第二百十二話 因縁の相手
憎しみの対象であるエルフからの提案を受け入れ、王を病気にしてまで亡ぼそうとするのは、恐れているが故に自分たちの世界から消したいだけだろう。
もちろん歴史的に見れば恐れて当たり前なのだけど、エルフたちが力があったのはマナの木や妖精たちの加護のお陰である。
イリスを襲撃した時に使えたのは、森を離れたことと加護の残りみたいなものがあったからだろう。もし仮に彼らが恐れるエルフ族であれば、とっくの昔に人間族の国に襲撃を仕掛けてきたはずだ。
マナの木が弱っていることも知っていたし、エルフ自体も弱っているのを知っていた。里の騒乱を収めても統治しなかったのも、恐れからくるものだったのだと今ならわかる。
ならば恐れもなく敬われ加護がある俺が治めれば、人間族も安心するだろう。心配で怖いのであれば自分の言葉でそうならないよう、教え伝え未来を作ればいい話である。
何もせずに怖いから亡ぼすなんて、馬鹿としか言いようがなかった。他人に偉そうに神の教えを説くのなら、自分自身が前に出てやれるだけのことをやってみせればいい。
考えていたら段々腹が立ってきて、アヤメさんの攻撃を弾く力が強くなってしまい、吹き飛ばしてしまう。すいませんつい力が入ってしまってと謝罪するも、馬鹿にするなと怒り飛び掛かってくる。
「貴様はいったい何様のつもりだ? 私たちのことを知らない癖に上から目線で説教を垂れ、馬鹿だとまでいう」
「何様でもありませんが、傍から見てたら馬鹿にしかみえないんですよ。今のエルフたちを殺すことなんて、あなたたちからしたら簡単なのはわかっているはずだ。楽な道、簡単な方法を取るのがクロウ教の教えなんですか?」
「私が教義に反していると言うのか!?」
「神様を拝んでるやつが楽して逃げるなって言ってるんだ! クロウ教徒!」
説得しながら攻防を繰り返していたが、里の方から爆発があったのが聞こえた瞬間、そう叫んでシスターアヤメさんを蹴り飛ばした。
もうこれ以上彼女のために時間は割けない。言いたいことは言ったしあとはそっちで考えてください、いつでも歓迎しますよと告げサジーに乗り、急いで皆のところへ合流する。
「陛下、お見事なご差配でした。私は陛下の言葉に感動いたしました」
皆のところへ着くとパルダスがいの一番に近づいてそう言ってきた。ありがとうと答えつつ皆に里へ行こうと促し走る。
「私たち先に行ってなくてよかったの?」
エイミーにそう聞かれたが、こちらは戦力的に潤沢ではなく一人でも失うわけにはいかないので、まとまって行った方が良いと答えた。
エイレアには歯がゆい思いをさせてすまないと言うと、大丈夫とだけ言葉少なに答える。お父さんのことが気がかりなのだろうと思い、近づいて肩を抱く。
ーおやおや、こんな状況でむつみ合うなんて大胆ね。
もうすぐエルフの里と言うところで声が聞こえ、嫌な予感がしたので皆に直ぐに下がれと指示を出した。
―遅いわよ、来るのも指示を出すのも。
前から巨大な火の玉が突然現れ向かってくる。これはさすがに防げないかと思い、エイレアとエイミーを突き飛ばそうとしたが
―コーイチ! これを!
エリザベスの声が聞こえ前を見ると、火の玉の前にクリスタルソードが立ち塞がり、跡形もなくかき消してくれた。
「おやおや、マナの木の助力とは厄介。やはりお前はマナの木の騎士なのかコーイチ」
剣を手に取ろうとしたところで横から聞きなれない声が聞こえ、見ると鍔の広いとんがり帽子を被り、黒いローブを着た魔女然とした女性が飛んでいる。
「はぁい英雄さん。じゃあさようなら」
巨大な魔方陣が彼女との間に現れ、また火の玉が出てくるのかと身構えたものの
「あら、少しは猪突猛進は改善したのかしら? 勇太」
後ろから勇太が飛び込んできて、彼女に斬りかかり魔方陣はそちらに向いて剣を防いだ。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




