第六十五話 ドラゴンナイト、タクヤの憂鬱
『タケヒコのターン:戦う――、斬り付ける!』
タケヒコは装備していた剣でルシファを切り付けた。
「ザンッ!!」
『ヒット! ルシファ、HP:450/500』
「くっ! 中々やるな! 主……名前は何と言う?」
ルシファの問いにそっと口を開き、タケヒコは答えた。
「タケヒコ……剣闘士タケヒコ……!」
「剣闘士タケヒコか、覚えておこう」
「(なーんだ、タケヒコの攻撃でも結構効くんじゃん)次は俺様の番だぜー!!」
タクヤは余裕綽々と言った感じに前へ出てきた。
『タクヤのターン:戦う――、槍で突く!』
「ザシュッ」
『ヒット! ルシファ、HP:425/500』
「……」
「……」
「クソッ! 何か言えよ!! 名は? とか色々あんだろ!?」
「……」
「行きます!!」
「ちょっと待てノノぉー!! まだ話の続きが……」
『ノノのターン:戦う――、サンダー!』
「カッ!!」
「ぐあぁぁああ」
『ヒット! 効果は抜群だ!! ルシファ、HP:378/500』
「そのドラゴンの翼を、痺れさせてやりますよ……!」
「くっ! 主……名は?」
「おいぃぃいい!!!! 何で俺ん時だけスルーして、タケヒコとノノの名前を問うんだよぉぉおお!!」
タクヤは、自身のプライドが傷付けられ、悶絶級の苦しみを味わった。一方のノノはと言うと、有頂天になっており、
「名乗る程の者では、ありませんよ……(やー! コレ一回言ってみたかったんだよねー)」
それらしいセリフを口にしていた。それを見ていたセルジュはため息交じりに、ノノに話し掛けた。
「ノノちゃん、自分のHP、見てみ♪」
『ノノ、HP:38/151』
「そうでしたぁ!!」
ノノは一転、自分の現状に絶望するコトとなる。
『セルジュのターン:回復魔法――、ギガトンヒール』
セルジュはノノに対し、杖を振った。ノノの身体は、杖の動きに呼応し、光り輝きだし、HPが回復した。
『ノノ、HP:151/151』
「ワオ!?」
「どう? ノノちゃん♪ 皆が休んでいるうちにゲームプレイして覚えた回復魔法だよ♪」
「すっごいです! ありがとうございます、セルジュさん!!」
ノノは涙目になりながらセルジュに感謝の意を伝えた。
ルシファはセルジュの回復魔法にポカンと口を開いて、驚きを隠せない様子だった。
「あれだけのダメージを一瞬で……お主……名……」
「だぁぁ! かぁあ! らぁぁああ!! 何で俺だけ聞かれないんだよぉぉおお!! チクショー、やってられるか!!」
タクヤは癇癪を起こして持っていた槍を地面に叩きつけた。
「タクヤ、クエストを途中で投げ出すな」
「タクヤ君、ちゃんと働いてください」
「うぅぅ……チキショー……」
タケヒコとノノの二人の言葉に、タクヤの喜怒哀楽の感情は、怒から哀に変貌を遂げた。
その時セルジュは――、
「名前は、セルジュ――、とだけ言っておこうか♪」
ルシファにそっと名乗りを上げていた。
「ほう、セルジュというのか。覚えておこう。さて、こちらの番だ」
『ルシファのターン:龍の牙!!』
「!」
ルシファの乗っていた黒いドラゴンは、今度はタケヒコに噛み付いてきた!
「ガブリッ」
「ぐお!」
『タケヒコにヒット! タケヒコ、HP:88/180』
「クソッ! セルジュの回復が無いと、全員2発でやられる……! セルジュ、頼んだぞ!!」
「はーい、タケヒコ♪ 私のターン待ってねー」
『タケヒコのターン:戦う――、斬り付ける!』
タケヒコは剣でルシファを切り付ける。
「てりゃッ!!」
『ヒット! ルシファ、HP:321/500』
「くっ! やるな! タケヒコとやら」
タケヒコとルシファのやり取りを見て、不服に思う者が――、
タクヤである。
「けっ! 皆して俺以外、名前覚えられやがって……クソッ!!」
『タクヤのターン:アイテム――、薬草。タクヤはノノに、薬草を使った』
「ほらよっ、薬草だ、ノノ。これでMPでも回復してろ!」
「あ……、ありがとう……ございます、タクヤ君」
「俺はどうせ薬草係だよー、へっ!」
ふて寝でもし始めそうなタクヤ。それを見ていたタケヒコは事態を重く受け入れていた。
(確かに、打点の高い攻撃を打つノノのMPは重要だ。薬草を配るのは間違った判断じゃない。でも……)
チラリとタクヤに目をやる。
(お前はそれでいいのか……? タクヤ……!!)
一方でノノは思いを巡らせていた。
(何で裏方に回ったんだろう、タクヤ君……? まあMPも回復したし、いっか。こっから頑張らないと!)
『ノノのターン:戦う――、サンダー!』
「はっ!!」
「カッ!!」
「ぐぅ……!!」
『ヒット! 効果は抜群だ!! ルシファ、HP:271/500』
「結構削れてきたね♪ ノノちゃん!」
「はい! やりました」
パンっと、セルジュとノノはハイタッチを交わした。そこで――、
「セルジュ!!」
「はーい♪ 分かってるよーっと」
『セルジュのターン:回復魔法――、ギガトンヒール』
セルジュはタケヒコに対し、杖を振った。タケヒコのHPが回復した。
『タケヒコ、HP:180/180』
「フ―。恩に着るぜ、セルジュ。皆! 相手のHPはあと半分くらいだ! もうひと踏ん張り、するぞ!!」
「おー!」
「おー!」
(約2名)
残りの一人、タクヤは独り、そっぽを向いた。
「ケッ!!」




