27:決闘
どうも、二修羅和尚です。
最近、安定してPV200いってくれるので本当に嬉しい。感謝です。
では、第27話、どうぞ
「カオル殿、ユリウス様がお呼びです。こちらへ」
全力でユリウス達の方から目を背けていると、ウィリアムがやって来た。どうやら、相手方と挨拶をしなくてはならないらしい。
全力で拒否したのだが、どうやらそういうわけにもいかないらしい。挨拶だけしたら直ぐに離れることを条件に渋々ながらウィリアムの後に続く。
Pさんに変なものを見る目で見られていた。
「そいつがお前の雇った魔法使いか? この私に挨拶にも来ないとは、同じ称号持ちとは言え、アリエスト家も落ちぶれたものよな」
ウィリアムに連れられ、ユリウスの隣へ。すると、目の前の成金豚は俺を一目見てそんなことを言った。何とも腹立たしい物言いであるが、ここで腹を立てても仕方ない。
感情を抑えるために、小さく息を吐いた。
「カオル君。こちら、フルフート家の現当主のマルフ・U・フルフート殿だ。私と同じく、陛下から称号を賜っている名家だ」
ユリウスが簡単に成金豚の紹介をしてくれた。その称号とやらは何なのかはよくわからないがまぁそれはいい。
目の前で得意気に私こそは~…などと話す豚も一先ず置いておこう。こういう相手は、無視すると反応がいちいちウザイのだ。適当に相槌を打って合わせておけば、後は勝手に流れてくれる。
問題はもう一方。
先ほどから気にしないようにしていたが、目の前の赤髪ローブがずっとこちらを見ている。やめろ俺にそんな趣味はない。
しかも、挨拶で近づいたために顔が直ぐそこにあるのだが、その顔の一部には青い刺繍が描かれている。何を描いているのかはよくわからないが、逆立たせた赤髪に刺繍とかどう見てもその道の職業にしか見えない。傭兵とはこんな奴ばかりなのか。
だとしたら関わりたくないものである。
「ふんっ、どうやらこの私の偉大さに声も出ないようだな! 底が知れる。ユリウス、人選を間違えたのではないか?」
「それはやってみないとわからないだろう? さぁ、会場はこっちだ。着いて来るといい」
ずっと黙っていたせいなのか、勝手に変な解釈をされていた。まぁ、面倒ごとにはなっていないので俺としてはそれで良しとしよう。
ユリウスが歩き出したのを機に豚…マルフとやらもそれについていく形で歩き出す…歩いてる、んだよな? めっちゃ遅い。
おまけに数歩歩いたところで息が荒くなっていた。普段、どれだけ運動していないのかと考えたが、あの姿を見れば納得がいく。
Pさんたちが気になったので先ほどいた場所に視線を移したのだが、もう訓練場内に移動してしまったのか、その姿は見当たらなかった。
ユリウスがマルフを連れて入っていくのを確認したところで俺も中へ向か…おうとしたんだが、その直前におい、と後ろから声をかけられた。
「…何だよ」
何故このタイミングで俺に声をかけるのか。そんな意味をこめて振り向けば、そこにいるのは当然ながら赤髪の傭兵。
「お前、あの強化兵を倒したんだってな。なら死なねぇよう、せいぜい楽しませてくれよ?」
腕を組んでそう語りかけてくる男。名前は確か、コーラとか言ってたはずだ。
傭兵の魔法使いだという話ではあったが、ローブから除く腕や体から鍛えていることが伺える。近接格闘とかも出来るんじゃなかろうか。殴られたら場合によっては死ぬかもしれない。
しかし、強化兵? また聞きなれない言葉だ。話からしてあの海藻類が連れて来た奴なんだろうが…
「…ん?」
何で知ってるんだ? 俺がその強化兵とやらと戦ったこと。あれはアリエリスト家の代表選考で、他家が知ることはないはずだ。
…てことは、誰かが情報を流した?
「…あぁ、面倒臭い……」
「ああ?」
「お前に言ってねぇよ…」
そんなことする奴、一人しか思いつかねぇよ。なんでこう、色々と面倒ごとを起こすのだろうか。もっと俺に配慮してほしいものだ。
思わず零れた愚痴にコーラ野郎が反応したので訂正しておく。こいつとは決闘以外で関わり合いになりたくない。なんなら俺の勝ちにして帰ってくれませんか。
「…チッ、まぁいい。俺はな、この世界で最強になる男だ。あの強化兵を倒すくらいには強いんだろうが、せいぜい俺の踏み台になってくれや。…棄権なんて、しょうもねぇことすんじゃねぇぞ?」
内心で頭を抱える俺に、コーラはそんなことを言って訓練場内へ入っていった。おまけに臭いことも言ってらっしゃる。内心の俺が全力で笑いを堪えていた。
しっかし、最強ね。そんなものになっていったいどうするのだろうか。なったらなったで、また目標でも見つけるのだろうか。面倒だろうに。
第一、この世界にゃじいさんのような規格外の生物だって存在するのだ。努力してみたところでどうにかなるとは思えない。無駄な努力。馬鹿なんじゃないだろうか。
無駄だと気づかずに努力するあのコーラとかいう男がひどく不憫に思えてくる。
「…面倒くさ」
ため息混じりにそんなことを呟いた。諸々の感情が込もっていることだろう。
すでに人のいなくなった訓練場前。俺は、もう一度大きくため息を吐いて会場入りするのだった。
「それでは僭越ながら、審判はこのアリエリスト家の執事長であるロドリゲスが務めさせてもらいます」
俺とコーラが向かい合う中、審判として立ったのは初老の男性。
屋敷では何度か目にしていた人物であるが、あの人が執事長だったのか。役割的にはウィリアムがやっててもおかしくはないんだがな。
どうでもいいが、『ド』を抜いただけで悲しい名前になるな。なんだよ、ロリでゲスって。
「おい、ユリウス。この決闘の結果次第では…わかっているな?」
「ああ。だが、こちらが勝った時の約束もわかっているね?」
「もちろんだとも。…ま、勝てればの話だがな。強化兵が敗れたとは言え、あの【炎狼】には勝てまい。ブヒヒッ、あぁ、もうすぐアリエッタが我が物になるのだ。我慢できそうにないわい」
「……強化兵、ね」(ボソッ)
…なんでだろうか、なんか観客席のユリウスからの視線の威圧感が増したような気がするのだが。
気になってユリウスのほうを見る。すると、そこには気持ち悪い笑みを浮かべて宙を見る豚といつもより笑みを増したユリウスの姿。笑っているはずなのに怒っているとはこれ如何に。
ただ、何となくわかるのはあの豚がユリウスを怒らせたんだろうということ。そしてユリウスの目が絶対に勝てといっていること。はっきりわかんだからね。
「カオルッ!! 勝ちなさいよっ!!」
声が響いたので見てみれば、ユリウスの隣から叫んでいる少女、Pさん。隣にはクェルの姿もある。
Pさんに言われずとも勝つつもりではある。あるが、正直な話、炎使ってくるやつ相手にしたことがないのでどう戦えばいいのか迷っていたりする。一応作戦とかは考えていたりするんだが、それがうまくいくのかは別だし。
「それでは、両者構えて!」
ロドリゲスさんが片手を高々と掲げる。
あれが振り下ろされるとこの決闘が始まるのだ。
まぁでもあれだ。俺が目指すのは、無傷かつ速攻で勝利。これがベスト。最適解そこは同じだ。
じいさんからもらった杖を構える。対するコーラも杖を…杖……あれ、あいつ杖持ってないぞ!?
「ハジメェ!!」
俺の動揺をよそに、ロドリゲスさんの手が勢いよく振り下ろされる。それと同時に俺に向かって飛び出して来る影。
どうやら考えている暇はないようだ。
あの筋肉で殴られたら洒落にならない。まずは距離をとるためにバックステップで飛び退く。同時に俺とコーラの間に大量の巨花を咲かせる。
「それは知ってるんだよ!!」
焼却
そんな言葉がふさわしい燃えっぷりで用意した花が全て燃えた。それも一瞬で、である。
炎が燃え盛る中をなんともないような様子で突っ込んでくるコーラ。よく見ればその顔には笑みを浮かべている。
戦闘狂、というやつなのだろうか。クェルの話やさっきのこいつの言動からして容易に考えられる。
「オッラァ!!」
「あっぶね…!」
凄まじい速さで眼前へと迫っていたコーラが俺の顔面めがけて拳を振るうが、その速度が遅く感じる。何故だろうか、今日、これよりも速いのを相手にしていたような気が…嫌な予感がするのでやめておこう。
拳を振り切ったのを見計らって蹴りをコーラの腹に叩き込む…が、想像以上にこいつの体が硬い。しかも熱い。
まるで熱した鉄板を蹴ったみたいだ。…いや、蹴ったことはないんだけどさ。
こいつ相手に接近戦は無理だと改めて再確認したところで、いつもいすに使っているあの硬い花を巨大化しコーラの四方に配置。
案の定内側から炎で突破されるが、大体は予想通りである。距離が取れればそれでいい。
「つーか、杖ないのに何で魔法が使えるんだよっ…!」
炎の塊みたいなのが飛んできたので余裕を持って回避。
「ハッ! んなもん決まってるだろうが! 最強になる男が、わざわざ弱点の杖を持つわけねぇよ!!」
そういって今度は連続で炎を射出するコーラ。対する俺は巨花の壁を作ることで凌ぐ。
「苦労したんだぜ!? 杖がなくちゃ魔法使いは魔法が使えねぇからな!!」
「そりゃご苦労なことで…! 体の一部でも杖にしてるんだろうがよ…!」
花の隙間から見えたコーラの顔が驚いた様子を見せたところを見るに、どうやら正解だったようだ。
恐らくだが、あいつは指の骨でも杖と認識して魔法を使用しているのだろう。そうすれば両手も使えるため、近接格闘も行えるようになる。
よくそんな面倒なことをしたものだ。すごいと思ってあげよう。それだけだ。
炎の弾丸が止む。それと同時に頭上で影が差した。
「ッラァ!!」
落下エネルギーも合わさった所謂ライダーキック。正義のバイク乗りのみに許されたその技をいかにも悪役顔なお前が使うんじゃない。
向かってくる蹴りを横っ飛びで回避。だが、そう簡単に逃がしてはくれないみたいで、着地と同時にコーラが拳を構えて飛び込んでくる。
「ッ面倒だなぁっ!」
杖でガード。
ものすごい力が拳を受け止めた杖から伝わってくる。まともに受けなくて正解だった。
「捕らえた」
が、どうやらまだ考えが甘かったらしい。
受け止めた拳と反対側の手が杖を支えている俺の腕を掴んでいた。
「ま、なかなか楽しめたぜ。お礼に、一瞬で燃やしてやるよ」
一般人以上程度の俺の筋力が、こんなマッチョの男の筋力に適うはずもない。
「あばよ」
その言葉と同時に俺の体を灼熱の炎が包み込んだ。
「カオルーー!!」
Pさんの悲痛な叫び声が訓練場内に響き渡った。
いや、あの死んでませんからね?
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きたら二修羅は狂喜乱舞する。




