ハーレム王の息子
完全に思いつき。不定期更新予定です(^_^;)
『愛する息子へ・・・お前の新しい弟と妹出来たのでよろしく♪』
手紙と共に二人の赤ん坊が自宅にいた。
嫌な予感がして早めに仕事を切り上げて戻ってきたが・・・
「あんの・・・クソ親父!!またか!!またのか!?」
思わずそう怒鳴ると赤ん坊がその声に反応して泣きはじめる。それを俺は慌てて宥めてからため息をつく。何度となく繰り返されているループのような光景だが、俺は決してループするような力は持っていない。
そう・・・毎度自分の子供が出来る度に俺に子育てを押し付けてくる親父がすべての元凶だ。
俺の父親・・・結城結斗はこの世界の人間ではない。いわゆる異世界人で、異世界の地球というところからこの世界にやってきたという。嘘か誠かわからないが・・・この世界を魔王から救った勇者だそうだ。
さて、そんな父親は大層女性にモテるらしい。
具体的には大国のお姫様から奴隷にいたるまでありとあらゆる女性に手を出して、ハーレムを築きながら旅をしているらしい。
一夫多妻が当たり前のこの世界においても異質なほどの嫁の多さが売りらしいが、問題なのはあの男の尋常ならざる精力と繁栄力だろう。
なにせ、親父と寝た異性はほとんど必ず子供を身に宿すらしい。どんなに不妊体質でも、時には人間とは子供を作ることが不可能とされている亜人とでさえ確実に子供を作ることができるらしい。
種族数が絶対的に人間より劣る亜人にとってはまさに英雄のような存在なのだが、問題なのはあの男が手を出した後に出来た子供の面倒を一切見ないことだ。
これが恵まれた環境の人間ならいざ知らず、あの男は娼館などでも女を買って子孫の繁栄に勤しんでいるから質が悪い。
かくいう俺も10歳の頃に娼婦だった母親が死んだ時に初めて親父と会ったが、その時まで俺は親父のことを一切知らなかった。
親父いわく、『お前の母さんのことは愛していた』らしいが・・・親父よ。だったらもう少し母さんを大切にしろよ。
そのあと一時期俺は親父に連れられてあっちこっちを旅して回ったがとにかく女の比率が高かった。俺がいようがいまいが年がら年中イチャコラして、隣で寝ているにも関わらず愛の営みを平気でするほどに飢えた獣。それが俺の親父だ。
まあ、とはいえ一応俺の面倒を見てくれたことには変わりないので感謝はしているが、流石に15才になって成人した今は一人で生活するようになった。まあ、親父は20才にならないと大人として認めないとか言ってはいたが、この世界では15才で大人なのでよくわからない感覚だ。
さて、独り暮らしをはじめてから俺は清々しい気持ちで日々を送っていたが、そんな日々もすぐに終わりを迎える。15才と3ヶ月の頃、自宅に戻ると何故か鍵があいていて、おかしいと思って部屋に入れば書き置きとともに赤ん坊が一人いたのだ。
そして、それから5年・・・似たような事例が二桁越えた頃には俺はマジで呆れてしまっていた。とはいえ、子供達を放り出すことは出来ずに俺はせめてこの子達は親父と同じ道は歩まないようにしようと子育てを頑張っている。
それがこの俺ーーーハーレム王の息子である結城唯の役目なのだろうと諦めているからだ。