第二百十六話 魔族と手を組むということ
右手には黒い剣を持っており、その切っ先がこちらに当たりそうになったものの、寸でのところでクリスタルソードと魔神の三又槍が交差し防いでくれた。
「チッ、相変わらず忌々しいおっさんだこと!」
吐き捨てるように言いながらバク転をしつつ距離を取る。一人で来たのかと思ったが地面から紫の肌をしたポッコリお腹で、スキンヘッドに角が生えている蝙蝠の羽を羽ばたかせた、小さいのが幾人も現れた。
「ふふふ……お前が色々してくれたおかげで、我ら魔族はこうしてまんまと里までこれたというわけだ。本当にあの時お前を殺さなくて良かったと思うよ」
何か記憶と違う気がするけど、そこに突っ込みを入れると面倒になりそうなので、ならお礼にこちらのお願いを聞いてくれるかなと聞くと
「お前には死以外何もないわよ。エルフもろともここで死になさい!」
そう言って小さい悪魔と思われる者たちの後ろに立ち、こちらに仕向けるように右手を付きだしてくる。
「ケキャキャキャキャアアア!」
動物のような叫び声をあげながら小型悪魔たちは襲い掛かってきた。剣と槍を再び手に持ち迎撃に移る。
小さいものの魔法が使えるらしく、体の大きさにあった火の玉を口から吐き出してきた。小さな火の玉に囲まれ弾幕ゲーのような状態になったものの、祝福されし神聖な水を教えてもらっていたことを思い出し、槍を放して手を突き出し唱えてみる。
するとマナの木の周りに流れる水が一斉に彼らに襲い掛かった。あっという間に火の玉どころか人さえ見えなくなった。
取り合えず敵を探そうとしたところ、魔族がアリエルたちのところへ行き何か話している。これ以上何かされては堪らないと思い急いで彼らの元へ走り出した。
「くそっ! 時間がない、あとはお前たちで決めるが良い! 私はあのおっさんを始末する!」
話は全く聞けなかったが何か決断を迫っているようだったので、俺だけのけ者にしないで欲しいと言いつつ彼女の武器を切り払うべく槍を薙いだ。
「相変わらずでたらめな男ね! お前が知る必要のない話よ!」
最初の頃と違いこちらはレベルアップしているので、彼女の攻撃はまったくこちらに通用しておらず、少し切り結んだ後であっさり剣を弾き飛ばすことに成功する。
「さすがに野蛮人には女の魔族では力で敵わないらしい。ならば!」
そう叫ぶと遠くへ飛び退き両手を突き出した。魔法を放つのも依然見ているため、彼女の動きに合わせて距離を詰めており、あっさり間合いを潰して槍の柄頭を腹部に叩き込んだ。
「ぐあっ」
考えればそう時間は経っておらず、こちらが異常なペースで濃い体験をしているせいだろうが、彼女とこちらの差があまりにもありすぎる。
腹を抑え身を屈めていたが強すぎたのか気を失ってしまい、そのまま地面に寝そべってしまった。どこかにロープがないかと見まわしていたところ、空から大きな紐が落ちてくる。
―それを使ってください。魔族でも簡単に解けないでしょう。
どうやらエリザベスからのものらしい。安心して手に取り武器を置き、素早く胴の周りをぐるぐる巻きにし拘束した。
「ぐぐ……ああああ!」
この魔族をどうするか考えていたところで、近くから叫び声がする。視線を向けるとアリエルと化け物が禍々しい黒い煙に包まれており、嫌な予感がしたので槍と剣を振って風を起こし、吹き飛ばそうと試みるも微動だにしなかった。
「キキャアアアア」
タイミング悪く吹き飛ばした小型悪魔が戻ってきて、それを先に対処しようと攻撃を始める。小回りが利くようでなかなか撃退できず、なんとかすべてを倒し切った頃には
「どうやら時間は稼げたみたいね、私もプチデビルたちも」
地面に突っ伏しながら魔族はそういった。時間稼ぎと聞いてアリエルたちを見ると、そこには先ほどの筋肉を無理やり膨張させた化け物に、草木を巻き付けたような者へ変化した者が誕生している。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




