第六十三話 聞き取り調査
――、
「おっ、もう行くのか?」
「はい、おなしゃす」
タクヤ達一行は、カノンが居た建物から出て、入り口に立っていた船頭に出発を告げた。
それからタクヤ達一行は、水の都の各所にて情報収集をおこなった。民家や果物やに始まり、都の広場の時計塔周辺など、歴史ある建築物にも触れていった。タクヤは、少々観光気分になってしまっていた。
「なぁ。次、どこ行く♪」
「はしゃぐな、タクヤ。セルジュみたいな語尾になってるぞ」
「ですよ、タクヤ君。観光に来たわけじゃないんだから」
「何だ、ノノ。お前カノンが居たとこで『わぁー! 中も水が流れてるー!!』とか言ってたじゃねーか」
「い、今は違いますよ、クエスト達成に向けて動いています……(ホントはタケヒコ君に合わせてる部分が多いのですが)」
「んー? 何か言ったか、ノノ?」
「何でもないですよ!!」
「今日も仲良し♪ だねぇ」
タクヤとノノの口喧嘩を、今日も微笑ましく見つめる、セルジュであった。
と――、ここでタケヒコが一つ提案をする。
「次は、もっと人が集まる場所、レストランとかに行ってみねぇか?」
「おうおう。タケヒコにしては妙案じゃねぇか?」
「(何でコイツ上から目線なんだ?)ノノとセルジュは、どうだ?」
「レストラン、人が集まると思います!」
「異議なーし♪」
「じゃあ決まりだな。行くぞ」
こうしてタクヤ達一行は、水の都のレストランに行くことになった。
レストランにて――、
「おお! 濃厚なチーズたっぷりのピザに、シーフード風味のパスタもあるぞ!」
「ゴン☆」
はしゃぐタクヤに、タケヒコの鉄拳が食らわされた。
「はしゃぐな。クエストの為の調査に来てるんだ」
「うう、はーい」
レストランでの聞き込みが始まった。
「ああ、あの秘宝のコトか。……さあ、最近無くなったコトくらいしか知らないな」
「!? あの秘宝が!? 秘宝があるべき場所から失われると、都の調和が乱れるとされている……悪いコトが起きなければいいのだが」
「知らん知らん、ワシはそういった宗教的なモノは信じとらんからな。帰った帰った」
数人に聞き込みをおこなったが、これといった情報は得られていない。
「ふー、まいったな。こんな情報だけじゃあ何の手掛かりにもなんねぇな」
「ですね、タケヒコ君。まだ、レストラン周辺で聞き込みをしますか、皆さん?」
「どうだろうねぇ♪ タクヤ」
「あー!!」
「!」
「!?」
「?」
タクヤは突如として叫び声を上げる。そして走り出した。
「そこの釣りしてるおじーさん!! ちょっと良いっスかぁああ!!」
『どっ』
タクヤが釣りをしている老人に、突如として話し掛けたため、パーティの三人は腰を抜かしかけた。
「? 何じゃ。若い衆」
「俺達、何者かによって奪われた、『マリンの宝玉』っていう秘宝探してんだけど、何か知らねーっスか?」
「そうじゃの……」
老人は遠い目をして、数秒黙り込んだ後、語り始めた。
「都の南西での話じゃ……近くの水辺で釣りをしておると、酷く怯えた目をしているマリン族に出会ってな。マリン族はカノンの館か、南西の洞窟にしか生息していないハズじゃが……どうしてじゃろうな?」
「あざっすおじーさん!! よっしゃ! 有力情報ゲット! 都の南西部に行くぞ!!」
「まさか……な」
「な? な? な!?」
「タクヤの豪運、豪運を通り越して、爆運だね♪」
思わぬ展開で情報を手に入れて、一行は再び舟に乗り、都の南西部に向かった。
道中――、
「なぁ、タケヒコとセルジュは完全クリア組なんだろ?」
タクヤが二人に問う。二人は何の疑問も持たず、答えた。
「ああ」
「うん♪ それがどうしたの?」
「じゃあ今回も情報収集しなくても南西部にすぐ行けば良かったんじゃね?」
「あ―、そのコトか」
「良い質問だね♪」
「?」
「このゲーム、プレイする度にダンジョンやマップの建物や宝箱等の場所が少し変化しているんだ♪ だから既プレイでも飽きさせない様にできてて、何度プレイしても新鮮にプレイできるようになっているんだよ」
「ふーん、なるほどね……!」
ふと横に目をやると、ズーンと重苦しい雰囲気を持つ、ノノの姿があった。
「の……、ノノ?」
「フフ……フフフフフ……。どうせ私はクリアできず組なんだ……。どうせ私には分かんないんだ……」
「――」
「……」
「ははは♪」
多少の気まずさを感じながら、一行は進んでいき――、
『都の南西部に到着した』
「! おい! あそこ……」
タクヤはその水辺に二人のマリン族が居るのを、すぐに発見した。
「おーい、そこのマリン族ぅー。ちょっと良いかぁー?」
「はっ!? 人間……!」
「人間だ! 逃げろ!!」
マリン族は近くの水中に潜り、逃げ出してしまう。
「ちょっと待てー!! 俺達は怪しい者じゃあない! コレを見てくれー!!」
タクヤはそう言うと、マリン王族の紋章を差し出した。チャプンという音を立てて、マリン族の二人は水面に顔を現した。
「? ……! その紋章は……」
「マリン王族の紋章……!」
――、
タクヤ達はマリン族の二人に、事の経緯を話した。マリン族の二人はそれを腕組をして聞いていた。そして、タクヤ達の話が終わったところで口を開いた。
「今度は、こちらから話そう。数日前、マリン族大聖堂に祀ってあったハズの秘宝、マリンの宝玉を持った堕天使が、我らの住処であった洞窟に現れたのだ」
「!」




