第二十八話 ジョブチェンジ
身構えるパーティの面々。
「……行くぞ!」
『タケヒコのターン:戦う――、斬り付け……』
「ちょっと待て――――――!!!!」
タクヤが腹の底から大声を出した。
「?」
「俺のターンはどうした!? いつも、素早さステータスが高い俺から始まるはずだろ!?」
「あー、それは――」
「それはね♪」
タケヒコの言葉を遮り、セルジュが口を挟む。
「相手の攻撃、『しめつける』を食らっているうちは、素早さステータスが下がっちゃうんだ♪ だからタクヤのターンは、私の後になるよ」
「そういうコト。さて、気を取り直して……」
『タケヒコのターン:戦う――、斬り付ける』
「はあああああああ!!」
『ヒット! 効果は抜群だ!! うごめく大樹、HP:49/95』
「おっし! あと半分くらい!」
(俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに俺は11ダメージだけなのに)
声高らかに言うタケヒコと、一人悶々と苦悩するタクヤ。二人の様子はまさに絵に描いたように対照的だった。
「これでケリを付けます!」
『ノノのターン:戦う――、フルフレイム!』
「たあああああああ!!!!」
『ヒット! クリティカル!! 効果は抜群だ!! うごめく大樹、HP:0/95、うごめく大樹は倒れた』
「やったー!」
「ナイス、ノノ」
ノノとタケヒコの二人はパンッとハイタッチを交わした。
一方で――、
「オレッテ、リーダーナノニ、ナニモデキナカッタ。マルデヤクタタズダ、オレ」
タクヤは完全に戦意を喪失していた。
――、
「はい、ヒールっと」
セルジュはタクヤに対して杖を振り、回復魔法を使った。
『タクヤ、HP:130/130』
HPの数値上では元気になった筈のタクヤだったが、精神的にはとても元気とは言えない様子で、げんなりしていた。
「……」
「あちゃー♪」
セルジュは必死にかける言葉を探していくうちに、とある事実を思い出し、口を開いた。
「タクヤぁ♪」
「?」
「今回、ファイターであるタクヤは苦戦して、剣士のタケヒコは善戦できたよね?」
「……そーだけど?」
“苦戦”という言葉がタクヤにグサりと突き刺さる。
「そこで! タクヤに朗報がありまーす♪」
「? 何だよ、もったいぶってないで言えよ……」
「じゃーん♪ 450コインこっきりで、『ジョブチェンジ』という、役職を変えることが、できるんだよ!」
「なん……だと……?」
タクヤはその言葉に、ねこまっしぐらに食いついた。
「本当か!? セルジュ!!」
「うん♪」
「嘘じゃないな!? セルジュ!」
「うん♪」
「何にでもなれるのか!? セルジュ!!」
「……(基本的には)うん♪」
「何ださっきの間は!?」
「うん♪」
「何でもないんだな!?」
「うん♪」
「で、どこでそのジョブチェンジとか言うのができんだ?」
「うん♪ ……じゃなかった。始まりの村の、タクヤの実家の離れで――、だよ」
「じゃあ早速帰って、ジョブチェンジだぁー!!!!」
「ちょっと待った」
「!」
ここで声を掛けたのはタケヒコ。タクヤの提案に、待ったをかけてまで言いたいコトがあるらしい。
「何だよタケヒコ、これからジョブチェンジしに行くんだろ?」
「その前に、今回のボス戦で手に入れたアイテム、確認しておいた方がいいだろう?」
「あー、そりゃそうか」
「ここにありますよ」
どさっと、ノノが大量の薬草を差し出してきた。
「薬草×4、復活の薬草×3、毒消し草×4、コイン30。まあ、コインの数は少なめですが、色々な種類の薬草が手に入って万々歳といった感じでしょうね!」
ノノは腰に手を当て、フフッと誇らし気に語った。だが――、
「コイン30!? つーコトは……現在のコイン数540!! 450コインでジョブチェンジできるから……90コイン余る!!」
タクヤはコインの勘定にしか目がないようで……。
『……(金の亡者め)』
タケヒコとノノは、タクヤに対しての不信感が募った。
『始まりの村、離れにて――』
「さっ♪ このヒトに話し掛ければ、ジョブチェンジができるよ」
「じゃあ早速始めるぜ!!」
セルジュの紹介を受け、意気揚々とタクヤはジョブチェンジの受付のキャラに話し掛ける。
「あのー、ジョブチェンジしたいんスけど……」
「ハイ! ジョブチェンジの申請ですねこちらの中からチェンジする役職を選んでください!」
受付はそう言って何ページもありそうな分厚い書物を渡してきた。タクヤはハイと、軽く受け答えし、その書物を徐に読み始めた。
「何々? アーチャー……ペガサスナイト……おっ! タケヒコの剣士も載ってる!」
「因みに、クラスチェンジ後の役職には、ジョブチェンジできなくなっております」
「何!? クラスチェンジって何だ、タケヒコ?」
「教えてやろう。クラスチェンジとは役職がランクアップして、全体的にステータスがパワーアップするコトを指す。一定のレベルになったらアイテムを使うことでクラスチェンジができるんだ。いきなりパワーアップできない様に、ここではクラスチェンジできなくなっているんだ」
「ふーん……!」
書物を眺めながら、タケヒコの説明を聞いていたタクヤだったが、とある役職が目に留まった様だ。
「決めたぜ! 俺が次になる役職は、これだ――――!!!!」




