ネオファイトFX最強は誰だ! 王者決定戦!! ~確かにこれは戦いである~
もうすぐ体育祭だとかいうやたらと暑く忙しい時期。試験もあるし正直周りで騒がれるのにうんざりしてくる時分だ。
しかし、俺の気分はうんざりどころか、清々しく晴々していた。
……兄貴が、バイトやめさせられた。
きゃっほほおおおおいいいいいいいいいいいいいい!!!
……おっとすまん、最近益々自分のキャラが保てなくなってきてるな。だがしかし、これは素晴らし過ぎる。嬉し過ぎる。かなり清々した。
理由は兄貴がバイトに行ったその系統のコンビ二で働いてた美人で中々有名だったらしいと言うか兄貴もその人目的でバイト始めたし理由になったつまりは事の原因なんだが……まあ、その人にだな、兄貴が猛アタックしまくった結果、彼氏持ちだったその人は兄貴と彼氏に板挟みにされてノイローゼ気味になっちまったらしい。いやあ、美しいっつーのは罪だね。じゃねえ。何してくれたんだ、兄貴。
んでまあ、こりゃダメだってんで店長に解雇通知されたって訳だ。その女の人には申し訳ないが、俺としてはかなり有難かった。肩の力が一気に抜けた。兄貴のあの妙なカリスマ性も、ここじゃ通用しなかった訳だ! 兄貴は落ち込んで1週間くらい引きこもってたが。ざまあみろ。これで毎日学校でも兄貴と遭遇しなくてすむ。
俺はようやくやってきた休日に、平均睡眠時間0.5時間の穴を埋めるべく無駄な惰眠をむさぼっている。この数日はテンションが上がりすぎて夜通しK1のDVD見てみたり、徹夜で格ゲーしてみたり何故か大人買いしてしまった格闘漫画に意外と嵌って全部読んでしまったりと普段の俺からは想像もつかないような行動を多々取ってしまったために、かなりの絶対的で慢性的な睡眠不測に陥っていた。
だが、今は兄貴も落ち込みムード。俺の安眠を妨害する存在はまだまだ残っている気温の高さとか湿度の高さ以外は何もない。俺は、目は覚めたもののまだ眠いためもう少し眠ろうとベットの中で一つ寝返りをうった。
バタバタバタ、
バン!
「ゆっきっき~~~い!! 久々ぁ~!!」
「…………。」
……さっきの言葉一切を否定する。今日は最悪な一日だ。俺は額を抑えながらベットから抜け出した。こいつに絡まれるともう寝れる望みはない。
「ゆっきーテメエエ、一人徹夜で『ネオファイトFX最強は誰だ! 王者決定戦!!』やってたんだって~? 俺様を誘えよ~!! 強いんだぞ、俺様最強なんだぞ!! 特にガンシューティングとか!! その証を見よ!!」
兄貴が誇らしげに腰のホルスターから取り出したるや、こちらも久々、ワルサーP38だ。何故この銃でなければならないのかは皆目見当もつかないが、取り敢えず兄貴はこの銃を溺愛している。理由を聞いても「怪盗はこの銃じゃなければならないんだ! 理由? それが世界のルールだからさ!!」とか言う。訳解らん。
「ふーん。」
「ゆっきー!! 今これをバカにしただろ!! 死にさらせ!!!」
返事返してやったのになんつう言い様だ。お前は会話してもらえるだけ有難く思え。
「…………死ね。」
「うきゃあああああああああ!!! お前が死ね!! ばーかばーか!! この偉大なる銃の良さが分からないなんて、生きる資格すらない!!」
ほー。そーゆーコト言うか。
「ふーん。なら、ちょっと見せてよ。」
俺が手を兄貴のほうへ突き出すと、兄貴は物凄く嬉しそうな顔をした。ああ、瞳が輝いて見えるってこんな表情の時に言うんだな。気色悪い。
「ああ、まあ普段はゆっきーみたいな愚民には触らせてなどやらないのだがな、今日は特別だぞ、ゆっきーは俺様の弟だからな、だけど今日だけだぞ。」
満面の笑みでそんなこと言うな。鳥肌立つ。俺はワルサーP38という名のゴミを持った手を大きく振りかぶった。
バキ!!
「ぎゃあああああああああああああああああ!!!! ゆっきいいいいいいいいなにやってんのてめえええええええええええええええええ!!!!!!!」
「……あ、すまんつい。余りにも気色悪くて。」
「そんなスッキリしたような顔で言うなあああああああ!!! うわああああああああああああああああああああああ!!!! わるさあああああああ!!!!」
兄貴は泣き崩れた。
ワルサーP38は銃身のところで真っ二つに折れてしまった。兄貴はしゃがみ込んでしくしくと泣いている。相変わらず気持ち悪い。まあ大人しくなった事だし良しとしよう。俺はまたベットに潜り込んだ。
「うっうっ……わ、わる、さ……俺の半身……。……ゆっきー許すまじ!!」
兄貴は物凄い形相でばっと振り返って俺の布団を剥ごうとしてきた。無駄だと分かっているのかいないのか。どちらにせよ馬鹿だ。兄貴のなまっちろい腕力が現役高校生の睡眠欲に勝てるわけが無い。
「ふーはっ、ふーはっ!」
何の掛け声だそれは。口からなんか出すつもりか? スライム的な何かとか。
「……ハア、ハア、ハア……。」
息切れるの早いな。まあ、もともとの軟弱さに加えてこの一週間引きこもってたから当然と言えばそうとも言うのだろうが。兄貴は布団と掴む手を離した。多少取り乱した様子で前髪を掻き上げている。先ほど睡眠欲だとか何とか言っていた割に完全に覚醒してしまっていた俺は少し布団の間に隙間を作って兄貴を見ていた。暇だし。もう寝れねえし。
「あー、そうだ。天気もいいし久々に我が僕たちに合いに行ってやるかなー。あ、ゆっきーも来るか? 俺様の荷物くらい持たせてやってもいいぞ。」
兄貴は俺が起きていて尚且つ自分の事を見ていると気付いたのかニヤニヤしながら顔を部屋のドアを向けながらもチラチラとこちらを見てくる。かなりムカつく。無限大にキモい。
「あ? 誰が行くかよクソ馬鹿馬鹿しい。俺は寝るんだよ。」
寝れそうもないが。取り敢えず出て行け。ついでにその折れたゴミも持ってけ。俺の部屋が穢れる。
「何でだよー。俺様の荷物持てるなんてすげー光栄なんだぞ~? 来いよー来いよ来いよ来いよ来いよおおおお~~~!!!」
「煩えええええええええええええええ!! うぜえええええええええええええ!!! 死にさらしやがれこのクソ兄貴が!!!」
俺はわさわさと布団に圧し掛かってきたり揺らしたり抱きついてきたりする兄貴を布団ごと殴り飛ばした。だってウザ過ぎる。
兄貴は相変わらずの軟弱さでいとも簡単に狭い部屋の反対側まで吹っ飛んでいった。俺は、ベットの真ん中に立ってふん、と鼻を鳴らした。
「ゆ、ゆっきー……。」
兄貴はゆらゆらと立ち上がる。まるでゾンビが復活する時のようだ。俺はドン引いた。
すばやく布団を回収し頭から被る。ダメだ。気持ち悪すぎる。何であんなのが俺の兄貴で家族なんだ。
「あ、ちょ!! ゆっきー行こうよ~! ね-? いいでしょゆっきぃ~~!!」
もうウザくても殴らない。だから早く出てってくれ。あ、寝れそう。マジ寝れそう、超寝れそう…。
「寝ちゃったの? ゆっき~! ゆっきゆっきゆっきゆっきいいいい!!!!」
「起きてよ―起きてよ――――!!! ヤダーヤダヤダ――!!! 俺様寂しくなったら死んじゃうぞ―――!!?」
「ママンもパパンも今日はいないんだって!!! このままじゃ俺様飢え死にしちゃう!!」
「ゆっきーのバカー! 薄情者ー! 吊り目ー!! 死んじまえー! あ、やっぱ死んじゃダメー!!」
「……ぐすん。いいもん。俺様ゆっきーが心開いてくれるまで毎日学校に合いに行ってやる。」
「それはやめろ!!!」
学校でも会うなんて耐えれん。つーか事実耐えれなかった。
「あーなんだゆっきー、起きてたんじゃないかー! 狸だな? 狸さんだったな?」
「当たり前だ!! 寝れるわけないだろこのクソ兄貴が!!」
「あははは、相変わらずひどい口調だな。……次は無いと思えよ。取敢えずいくぞ、我が犬ゆっきー。」
はあ、行かなければならないのか。学校でまでコイツに会うよりかはマシか……? 兄貴何故かセンセー達にまで気に入られて出入り自由になっちまったからな……。何故だ。何故こう俺の思う通りにいかない?
兄貴はぐきゃきゃきゃきゃなどと下品極まりない声で高笑いすると、どこからともなくワルサーP38を取り出して、胸の前でクルクルと回転させてから払う様にして腰のホルスターに入れた。いったいどこから出したんだンな物。俺はとっさにさっき俺がワルサーP38を思いっ切り故意に叩きつけた辺りを振り返ったがあの銃はどこにも見当たらなかった。
「立て、立つんだゆっきー! そして俺様について来い!」
うぜえ。が、ここで無視して本当にこれ以上学校に来られても困る。つーか俺に安息の地がなくなる。という訳で冗談抜きに鉛並みに重い体を引きずって俺は兄貴と共にせっかくの休日を一日無駄にしに外に出たのだった。
「ゆっきー、今日は神の車で外出するぞ。」
「……は?」
俺の思考は一瞬、事態の飲み込みを拒否した。当然だ。
「だーかーら神の車だって! どんだけ耳悪いのもーゆっきーのおバカさん! 因みに名前は瑠麺麭号だ!!」
おれは薄っすら笑って兄貴の頬に手を伸ばす。兄貴がきょとんとしてから何故か顔をほころばす。指先が頬に触れたところで躊躇いも何もなく思いっきり肉を掴みドアノブを回すように左回りに捩じった。兄貴の顔が見る間に歪む。当然だ。
「いーたいたいたいたいたいたいたいいいいいい!! ゴメンゆっきごめん! マジでゴメン!」
おれは指を離してやった。兄貴は地面に崩れ落ち完全なる涙目で頬を抑えながらおーいたいとか言っている。俺はその様を最近思いだせる中でも一番の冷めた瞳で見下ろす。当然だ。
「ゆっきーテメエエ、神に向かってこんな事して良いと思ってんのか!?」
「良いんじゃねえの? ……行くんだったらこんな下らねえ事してねえで早く行こうぜ? なあ、お兄様よ?」
「……、うん……。」
兄貴はがっくりと肩を落としながら家の裏手にあるもう使われていないガレージに向かって歩き出した。しかしそれも一瞬で、直ぐに何時も通りスタスタと胸を張ったような歩き方に戻った。基本的に都合のよい頭の作りをしているのだ。長い人差指でくるくる回すキーリングにはカギが10本程通っていて、ジャラジャラと音を立てている。
「ゆっきー、ちょっと待ってな。」
荒れ放題の庭の隅っこに埋もれる様に立っている罅割れたトタン屋根のガレージについた兄貴は、いくつもある鍵のなかからあっさりと一本を選び出し、ガレージのシャッターのカギ穴に押し込んで左側に回した。
がちゃり。
あっさりとカギが開き、兄貴はシャッターをガラガラと音を立てながら押し上げる。段々と薄暗い中の様子が光に晒されて露わになってくる。
「……古ッ!!」
「古いとは何だ! 失敬な!! これは初代マーチ、滅茶苦茶珍しいんだぞ!!?」
初代かよ……いったい何年前の代物だ? 取り敢えず確実に俺はまだ生まれてねえ年代だろうな。…っつーかよくそんなモン手に入ったな。まあ、大方車オタクの軽井沢のじいさんに譲ってもらったんだろーが……あの人も兄貴溺愛してるし。
塗装し直したのだろうか、所々剥がれて赤が見えてはいるが車体は一応くすんだ黄色だ。何だ、マスタード色って言うのか? とりあえず気色悪い。これ乗ってる所ダチに見られた暁には俺はいい笑い者だ。
「さあ、乗れ、ゆっきー!」
「……兄貴が運転すんのか……。」
不安だ。そもそもちゃんと免許持ってんのか? 学校すらちゃんと行ってたのか怪しい所なのにさ。ましてや教習所なんて他人しかいないんだぞ? 行く前から拒否しそうだ。
「大丈夫だ、ゆっきー! 何の心配もするな! ちゃんと免許は取ったから!!」
……思考読まれた? まあいい、取り敢えず意を決して乗るんだ、俺! 平穏な日々の為に!! つーか免許持ってたのか。まあ良いトコペーパードライバーだろうな。普段は父さん母さんに運転させて後部座席、俺の隣で踏ん反り返って足組んでるから。
俺は恐る恐る助手席に足を踏み入れた。
「のわ―――――しゅ!! 土足で上がるな!! この礼儀知らずが!!!」
「黙れ! こんなのに裸足で乗ったら足が汚れるだろうが!」
「こんなのって……。」
兄貴はもういいもん……と拗ねた面持ちで車の反対側に回り俺の隣の運転席にドカリと座った。左手でハンドルを握り、右手で器用にさっきのキーリングからまた迷いもせず一つのカギを握り込み、カギ穴に差し込みエンジンをかける。……うん、気持ち悪い。
「よし、瑠麺麭号はっしーん!!」
ブルルルルルルルルギャギャギャギャキキイイイイイイイ
やたらと不安になるような音を立てて兄貴は車を発進させた。まあ当然のことながらこの車、マニュアル車なんだが。本当に大丈夫なのか…? 草だらけだが一応私道までは一直線のはずなんだがな。既に道が兄貴越しつまり右手に見えているのは気のせいだろうか。
ガン、ガンガンガキイイイイイイイ
「やめろ、兄貴! 止めろ!! 擦ってる、擦ってる!!!」
こんな運転だから塗装が剥がれまくってたのか!!
「面舵いっぱ―――――い!!!」
兄貴はレトロと言えば聞こえはいいが実際はただの錆だらけのハンドルを右側に何度もガラガラと回す。もうやめろおおおおお!!!
ガガガガガガガガガガガガガガガバキ!
「だっしゅつー!!」
「だっしゅつーじゃねえ!! ガレージの左側吹っ飛んだぞ!!? つーか左のミラーねえじゃねえか!!」
「大丈夫だ!! 右のミラーも無い!!」
「何が大丈夫だ!! 降ろせこのバカヤロオオオオオオオオオ!!!」
やっとの思いで車は私道に乗り出した。俺は人様の家に突っ込みやしないかと気が気ではない。もう降ろしてくれ!! 俺が何をした!
「取り敢えず公道に出てしまえばこっちのもんだから!」
「余計危ないわ!!」
時速20キロくらいでトロトロと進み、かと思ったらいきなり猛スピードで発進しだしたり、凡人で常識人、一般人の俺には到底理解できないような運転法で、黄色(所々赤)の初代マーチが見慣れた近所の風景を歪ませながら進んでいく。つーかさっきから兄貴一切ギア触ってないんだが。どうやってこんな猛スピードが出たりするんだ……!?
………ハッ!
「兄貴ィィイイイイ! もしかしてこのボロ車、ギア壊れてんのか!!?」
「え!? そうなの!!?」
「そうなのってお前ええええええ!!! 降ろせ! 今すぐ降ろせええええええええ!!!」
「ダメ! ダメダメダメダメダメエエエエエ!!」
「何処の駄々っ子だ!! 大体こんな運転でよく免許取れたな!」
「仕様がないだろ、車運転するの免許取って以来5年振りくらいなんだから!! 」
………ハア!?
ちょっと待て、落ち着け、落ち着け俺。よく考えろ、よく考えるんだ。まず、兄貴がゴールド免許ということは、この運転だ、兄貴がいかに吸引好かれ体質であったとしても万が一にも有り得ない。ぜってえ免許取った瞬間は喜び勇んでこのかなりヒドイ車乗り回してたはずだ、K察にお世話になること数十回……じゃ済まねえだろ。ってことはその他の免許の更新は3年に1回が原則だから……。
無免も同然じゃねーか!! つーか事実無免だよ!!!
「お、降ろせええええええええええええ!! 俺まだ死にたくねええええ!!!」
「だ――めだよ――ん! お、だんだん勘が戻ってきたぜ!」
そうこうする内に、車はぐんぐんスピードを上げ、とうとう公道に乗り出てしまった。今までは幸い対向車や歩行者と遭遇する事もなかったが、公道では結構なスピードを出した車がビュンビュンと行き交っている。って、信号変わってねえのに入り込むんじゃねえ!! 死にてえのか!!
「目的地の未来我奈居公園は右折後三番目の信号で左折、そのまま100m直進だ! ゆっきー乗組員、行くぞ、面舵いっぱ――――い!!」
パパァ―――――!
「ゆっきー乗組員ってなんだ! あ!? ああああああああああ!!?」
クラクションの嵐の中、兄貴は車体を斜めにして強引に右折させながらアクセルを全開にして無理矢理流れに乗せるという物凄いドリフト走法でその場をやり過ごした。俺を殺す気か。
幸い信号は見たところ直線道路の三つ目まですべて青。このスピードなら赤に変わるまでには私道に入れる……と願おう。それより、前の車フッ飛ばさないかが心配なんだが。まあ皆ビビッて端に避けてくから大丈夫か。
「ははははははははは!! 愚民共ォォ、俺様に平伏せええええええええ!!!」
兄貴は高らかに笑い声を上げた。前を見ている様子はない。景色は物凄いスピードで進んでいく。信号機のポールが曲がって見えるほどだ。兄貴は公道の制限速度を一体何キロだと思っているんだ。
……信号機? って今のが三番目じゃねえか!!
「あああああああああ!! 糞兄貴ィィ、死んじまええええええええええ!!!」
どーするつもりだ!!! つーか今更だがあの公園俺ん家から徒歩10分だぞ、車で行く意味ないじゃねえか!
「あれ? 信号越しちゃった!?」
「越しちゃった!? じゃねえよ! どーするつもりだ!」
「こーいう時は4番目でもいいから曲がっちゃうのだー!!」
「ちょ、兄貴それ高速の入り口……!!」
「え!? 何ってゆっきー!? あ!? あああああああああああああああ!!!」
ちょっと待て、俺。否、よく考えろ、俺。
さあ、ここで賢明な読者殿達にひとつ問題だ。家から徒歩10分のところにある公園に車で行ったら何分で着く? ……常識的に考えたらカップラーメン作るくらいの時間で行けるはずだ。
では、なぜその程度の間に滅多なことでは動じないと評判の俺が見るからにグロッキーな状態になっているのか。
「……ごめんゆっき……。」
「……もう殴る気もしねえ…。」
……答えは40分だ。何で徒歩の4倍もかかるんだよ!! なんかこの40分で3日分位の気力を使い果たした気分だ……。まああの車が幸いにもまだブレーキが生きてたことが唯一の救いだったか。
「と、取り敢えず公園入ろう、な? そうだ、ベンチあるから座ろう。まだ足元グラグラするか?」
「あー、否、大丈夫だ。大丈夫だから触れるな。」
俺は見るからにフラフラしながら公園に入った。その後ろに普段のウザいくらいの余裕など一切なくした兄貴がオロオロしながらついてくる。つーか兄貴は何でこんな所に……? 誰かと持ち合わせでもしているのか。
「あ――! るぱんさまだー!!」
「ホントだ――!!」
俺達が公園に足を踏み入れるとほぼ同時に、幼い声が上がる。子供だ。子供が……5人くらいで固まって何かを覗き込んでいたのが一斉にこちらに向かって走ってくる。走ってくる。走って……
「るぱんさま――――!!」
「ぐぼあ!!」
「ゆ、ゆっき――!! こらー! お前ら、ゆっきーは今とてつもなく車酔いの余韻が波のように襲ってきてる酷い状態なんだぞ!! それに俺様はこっちだ、それはゆっきー!!!」
兄貴は物凄い勢いで子供から俺を引き剥がすと、すぐ傍にあったベンチに俺を座らせ、自分は隣にどっかりと腰をおろした。
「ごめんなさい、るぱんさま……。」
「だってひさしぶりだったんだもん。」
「うん。」
「むー。るぱんさまがあそんでくれないのがわるいんだもん。」
「るぱんさまがいないとたいくつだもん。」
……なんだこれは。いったい何の状況だ。それより兄貴は一体何を目指しているんだ。
「そうだ、誰か飲み物を持っていないか? ゆっきー、何か飲んだら楽になるだろ。」
「ぼくもってるよ!」
「あたしももってるもん!」
「ゆんちゃんのあたらしいやつだよー。」
……子供が……。こんないたいけな年頃の子供が……。何故兄貴が現れた時のウチのクラスの女(男も多少混ざってはいるが……仲原とか)のような反応を!!?
「いや、別に大丈夫だ。それより子供から搾取するってどうなんだよ。」
「搾取……?」
「さくしゅー?」
皆一様にきょとんとする。あー、そうか。そうだよな。当事者にしたらこれは只の善意、または慕う心ってやつだろ? ……兄貴は知らんが。つーか搾取の意味を知っているのかどうかの方が怪しい。
「……ま、ゆっきーが言うなら大丈夫か。」
兄貴はふうと大きく息を吐いてベンチの背もたれに体を預けて前髪をかき上げる。子供は意気消沈したように肩を落とした。……そこまでなのか。
「いっ!?」
突然足の甲に鋭い痛みが走る。………否、正直たかが子供と油断していた。かなり慣れてやがる。俺は俺の右足をぐりぐりこれでもかと踏みつける青い小さい靴を睨みつけた。それを辿った上にある顔が、にたりと笑う。……成程、そういうことか。いたいけな子供、という表現は間違っていたわけだ。俺はにたり、と笑い返した。ガキは一瞬びくりと顔をひきつらせる。
「ん……? どうした、ゆっきー?」
「いや、なんでもねえよ。なあ?」
青靴のガキにニッコリと笑いかける。右足の上の足はいつの間にか無くなっていた。
「只、俺心の狭い高校生だからさあ、ガキ相手でもイラついたら手出そうで怖いんだよね。」
「うぬ。ゆっきーの気の短さは無暗矢鱈と顔の怖い大型犬にも勝る所があるからな。」
ガキ共は俺からズルズルと後ずさり、兄貴の後ろに隠れた。
「コラ、ゆっきー。我が僕たちが怯えているではないか。」
兄貴が言うと、ガキ共は得意げな顔をしてこちらを見てくる。こんな不甲斐無い情けない大人に守られてここまで優越の笑みを浮かべる幼児に俺はこいつらの未来が心配にならないでもない。
多分こいつらの中では身分的に「俺<兄貴」の構図が成り立っているのだろう。まあ家や学校での不当な扱いは確かにその構図に基いてはいるが……。残念ながらこれには今この状況下において絶対的な欠点がある。
「あ? 黙れ、この糞兄貴が。」
「ゆっきー酷い! 俺様悪くないのに!!」
俺に対して影響を与えるような兄貴擁護の奴等(親、クラスメイト、近所のおばさん、その他多数)が周りにいないとき、俺等間の立場縮尺は「兄貴<俺」なのだ。否、常に立場的にはこの状況が続いているとも言ってもいいのだが、なにせ周りがな……。兄貴のこの訳の解らん吸引カリスマ体質はどうにかならないものなのか。
「るぱんさまー!」
「むうー、ゆっきーのばかー!」
ガキ共はすかさず兄貴にフォローを入れる。つーかお前等までゆっきー言うな糞ガキ共が。
「こんなやつほっといてあそぼうよう。」
「るぱんさまあそぼうー!」
「あそぼー。」
「……うん、そうだな、久々に遊んでやらん事もない。」
すると、ガキ共は弾けんばかりの笑顔をしてわいわいと兄貴の周りを飛び跳ねた。鬱陶しい事この上ない。俺はガキも嫌いだったか。最近自分の性格を掴み切れなくなってきている。取り敢えず、日に日に荒んできている気がするのは決して気のせいではない事だけは分かるのだが。
「……なら俺はここで寝てるから帰りに起こしてくれ。」
「え!?」
え!? 何が!?
俺とガキ共は一斉に兄貴の方を見た。
「ダメダメダメ! ゆっきーも一緒に遊ばないと連れてきた意味が無いじゃないか!」
「え、いやお前荷物持ち云々言ってたじゃねえか! それにいい年こいた高校生が何で幼児と楽しく遊ばにゃならんのだ!」
「ぼくやだよ、ゆっきーこわいもん!」
「やだー!」
幼児+俺(今だけ連合軍)に攻め立てられた兄貴は完全に拗ねて明後日の方向を抜いてルパン三世のテーマを口ずさみ始めた。勿論鼻歌だが。歌詞を知らんのだろう。
「るぱんさまー。」
「あ、ぼくいえからおかしもってくるね!」
「あー、あたしも!」
「またすぐくるね!」
ガキ共は口々に兄貴の背中に向かって喚き立てると一斉にどこかへ散らばって行ってしまった。……これは、俺に兄貴を何とかしろと言いたいのか。
「ねえ、ゆっきー。」
「……………なんだよ?」
「その間は何だ、その間は! 俺様傷ついてるんだぞ!?」
だからどーした。それがどーした。なにがどーした。
「俺的にはそろそろストレスの捌け口が欲しかった所なんだよな……。」
「………。」
「………。」
俺と兄貴はそれきり黙り込んだ。
「ただいまあー!」
「るぱんさまあー!! おかしもってきたよお、たべよおー!」
「おかあさんもきたよー!」
……げ。親連れてきやがった。これはメンドクセー事になりそうだ。否、まだ若いな。なら大丈夫か。
「こんにちは、明人君。」
「これはこれはどうも、お久方ぶりで。」
兄貴よ。最早深くは突っ込まないが、取り敢えず目上の人に挨拶するのにベンチにそっくり返って足組んだ状態のままでいるのはやめてくれ。
「あら、そちらは?」
ちらり、と横眼だけで見られる。何なんだ、あの目は。……ああそうか、不味いな。奴等告げ口してやがる。
「ああ、これはわが弟であり犬であるゆっきーだ! ……何故か今日は何時もに増して機嫌が頗る悪い様だからあまり構わないでやってくれたまえ。」
……俺はもう突っ込まないぞ。さっき決めたからな。後、機嫌が悪いのはせっかくの休日だってのに兄貴に散々連れ回されてるからだ。決して元々こんな気性な訳では……ないとは思うのだが。後、畜生以下に犬とか言われる言われはない。
「あら、弟さんなの。……余り似てないのね。」
こんなのに似ててたまるか。生まれた時点で俺の人生終わっちまうじゃねえか。
「るぱんさまこっちきてえ」
「ゲームもってきたからいっしょにやろー?」
「ああ、でも俺様はこれから移動の予定だから少しだけな。」
兄貴は俺の隣から立ち上がってガキ共のほうに歩いて行った。ガキの母親も俺にちらと一瞥くれてからそれに続く。……これから何か一つ仕掛けてくる懸念は捨てられない。が、このまま呆、とするのも時間の無駄だ。
………寝るか。
もう何もかもが面倒臭い。何かあっても何とかなるだろう。
俺はベンチにごろり、と横になった。
「……っき、………ゆっき、起きろ。」
あ、兄貴が呼んでいる。………ムカつくな、ウゼえ。絶対に起きてやるものか。
「ねえ、ゆっきい? おーきーろーよー!!」
「起きなさいってばもう! ゆっきゆっきゆっきいいいいいい!!!」
「起きてよ―起きてよ――――!!! ヤダーヤダヤダ――!!! うわあああああああああああ!!!」
「ゆっきいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「黙れこの糞兄貴が!!! 家の外でこんな大声でそのこっ恥ずかしい仇名叫ぶんじゃねえ!!!」
しかも前半の個所と妙に被ってんじゃねえか!! ネタ切れとか思われたらいろいろと面倒なんだよ!!
「…………糞兄貴って……。……いや、まあいいや。そろそろ移動するぞ。俺様は今日はこればかりに感けてはいられないのだ。」
「るぱんさまかえるのー?」
「やだよー!」
「わあああああん」
「いかないでえ」
ガキ共が必死に兄貴を引き留めようとしている。これ相手にそうまでするとは、本当に世も末だと思ってしまうの俺だけなのだろうか?
「ぼくたちのこと、わすれないでね」
「忘れるものか、我が僕たちよ。我はいずれまた舞い戻ってこよう。」
「やくそくだよー?」
「ああ。」
……長くなりそうだ。一足先にあのボロ車のところまで帰ろうか。俺はベンチから体を起こした。
「ほらほら、皆。明人君が困ってるじゃない。今度まで我慢しなさい。次はもっと遊んでもらえるわよ。」
ちらり。
……いや、今日兄貴が早く帰る事と俺はハッキリ言って無関係だから。そんな含み笑いされても困ると言いますか。
俺は立ち上がり、くああ、とひとつ大きく欠伸をした。こんな事だったら別に俺が態々睡眠時間削って兄貴について来る意味なかったんじゃねーのか? 俺はおおきく溜息を吐きだし、公園の外に向かって歩き出した。
「あ、コラ待てゆっき―!」
「るぱんさままってー!」
「まだたべてないおかしあるからあげるよー」
「これもっ! これもあげるうー!」
ガキの目線に合わせて腰を屈めていた兄貴が早々に退場しようとしている俺を見とめて慌てて立ち上がると、本格的な別れを察したらしいガキ共がこれでもかと兄貴の腕の中に菓子類をバカバカ置いていく。
「ゆっきー! こら! 待てと言っているだろうが! このタコ!」
「黙れ、自宅警備員の分際で。早くしねえと置いて帰るぞこの糞が。」
「あかーん! あかんあかん~!! この俺様を置いて帰るとは何様やねん!」
……お前は何で急に関西弁なんだよ。
俺は呆れたように事実呆れながらボロ車の停めてある場所まで歩いて行った。兄貴も急いで付いて来ようとするがガキのお菓子攻めはまだまだ終焉を迎えてはいないらしい。
辛子色の可哀想な感じの車が視界に入る。その時俺の中に過ったのが何故か嫌悪でも憐れみでも無く懐かしさであったことを特筆しておく。ポケットに突っ込んできた携帯で時間を確認すると、まだ家を出て3時間しか経っていなかった。40分は高速道路にて楽しい脳内お花畑の旅を満喫してきたから実際公園にいたのは2時間少々と言った所だが、俺は寝ていたこともあって物凄く時間がたっていたような気がしていたのだ。……っつっても2時間でもかなりじゃねえか!! 俺の貴重な時間があの糞兄貴に削られていく……!
「ゆっきいいいいいいいいいいいいい!!」
兄貴が大声をあげながら両手に抱えた菓子類をボロボロ零しつつ俺の元へと駆けてくる。畜生、なんで妙に嬉しそうなんだよムカつく。
後3メートル。2、1……
「よかったー、ゆっきーの薄情さって言ったらないからな、先に帰っちまっtへぶふぉ!!」
「おおっとお、しまった、いっしゅんいしきがとんでおにいちゃんにむいしきのうちにらりあっとをかましっちゃったよ、てへっ。」
「何で棒読みなの!!?」
半泣きでラリアットかまされた瞬間に全て吹っ飛んだガキ共からの贈り物をわたわたと拾い集める兄貴を尻目に、俺はあちこち錆だらけの初代マーチのボンネットにどっかり腰かけた。
「何でそこに座ってるんだ貴様はバカかあああああ!!」
「……否、地面よりかはマシかと思って。」
「イタイイタイ鼻捩じるなって! ごめん、バカって嘘だから! 天才! ゆっき―天才! 凄い!!」
あの後、さっさとしやがれと兄貴をせかしてボロ車に乗り込み、次なる目的地に向かっている。相変わらず警察をバカにしているようなスピードでかっ飛ばしてはいるが、気分が悪くなるような揺れはなくなっていた。兄貴がと言うより、長い間放置されていた車の方が勘を取り戻したらしい。
「さて、これから向かうのは隣町の神友の屋敷だ! さて、愚民代表のゆっきーよ。くれぐれも粗相のないように頼むぞ。」
……神友隣町に居んのか。
「兄貴じゃねえから大丈夫だ。」
つーかさっきから見知ったような風景が流れているのだが。
「……なあ、兄貴よ。」
「なんだ、ゆっきー?」
だから俺が話し掛けるたび妙に嬉しそうな顔をするのをやめろ。本気で気持ち悪いから。
「ここ、さっきの暴走途中、迷走してた辺りじゃねえのか?」
「あ、ゆっきーも思ったか? 実は俺様もなんだかあの家の窓はセコムのシールが貼ってあるなとか思っていたところだ。」
「……、……え、それがどうかしたのか?」
すまん、なんだか取り乱したようだ。否、耳の調子がおかしかった事にしておこう。兄貴と俺の意思の疎通が取れなくなることなんてよくある事じゃないか。そんなことで一々反応してたら神経なんていくらあっても足らねえぞ。もともと少ねえのに(自覚あり)。
「……否、なんでもない。お、ついたぞ。」
ぎきききいいいいいいいいいいい
恐ろしくなるほど不快な音を立て、黄色いボロ車は本当に急なブレーキに耐えて見せた。何だか俺、この車に同情に似た感情を持ち始めてきたぞ。
俺はボロ車から出て、先に神友とやらの家に向かった兄貴の後を追った。
「武田……か。」
スゲエ。
一言で言うとそれだ。俺は生まれて初めてこんなスゲエ家を見た。いや、何となくでも生きとくもんだな。世の中には俺の知らない事がまだここにもあったのだ。
………すっっげえボロい。もう黄色いマーチ何かむしろ新品だよ。ピカピカですよ。
「武田殿! 武田殿おおおおおおおおおおおおおおお!!」
「叫ぶな!! インターホンあるだろ、辛うじて! それ押せ!!」
ぎぎいいいいい……
「!」
「る、瑠麺麭殿…か? この武田今、今参上仕る……。」
恐ろしい音を立てるドアの隙間から兄貴と同じくらいの年齢の男が顔を覗かせ、引っ込めたと思ったらまた酷い音をたて開き、長い前髪に隠れた瞳がぴたり、俺とあった。
バタン!! ガチャガチャ
「え!? ちょっと武田殿!? どーかされたか!」
「て、敵襲、敵襲だあああああああああ!!!」
俺は騎馬武者軍団か何かか。
「開けたまえ、開けたまえよ! 武田殿、こ奴は私の配下の男に過ぎない!!」
………さっきから思ってたんだがこの変なテンションは何なんだ? 俺今まで日常に一度も聞いたことない単語を何度か聞いた気がするのだが。
「なあ、兄貴。コイツもしかして」
……本家自宅警備員か? と口にする前に俺のセリフは兄貴のやたらと長い指が生えた手によって塞がれた。
「口に気を付けよ、ゆっきー! 高々農民の分際で軍神・武田殿にそのような暴言を吐くなど狼藉も甚だしいぞ!」
「……ああ、そう言うノリなのか、気持ち悪いわ。死ね。後軍神は武田じゃなくて上杉の方だろうが。アホか。」
「な………! ゆっきーテメエエエ!!」
がちゃり。
「瑠、麺麭殿。」
「ああ、武田殿。誠に失礼仕った、私の監督不行き届きが原因に候……。ゆっきー、俺様は今から武田殿と戦法会議なのだ。お前はこれでそこら辺でジュースでも買ってなさい。」
兄貴は俺に百円玉を一枚ピインと弾いてよこした。いるかよこんな金汚らしい。つーかまずそれ以前にさ、
「………なあ、別に俺いらねえじゃん。帰ってもいいか?」
「なっ!! 駄目だ駄目だ! 主人を置いて帰る部下がいたものか!!」
「否、俺設定としては農民なんだろ? なんで会議に畑でエイコラやってる奴連れてくんだよ。ちゃんと武士連れて歩けよ。鍬で頭かち割るぞ。」
「ぐ……っ! し、仕方が無い。ゆっきー、ほら千円あげるからそこのカフェでケーキセットでも買って待ってなさい。おいしいって有名だぞ。」
「おお、サンキュー兄貴。これでバス乗って帰れんな。」
「武田殿おおおおおおおお!! ゆっきーも一緒に入れてやってもいい!? ダメ!!? ダメなの!!!?」
結局、俺はその後の戦法会議とやらにも半強制的に参加させられ部屋に入ると同時に恐ろしいほどの人格の変貌を遂げた武田殿とやらと互角の論戦を演じて見せた。若輩者のガキと舐めてかかることなかれ。そこら辺の大人より戦法と名のつく物には詳しいとの自負はある。……まあ必然的に兄貴はハミる訳だが。仕方が有るまい。雰囲気のみで生きてやがるんだから。だから外観ほど汚くなかった室内の隅っこに体操座りしてても誰も声をかけてはならないのだ。
「では、幸人殿、瑠麺麭殿、ご達者で。」
「ああ、武田殿、また掲示板にて会いましょうぞ。」
「………ちゃんと働けよおまえら。」
ブギャギャギャギャギャギャギャブロロロロロロロロロロ
俺はこうしてこの無駄に長い1日を無事乗り切ったのだった。
ったく、俺の人生の邪魔をする奴なんざ残らず消滅すりゃいいのだ。
<了>
<おまけ>
小西家にて。
「ん……? 兄貴、それなんだ?」
「ん~? でーえすのソフトー(新品)。」
「そんなに一杯どうしたんだ、いつの間に……。」
「さっき帰る時僕たちから貰った。」
「ふ――ん………って、ダメだろーが!! 今すぐ返しに行って来い!!!」
<これでホントに了!>




