っていた。




「シュイン!」


「シュイン!」




「!」


タケヒコとノノも少し遅れて参上した。




「よぉ!」


「お疲れ様です……」




タクヤは景気よくセルジュに問う。


「セルジュ! 今日攻略するマップはどこだ!?」


「今日はね、『神殿』だよ♪」


「よっしゃあ! 今日も日誌とかけら、ゲットするぞ!!」


『おー!!』



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